新MS外伝スターダスト・メモリー
最終話
駆け抜ける嵐 ケンスケ、阻止限界点に散る
Made by 暗黒騎士ソード
「やれやれ、これで終わったのかしら」
と、アルビオンの艦橋でそう呟くミサト。
「さあ、私にはわからないわ」
と、リツコ。
「まあ、それもそうね。しっかし、シンジ君とアスカ、やってくれたわね」
いま、ミサト達アルビオンのクルーは『ソロモン』に来ていた。しかし、『ソロモン』周辺は02Aのアトミックバズーカで粉砕された艦艇の残骸がただよっていた。
「しっかし、役に立たなかったわね加持君」
ジト目で加持をみるミサト。
「す、済まん葛城……」
シュンとしている加持。それもそのはず、加持達MS隊はシンジの乗った01を食い止めるために出撃したがものの20分で全滅していったのである。おまけに、護衛のナッシュビルまで沈められたのである。加持にとってみれば、大失態であろう。
「で、これからどうするのミサト」
「まあ、追撃するにも手持ちのMSがないんじゃやりようがないわ。まずは補給ね」
「そうね。それに、こっちのガンダムも大破した以上、追撃は不可能ね。あっちには、まだ01がのこっているから」
「はあ……頭が痛いわね。うんで、なにか新兵器でもあるの」
「あら、珍しいわね。あなたが私のMSに頼るなんて」
「状況が状況だけにね。で、あるの試作ガンダム3号機は」
「ええ、あるわよ。今、ラビアンローズがそれをもってこっちに来ているわ。加持君と日向君のMSも一緒にね」
「そうか。じゃあ、補給は心配しなくていいのね」
安堵するミサト。
「か、艦長、大変です」
そこへマヤが息を切らせながら走り込んできた。
「うん、どうしたのマヤちゃん?」
「そ、それが……う、宇宙ステーション『ミール』がシンジ君とアスカちゃんによって占領されました」
「な、なんですって。それで、『ミール』は今どこに」
「現在、地球の周回軌道上にいます」
「リツコ、まさかシンジ君やアスカの計画って……」
「間違いないわ。本当の狙いは、ネルフ本部よ」
「となると、第3東京市に『ミール』を落すわけ!?」
「そうでしょうね。そもそも、第3東京市はネルフの人間以外はいないといっても過言ではないわ。となると、ネルフを潰すまでが計画って事も考えられるわ」
「けど、あそこはシンジ君やアスカが生活していた場所よ。そんな場所に『ミール』を落すなんて……。くっ、青葉君、至急ラビアンローズと合流よ」
「し、しかし、先ほどの戦闘でエンジンが焼けてます。それに、推進剤だってもうロクに残っていません」
「わかっているわ。逆噴射する分の推進剤を残して、全速力で行くのよ。ラビアンローズが見えたらドッキングして」
「わ、わかりました。けど、どうなっても知りませんよ」
半ばやけくその青葉。
「マヤちゃん、付近のネルフ宇宙艦隊に連絡。01が『ミール』を強奪。目的は、第3東京市の破壊にあると。誰でもいいから食い止めるのよ」
「了解しました。アルビオンよりネルフ宇宙艦隊へ。緊急事態発生……」
「間に合うのかしら」
指示を出しつつも、不安の色を隠せないミサトであった。
「以外と、ここは簡単に制圧できたわね」
と、『ミール』を眺めるアスカ。
「そうだね。なんせ、放棄されて十数年は経つから」
「しかし、ミサトも驚くでしょうね。観艦式の襲撃が、実はこの為の派手な囮だったとわね」
「けど、ネルフの追撃がないね。どうしたんだろう」
「まあ、あの観艦式で戦力のほとんどを失ったから追撃のしようがないんじゃないの」
「なるほど……おや、この反応は……。どうやら、すんなりとはいかないみたいだ」
「ネルフの追撃艦隊?」
「そうみたい。サラミスが数隻来ている」
「はっ、それだけで私達を食い止めようというの。なめられたものね。シンジ、私がいってくるわ」
「えっ?でも、アスカ……」
「心配しないで。それに、この『ノイエ・ジール』のテストもしたいし」
「わかったよアスカ。でも、危険を感じたらすぐに引き返すんだよ」
「ええ。シンジこそ、こいつの突入角度計算を間違えないでよ。なんせ、電力も燃料も余分がないから。さて、いくわよ!」
そして、『ノイエ・ジール』に乗り込んだアスカが追撃艦隊を迎撃すべく出撃した。
「急げ!『ミール』落下まであと数時間しかないぞ!」
部下を叱咤激励するサラミスの艦長。
「くそっ、なんで『ミール』が制圧されたんだ。あの付近には、巡回している艦艇があるはずなのに……」
「艦長、それがその付近の艦隊は観艦式に参加しまして」
と、副長。
「ったく……お偉方は……」
呆れる艦長。
「艦長、僚艦より入電。『ワレ、ミールヲ補足。アト、数分デ有効……』えっ?」
その時、通信がいきなり切れた。
「どうしたオペレーター!」
「そ、それが通信がいきなり切れまして」
「か、艦長……『キャンベラ』が撃沈されました……」
窓の外に写る火球を指差す副長。
「な、何事だ!索敵班は何をしていた!」
「さ、さらに『アール・ベール』と『エーデリア』も撃沈されました。こ、攻撃しているのはMAです!」
「え、MAだと。バカな、そんなものが何で……」
「MA急速接近!」
「か、回避しろ〜〜〜〜〜〜!」
「ま、間に合いませ……」
「うわあああああああああああ!?」
そして、追撃に来たサラミス艦隊は全滅した。最後に、『アルビオン』に向けて通信を発信しながら。
「艦長、追撃艦隊より通信が途絶えました」
と、マヤの報告。
「やられたわね。リツコ、GP03−Dはまだなの」
「準備はできているわ。いま、レイが操縦に慣れるために微調整をしているわ。加持君と日向君のMSも準備できているわ」
「そう。ところで、妙なコンテナがあったけどあれは」
「ふふっ、それは秘密よ。さあ、最終決戦よ!」
危機的状況なのに嬉々としているリツコ。でもって、『ミール』のある宙域。そこでは、強奪された『ミール』が今まさに大気圏突入を目前に控えていた。
「くっ、もう時間がないわね」
歯ぎしりをするミサト。
「マヤちゃん、他のネルフ所属の艦隊はきてないの」
「ええ、レーダーには……いえ、待って下さい衛星軌道上に艦隊が……」
「な、なにあれ?」
唖然とするミサト。
「あれは……碇司令直属の第1機動艦隊よ。けど、どうしてここに。ここと反対側にいるのに」
と、リツコ。
「と、とにかく静観よ。各員、指示があるまで第2級戦闘配備で待機」
事態を見守るミサト。
「やれやれ碇、ここまでやるのか」
「やらるしかないだろう。って、いうかやるしかないだろう冬月」
「しかしなあ、いいかげん認めてやったら……」
「そんなことが認められるか冬月。シンジにはまだ早過ぎる」
「碇司令、敵から通信です」
「ふっ、繋げ……」
『父さん、ついに出てきたね』
「シンジか……どうやらあくまでも自分の意志を通すつもりだな」
『当然だよ父さん。それより、どうあっても僕の考えを認めないつもりなんだね』
「当然だ!お前には早い。早過ぎるのだよシンジ」
『なんでだよ!なんで認めてくれなんだよアスカとの結婚を!』
『へっ!?結婚?』
唖然とする一同。
「ちょ、ちょっと碇司令、もしかしてシンジ君とアスカが反乱起こした原因ってそれなのですか」
「うむ、そうだ葛城君。なにか問題でもあるのかね」
「いや、問題ちゅうかなんちゅうか……」
呆れるミサト。
「第一、なんで反対したんですか碇司令」
「ふっ、それは……」
「碇、その理由は私も聞いてないぞ」
と、冬月。
そして、他の人間もかたずを飲んでゲンドウの言葉をまった。
「そ、それは……まだ早すぎるからだ」
『はっ?』
「だ、だって私は独りなのに、シンジは結婚するっていっているんだぞ。まだ14なのに。世間的にも倫理的にも問題があるだろう」
「あ、阿呆か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
と、青葉。
「ば、ばっかじゃないの碇司令。ツラからして極悪なのにいまさら善人ぶってどうするのよ!」
呆れるミサト。
「司令、バカですね……」
冷静なレイ。
『父さん、そんな下らない理由で反対したのか!もう我慢できないぞ!』
遂にキレるシンジ。
「アスカ、ミールを落すのはやめる」
「へっ、どうするのシンジ」
「簡単だよ。父さんをここでぶちのめす!」
そういって、ビームサーベルを構えるGP01。
「いくぞ父さん。いや、このクソ親父!」
「むっ、マズイぞ冬月」
「当たり前だ碇。お前が全般的に悪い」
「し、しかし14で結婚するなどと……そんなこと認めればただでさえ児童虐待とか言われている私の評判が……」
「だが、結婚しても誰も非難はせんと思うぞ」
「そうかもしれんが……それより、まずは目の前のシンジだ。全艦、攻撃用意!」
指示をだすゲンドウ。そして、全艦一斉射撃がシンジを襲った。
「甘い!そんな攻撃が当たるか!」
あっさりその攻撃をかわすシンジ。逆にビームを撃ち、サラミス1隻を火球に変えた。
「アスカ、一気に勝負をかけるよ」
「そうねシンジ……。いえ、そうもいかないみたいね。後ろから、ミサト達が追ってきているわ」
「ミサトさん達が?くっ、挟み撃ちか……」
「シンジ、あんたは碇司令と決着をつけなさい。ミサト達は私が食い止めるわ」
「アスカ……ありがとう」
「気にしないの。それに、私もケリをつけたいやつがいるから」
そう言って、機首を翻すアスカ。それを見送った後、シンジもゲンドウのほうを向いた。
「いくぞ、父さん!」
「艦長、出撃許可を下さい」
かわって、こちらアルビオンではレイがミサトに出撃許可を求めていた。
「レイ、今の話しを聞いたでしょう。あれ聞くと碇司令に味方する気持ちが失せたわ」
「けど、碇君やアスカを止めないと……」
「まあ確かに、今のシンちゃんなら碇司令ぐらいは確実に殺すわね。けどレイ、本当に戦えるのシンジ君と」
「それしか方法が無いのなら」
「艦長、本艦に接近する物体があります。こ、これはMA?」
と、マヤの報告。
「MAですって?そんなものまでもっていたのあの子たちは。機体識別はできる?」
「そ、それが、データには無くて……」
「マヤ、映像はだせるの?」
と、リツコ。
「はい、長距離画像でしたら」
「じゃ、出して」
「了解」
そして画面に1機のMAが写し出された。
「ほう……これはこれは。アスカもなかなかやるわね」
「なんなのよリツコ」
「ふっ、あれはAMX−02『ノイエ・ジール』よ。有線だけどサイコミュ兵器が使えるし、I・フィールドまで搭載しているわ」
「ちょ、ちょっとそんなMAがあるの」
「ええ、あるわ。ミサト、四の伍の言っている場合ではないわ。それに、碇司令も守らないとね」
「ちっ、しゃあないか。加持君、MS部隊発進。第1目標は、GP01。第2目標は、接近中のMAよ」
「了解した。加持隊出撃する」
加持と日向が、MSで出撃した。
「レイ、アスカを食い止めるのよ。私達は碇司令の援護に向かうわ」
「了解しました」
GP03で出撃するレイ。
「あの〜、お、俺は何をすればいいでしょうか」
と、すっかり忘れられていたケンスケ。
「あら、そうえばあなたもいたわね。安心して、あなたにもすばらしいMSが用意してあるから」
「あっ、やっぱ、いいです」
やぶ蛇だったことを悟るケンスケ。
「おほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ、遠慮しなくていいのよ。さあ、MSデッキにいくわよ。あなたに相応しいMSが用意してあるわ」
「うわああああああああああああ、なんかひたすら嫌な予感がするウウウウウウウウウウウ!」
でもってMSデッキ。
「な、なじゃああああああああああああああ、こりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
絶叫するケンスケ。それもそのはず、そこにはまたボールが『どうだ!』といわんばかりに鎮座していた。
「ま、また、ボールかよ!やってられん!」
「おほほほほほほほほほほほほほ、甘いわねケンスケ君。これは、ボールではないわ。RB−79−D(Fb仕様)よ」
(0083に出てくるGP03−Dを知っている人は、ガンダムの頭部が出ている部分にボールがあると想像して下さい)
「なんだそれは?」
「ふっ、ガンダムに出てくるボールにオードキスとアームドベースをドッキングさせた究極(?)のMAよ」
「うそつけえええええええええ。どうせ、ジャンクパーツで作った欠陥品だろうがああああああ!」
「むっ、私の最高傑作にケチをつけるつもり(よくわかったわね廃材利用だってことが)」
懐から注射器を取り出すリツコ。
「い、いえ、最高のMAです」
「そう。なら、さっそくこれに乗りなさい。あなたの任務は、GP01の捕獲もしくは破壊よ」
「りょ、了解しました」
しぶしぶ乗り込むケンスケ。
「リツコ、相田君の準備はできたの」
と、ミサトの声がスピーカーから流れてきた。
「ええ、準備ができたわ。いつでも出撃できるわ」
「そう。じゃあ、相田君、出撃してね」
「了解しました。相田ケンスケ、RB−79−D(Fb)いきま〜す」
射出されるケンスケ。
「さて、いったわね……」
機影を見守るリツコ。
「それじゃあ、隠し装備を起動させますか。ぽちっとな」
右手に隠しもっていたスイッチをおすリツコ。
「うん……機体が振動している……。はうっ、な、なん……うぎゃあああああああああああああああああああ、きゅ、急にGがあああああああああああああああああ。か、顔が歪むウウウウウウウウウ!?」
いきなりバーニアをふかされ、ケンスケの体には信じられないくらいのGがかかった。
「頼むわよケンスケ君、あなたの活躍が世界をすくうわ」
自分に浸っているリツコであった。
「アスカ!どこにいるの」
かわってこちらはレイの乗っているGP03−D。
「くっ、こう戦場が広くてはアスカがどこに……はっ!」
一瞬、さっきを感じるレイ。次の瞬間、大破したサラミスの背後から数発のメガ粒子砲が放たれた。あわててその攻撃をかわすレイ。
「そこにいるのアスカ!?」
攻撃のあった方向をみるレイ。
「ふっ、もはや何も語ることは無いわファースト!」
二つに割れたサラミスの間から、アスカの乗るノイエ・ジールが出てきた。
「アスカ、もう止めて。人類補完計画を考えたゼーレは滅んだのよ」
「関係ないわ。私とシンジの邪魔をする碇司令を潰すまでは!」
「アスカ……気持ちは……」
「はっ、わかるって言うの。何もわからないクセに。それに、あんたとはもう話すことは無いわ。覚悟、ファースト!」
ミサイルを放つアスカ。
「くっ、どうにかしてアスカを止めないと」
アスカの攻撃をかわしつつ、メガ粒子砲を撃つレイ。しかし、メガ粒子はアスカに直撃する寸前で拡散された。
「こ、これは、I・フィールド?」
「甘い!もらった!」
逆にメガ粒子砲を喰らうレイ。しかし、レイの機体にもI・フィールドが展開されていた。
「ちっ、ならこれでどうかしら」
有線クローアームを打ち出すアスカ。
アームは、レイの乗っているGP03−Dに搭載されているI・フィールド発生装置に命中した。
「し、しまったI・フィールドが……!」
うろたえるレイ。
「もらったわよファースト」
ビームサーベルを抜き、レイに切り掛かるアスカ。
「させないわよアスカ」
負けじと、レイもビームサーベルを抜き放ちアスカに切り掛かった。そして、両者は激しくつばせりあいを始めた。
「アスカ、いい加減にしなさい。あなたのやっている事はエゴよ」
「うっさい!あんたはいつもそうよ。すました顔して!そんなあんたが、心のそこから嫌いよ!」
至近距離でメガ粒子砲を放つアスカ。
「えっ!?きゃあああああああああああああああああ!?」
I・フィールドがないため、まともにビームを浴びるレイのGP03−D。
「くっ、このままじゃやられる……どうすれば……」
打開策を考えるレイ。
「どうしたのファースト。今の攻撃でビビったの?それとも、最初からビビっているの?」
「ふざけないでアスカ。私もエヴァのパイロットよ。この程度で!」
お返しとばかりに、近距離でミサイルを撃つレイ。
「ぐっ……や、やるわねファースト」
さすがにI・フィールドではミサイルは防げず、まともに被弾するアスカ。
「ちぃ、今ので装甲板が……I・フィールドも長時間仕様は出来ないわね。なら、一気にカタをつけるだけ!」
再び間合をつめるアスカ。
「来る!?」
ビームサーベルを構えつつ、アスカを迎え撃つレイ。
「でやああああああああああああああああ!」
「はあああああああああああああああああ!」
再び、両者のビームサーベルが激しく火花を散らした。
「ふっ、かかったわねファースト!」
有線クローアームを打ち出すアスカ。狙いは、GP03−Dのミサイルポットである。
「し、しまっ……」
アスカの狙いを悟り、あわてて間合を広げるレイ。しかし、有線ながらもサイコミュ兵器であるアームの攻撃をかわす事は出来なかった。
『ガキン!』
「くっ、ミサイルポットが……」
「ちぃ、誘爆しなかったようね。けど、これで攻撃力はそうとう落ちたわね。今度こそ、もらったわよファースト!」
さらに間合をつめるアスカ。
「こ、このままでは……」
アスカのビームサーベルを同じビームサーベルで受け止めるレイ。
「守勢に回っているわねファースト。けど、そんなんじゃ私は倒せないわよ!」
ビームサーベルの出力を上げるアスカ。
「だ、だめ……損傷が激しくてビームサーベルの出力が」
徐々に細くなるレイのビームサーベル。そして、エネルギー切れかビームサーベルの刀身が突然消えた。
「もらった!ファースト」
『ズバッ!』
右半分を切り落とされるGP03−D。
「ちっ。寸前でかわしたようね。でも、その機体じゃ戦えないでしょうね」
「こ、こうなったら……アスカいくわよ!」
やけになったのか、特攻を仕掛けるレイ。
「焼きが回ったのかしら。無駄な事を!」
ビームサーベルで斬り付けようとするアスカ。
「今よ!オードキス強制分離」
オードキスを無理矢理分離させ、アスカの乗るノイエ・ジールに叩き付けるレイ。
「げっ!?きゃああああああああ!」
かわす事も出来ず、まともにオードキスの直撃を受けるアスカ。
その直後、残っていたミサイルが誘爆した。
「くっ……ダ、ダメージが大きいわね。一時撤退ね」
ぼろぼろになりつつも、その場から離脱するアスカ。
「アスカ、待ちなさい!くっ、MS形態じゃあ追いつけない」
さらに、アスカとの戦いでダメージで機体はぼろぼろであった。
「アスカ、これ以上何をしようっていうの?」
アスカのさった方向を呆然と見つめるレイであった。
「う、うわああああああああああああああ!?」
悲鳴を上げながら90ミリマシンガンを乱射するジム改のパイロット。
「無駄だ。そんな攻撃は効かない」
一気に間合をつめるシンジ。そして、ビームサーベルでまっ二つにした。
「ええい、何をしているんだ」
と、戦況みながら苛立つゲンドウ。
「やはり、ガンダム相手にジム改では無理か」
「むう……どうすればいいと思う冬月」
「お前がシンジ君とアスカ君の結婚を認めてやればいいだろう」
「し、しかし、それを認めれば私は管理責任を問われるかも……」
「今さらそんな事を気にしている場合ではないだろう。それに、このままでは我々の命が危ないぞ」
「し、しかし……」
なぜかためらうゲンドウ。
「碇司令、前衛が突破されました」
と、オペレーター。
「むう……情けない。マゼラン級戦艦を前に出せ。それと、アルビオンからの援軍はまだか?」
「それが、GP03−Dは大破。ただ、核であるGP03だけは健在です。現在、アルビオンに回収され修復作業に入ってます」
「他の援軍は?」
「アルビオン所属のジム・カスタムとジムキャノン2がこちらに接近中。それと、味方識別信号をだしていますが形式不明のMAがまもなくこちらの戦場に到着します」
「なんだ、それは?」
「さあ?あっ、いま来ました」
「ほんぎょげばろば〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!い、碇司令、え、援軍にき、来ました〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
悲鳴をあげつつ、シンジの前に立ちふさがるケンスケ。
「うん、この感覚は……ケンスケか?」
「そ、そうだ碇。決着をつけにきた」
「ケンスケ、あれだけやられてまだ懲りないのか」
「う、うるせえ。こんど失敗すれば、俺は確実にあの金髪ババァに改造される」
「ケンスケ、やはり君は私の感情でしか動けない人間か。失望したぞ!」
「やかましい。俺は俺自身の為に戦う。それが俺だ!」
そう言って、シンジに突っ込むケンスケ。
「甘い!そんな腕で僕に勝とうなどと1000年早い!」
「うるせええ。俺はお前との決着をつけるまでどこまでも追い続ける!」
「意気込みだけはかってあげるよ。けど、意気込みだけで戦いを支えている人間に僕は倒せない。なぜなら僕は、信念をもって戦っているからだ」
「おのれ碇、調子づくな〜!」
ビームサーベルを抜き、シンジに切り掛かるケンスケ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
しかし、いつもの事ながらその攻撃はかわされ逆にシンジのケリを喰らった。
「むぎょ……何故だ……」
そのまま、慣性で吹っ飛び浮遊していた『ミール』に衝突した。
『ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!』
その衝撃で、『ミール』に搭載されていた核パルスエンジンが始動した。
「えっ!?」
驚くケンスケ。
「な、何をやっているんだケンスケ」
「し、知らん。ぶつかったら動き出した」
「シンジ、どうし……げっ、なんで『ミール』が動いているのよ」
そこへ、アスカがぼろぼろになったノイエ・ジールでやってきた。
「ケンスケがぶつかった衝撃で動きだしたんだよ」
「何やっているのよこのミリオタ!シンジ、『ミール』の突入角度は?」
「今、計算している……。くっ、なんて事だちょうど第3東京市のど真ん中に落下する」
結果をみて、がく然とするシンジ。
「シンジ、今のは本当か」
そこへ、ゲンドウが通信回線に割り込んできた。
「本当だよ父さん」
「むう、一大事だな……。おい、捨て駒パイロット。お前が『ミール』を押し上げろ」
「で、できるかあああああああああああああ!」
「さっさとやれ!でなければ帰れ」
「じゃあ、帰る!」
「むっ、敵前逃亡は銃殺だぞ。全艦隊、あのMAを撃ち落とせ!」
「わあああああああああ、や、やりますやります。ですから、撃たないで……」
「では、やれ!」
命令を下すゲンドウ。
「ち、ちくしょうこうなりゃやけだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ヤケになったのか、『ミール』の下部に突っ込むケンスケ。しかし、RB−79−D(Fb)のバーニアでは『ミール』の落下速度を緩めるだけであった。さらに厄介な事に、『ミール』はすでに大気圏に突入していた。
「ほんげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげ、き、機体が焼けているウウウウウウウウウウウウウウ。視界が真っ赤に見える。おまけに、熱い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
危機的状況にあるケンスケ。
「むっ、ダメか。シンジにアスカ君、こうなっては致し方ない。結婚は認める。だから、『ミール』破壊に協力しろ」
「わかったよ父さん」
「それなら文句はないわ」
了解する両名。
「で、具体的には何をすれば?」
「簡単な事だ。お前達の位置からなら、『ミール』の核パルスエンジンを狙える。それさえ破壊すれば、あとは勝手に自壊する」
「なるほど。アスカ、まだ戦える?」
「ビームぐらいなら撃てるわ」
「よし、狙いを一点にあわせるよ。今だ!」
シンジのビームライフルと、アスカのメガ粒子砲が核パルスエンジンに命中した。
「う、うっそうううううううううううううううううううううううううう!」
驚くケンスケ。直後、エンジンは爆発し『ミール』も爆発した。そして、衝撃でケンスケの乗るRB−79−D(Fb)も衝撃で落下速度が一気に加速した。
「はぎゃぎゃがいぇぶば、い、碇司令、じ、自分はどうなるのでありますか?」
「知らん。後は自分でなんとかしろ」
「きゅ、救助はないのでありますか?」
「ない」
「ひ、ひでええええ!っていうか、き、機体が溶けている。おまけに、コックピットの中の温度が200度を超えている……。ち、ちくしょう、こうなったのもあの金髪ババァのせいだ!お、おのれMAD SCIENTIST〜!」
そして、ケンスケは大気圏に落ちていった。
「おや、流れ星かしら」
と、いつの間にか地球に降りていたリツコ。
「いや、あれは違うわね。あれは相田君の乗っているRB−79−D(Fb)ね。どうやら、大気圏に突入しているみたいね。けど、あれはまさしく『星の屑』ね。おほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ、いいわよいいわよこれこそ0083の展開に相応しいラストよ。これで、私の望むGはまた一歩近付いたわよ」
ひとり、自分の世界にトリップするリツコであった。
(END)
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき
ども、暗黒騎士ソードです。
今回をもちまして、0083スターダストメモリーは終わりです。まあ、最後までケンスケはとことん不幸ですが。
けど、終わってみるとオチが弱いかも。
しかし、次回はZガンダムシリーズでがんばります。
では、また会う日まで。
暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
0083シリーズ今回で最終回ですね。シンジ君とアスカちゃんがネルフを裏切った理由は髭にありましたね。二人の結婚を認めさせない髭と認めさそうとする二人、壮大な勝負ですね。
主役?のケンスケは専用MSで出撃、活躍すると思いきや結果は・・・最後まで悲惨でしたね(^^;)
二人の結婚が認められたのでレイちゃんはさびしいですね。
結果がどうあれ「星の屑」を眺めて満足するリツコさん、MSですね(笑)
0083シリーズが終わってしまいましたが次はZシリーズ、さあカミーユ役は是非あのキャラでやって!と感想を送りましょうね。
とっても素敵なSSをくださった暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。
暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』」
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
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