ネオMS外伝 ガンダムセンチネル?
最終話
アースライト ケンスケ、宇宙(そら)に散る!
Made by 暗黒騎士ソード
エアーズ基地攻防戦から数日後。ネルフ艦隊は、戦後の事後処理にあたっていた。
「葛城司令、これが本日の書類です」
と、書類をもってくるマヤ。
「ふぇーい、今日もいっぱいあるねえ……」
ビール片手にやる気ないミサト。
「事後処理はそういったものですか。それより、ビール飲みながら仕事しないでください!」
「へいへい。ところで、敵の残存はどうしたの」
「はい、現在のところ。『ナガト』を旗艦とした捜索部隊が索敵をしてます」
「そう。ほんじゃ、ここの仕事が済んだら本隊も残存戦力を捜しに行きますか」
そう言って、ミサトは仕事にとりかかった。
「やれやれ、残ったのはこれだけか……」
と、艦橋から虚空の宇宙を見つめる冬月。そこには、損傷の激しいサラミス級巡洋艦『アオバ』がよろつきつつも旗艦である『ブル・ラン』を護衛していた。
「相田君、脱出できた眼鏡団の兵士はどのくらいかね」
「はっ!残念ながら、全体の2割……80名ほどであります」
「そうか……これまでだな……」
「閣下、まだ負けたわけでは!」
「しかし、残った戦力ではどうにもできんよ。将兵のことも考えると、もはや降伏しか……」
「じ、自分は降伏する意志はありません!(降伏したら、またMADの実験材料にされる。それだけは阻止せねば!)」
頑な決意を見せるケンスケ。
「だが、この状況下でどうやって戦うつもりかね。戦力は、比較にならんほど差がついているのだぞ」
「大丈夫です。我々には、切り札があります」
「切り札?」
「はい。まもなく到着するかと」
「冬月提督!所属不明の輸送艦がこちらに接近してきます」
「なにっ、総員戦闘配置につけ」
「お待ち下さい。あれは、時田さんですよ」
「時田君が……しかし、輸送艦1隻が来たぐらいでは。とりあえず、接舷しろ」
「了解」
輸送艦と接舷する『ブル・ラン』。
「おおっ、冬月提督……よくぞ、御無事で。それに、相田君も」
「時田さん、輸送艦できたってことはあれが完成したのですね」
「ああ、AMX−100『ゾディ・アッグ』だ。これで、ネルフ艦隊に勝てるぞ!」
「ほう、あの地球制圧用の巨大MAか。よく、準備できたな」
「彼等とこのクーデターを計画する前から開発だけはしてましたから。もっとも、反乱と同時に稼動する予定だったのですが。工期が遅れて……」
「いえ、時田さんは十分に力を尽くしてくれましたよ」
「そう言ってくれると有り難い。ところで、日向司令は?」
その質問をしたとたん、表情が暗くなるケンスケ。
「日向さんは……戦死しました。エアーズ基地で」
「そうか……戦死したのか。では、敵討ちだな」
「そうですね。で、じつは俺に作戦があるんです」
「ほう、どんな作戦かね?」
「はい、現状ではネルフ艦隊と戦っても勝ち目は極めて低いです。そこで、我々としてはまず敵の宇宙拠点であります宇宙ステーション『ペンダ』を制圧します。その後、『ペンダ』にあるシャトルを使い地球に降下。ネルフ本部を制圧します」
「なるほど……それが現状で行える最上の作戦だな。よし、残存戦力を再編成し『ペンダ』に向けて出撃する!総員、戦闘配置につけ!」
『了解』
敗戦を重ねつつも、士気だけは高い眼鏡団であった。
「葛城司令、エアーズ基地よりレーザー推進剤の転送完了しました」
と、マヤ。
「そう……じゃ、全艦隊に放送をするわ」
「了解。…………艦隊放送の準備が整いました」
「あんがと。全将兵に告げる、先ほど先行偵察部隊からの通信により我々の本拠地である『ペンダ』が制圧されたわ。けど、敵戦力はわずかである。総力戦をもってこれを撃破せよ!」
『了解!』
全艦の将兵が敬礼をし士気を高めた。
「それじゃ、さっくと『ペンダ』に行きますか」
「あの〜、作戦は?」
「じょーぶじょーぶよマヤちゃん。偵察部隊によれば、戦闘艦艇はたった2隻でしょう。まあ、補給艦と合流したけど弾薬補給程度でしょう」
「そ、そうですかあ……」
「悲観的ねえマヤちゃんは。さあ、さっくと終わらしてビールよビール!」
完全に眼鏡団をなめきっているミサト。そして、宇宙ステーション『ペンダ』のある宙域。
「葛城司令、先行している『ナガト』から入電。敵は、ステーションにあるシャトルを使ってネルフ本部を制圧するつもりです」
「なるほど……よし、MS部隊は全機発進せよ。目標は、敵艦隊旗艦『ブル・ラン』と奪取されたシャトル。MS部隊は、シャトルの降下を阻止せよ!シンジ君、頼んだわよ」
『了解しました。これで終わりですねミサトさん』
「そうよ。だから、かならず帰ってくるのよ」
『はい。Sガンダム、碇シンジ行きまーす!』
ペガサス3から出撃するシンジ。続けて、アスカのZプラスC型とレイのFAZZも出撃した。
「よーし、MS部隊は出撃したわね。ほんじゃ、MS部隊を援護するため全艦主砲一斉射撃……」
「し、司令!側面に、未確認の艦艇反応が!」
「な……敵残存艦艇?」
「いえ、この速度は……まさかMA?はっ、MAらしき物体から高密度エネルギー反応が」
「やばっ……急速回避」
あわてて、回避行動を取るペガサス3。
「ふははははははは、今頃になって気付いても無駄だ。時田さん、エネルギー充填は?」
「完了した。いつでもいけるぞ!」
「了解!ふははははははは、これでもくらいやがれMAD赤木!」
次の瞬間、ゾディ・アッグから大出力のビームが放出された。ビームに飲まれ、数隻のサラミス級巡洋艦が消滅した。
「い、今のは……!?」
と、驚愕の表情になっているシンジ。
「本隊が攻撃を受けたみたい」
即答するアスカ。
「どうする。ペガサス3の防衛に当たるか?」
「もどっちゃダメよ。ここで、後退すれば逆に付け込まれるわ」
と、レイ。
「なら、アスカと綾波は艦隊を頼む。僕は、あの巨大MAを破壊する」
「シンジ危険よ。前の戦闘で、Iフィールド発生装置を破壊されたんでしょう。あんな大出力ビームを喰らったら、Sガンダムでもひとたまりもないわ」
「大丈夫。僕を信じて」
「でも……」
「アスカ、恋人なら信じてあげなさい。それに、あんなMAはSガンダムでしか倒せないわ」
「……そうね。シンジ、絶対に生きて帰ってくるのよ!」
「もちろん。アスカや綾波こそ無理はしないでよ」
「当然。まだ、やりたいこともあるんだから」
「じゃあ、後は頼んだよ」
そう言って、MAに突進するシンジ。
「前の戦いもそうだけど、今回はシンジと離ればなれになる回数が多いわ。全く、ミサトがグズだからこうなるのね」
「葛城司令に何かを期待するのは間違いよ。それより、来たわよ」
「ざっと見て、ゼク・アインが10機か。よ〜し、行くわよ。今の私は虫の居所がわるいんだから!」
ビームスマートガンを構え、突っ込むアスカのZプラスC型。
「いっけ〜!」
そして、宇宙に命の終わりを告げる大輪が咲いた。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!どうやらネルフ艦隊は大損害を受けたようだな」
と、バカ笑いのケンスケ。
「よし、このまま敵旗艦をを潰すぞケンスケ君」
「了解しました時田さん!ふははははは、これで終わりだMAD!」
狙いを定めるケンスケ。
「そうはさせない!」
そこへ、シンジのSガンダムがやってきた。
「ちぃ、碇か!またしてもお前は俺の邪魔をするのか!」
「ペガサス3はやらせない!ケンスケ、なぜ反乱を起こした!」
「貴様に話す必要はない!覚悟しろ碇!」
ビームで攻撃するケンスケ。
「なんの、そんな攻撃!」
回避しつつ、ビームスマートガンで攻撃するシンジ。
「甘い!ゾディ・アッグの機動力を見くびるな!」
高速で、シンジの攻撃をよけるケンスケ。
「ケンスケ君、これではラチがあかない。ここは、一気に勝負を決めよう!」
「そうですね時田さん」
「では、ゾディ・アッグ分離!」
ゾディ・アッグの分離プログラムを走らせる時田。そして、ゾディ・アッグは分離した。
「なにっ、分離しただと!?」
驚くシンジ。
「どうだ碇!これこそ、ゾディ・アッグの究極形態。ゾアン1と2だ」
「よーし、分離成功!俺は、MAD赤木を超えたぞ!」
よろこぶ時田。しかし、MAの分離ができたぐらいでリツコを超えたかどうかは極めて怪しいものである。
「分離したぐらいで。それに、その状況ではさっしのような大出力ビーム兵器は使えないぞ」
「確かにな……。しかし、分離したことで俺とお前は2対1になった。不利な状況にいることにかわりはないぞ碇。いや、むしろ事態は悪化したといえよう」
「くっ……だが、僕は負けない!僕を待っていてくれる人の為にも!」
『そのとうりよシンジ!』
「えっ、今、Sガンダムがしゃべったような……」
「よそ見をしている場合か碇君。くらえ、ビームカノン!」
ゾアン2のビームカノンに、エネルギーを充填する時田。だが……。
『ジ……ジジジ……』
「なっ……、なんだ、今の音は……はっ、ジェネレーターに異常!し、しまった……電力供給が」
あちこちスパークをするゾアン2。
「と、時田さん!どうしたんですか?」
「ジェネレーターが異常過熱した。だ、ダメだ……、機体の装甲板に金属ストレスを確認。こ、構造も維持できな……うわああああああ!?」
『チュドーン』
そして、爆発するゾアン2。
「時田さ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
絶叫するケンスケ!
「お、おのれ〜碇!よくも時田さんを〜」
「勝手に自爆したんだろうが。これ以上の戦いは無意味だ。降伏しろ」
「そうはいくか。しかし、1対1では不利だ。こうなれば、ネルフ本部を道連れに自爆だ!」
地球に降下するケンスケ。
「逃がすかケンスケ!」
追撃するシンジ。
「くう〜、追ってきたか。だが、ここでやられるわけには。これならどうだ!」
有線制御式ビーム・クローで攻撃するケンスケ。
「なんの」
シンジもリフレクターインコムで迎撃した。
「こっちもいくぞ!」
ビームカノンで攻撃するシンジ。
『チュドドドドド』
狙いは外れず、ケンスケの乗るゾアン1に命中した。
「のおおおおおお。このままではヤバい!こうなったら、多少のダメージは覚悟の上だ。一気にネルフ本部を目指す」
シンジとの戦いを放棄し、ネルフ本部を目指すケンスケ。
「逃げるかケンスケ!」
「ふはははは、Sガンダムは素晴らしいMSだが大気圏突入はできまいて。せいぜい指をくわえてそこで見ていろ!」
「どうする!Sガンダムには、大気圏突入能力はない……」
『シンジ、第三東京市の人たちを見捨てるの』
「な、なんだこの声は……まさか!」
『ようやく気付いたのね。本当に、鈍感なんだから』
と、モニターに一人の女性が映し出された。
「か、母さん!?」
『やっぽー。シンちゃん元気してる?』
のんびりした口調のユイ。
「何やっているんだよ」
『うーん、じつはエヴァの中にいても暇だからここに移し変えてもらったの』
「そ、そうなんだ……」
リアクションに困るシンジ。
『さあ、あのMAを追撃するわよシンジ』
そう言って、大気圏に突入するSガンダム。
「か、母さん、Sガンダムに大気圏突入能力は……」
『大丈夫よ。リツコさんに頼んで大気圏突入能力を追加してもらったから』
「そ、そうなんだ……。(リツコさんと母さんが組むと、MAD指数が上がるな)」
『それじゃ、とっとと追撃するわよ!』
そして、あっさりとケンスケの乗るゾアン1に追い付いた。
「なっ、Sガンダムに大気圏突入能力は……」
「それが、どういうわけけ追加されて」
と、シンジ。
「なに〜。や、やばい、この状況は碇に背後を見せていることになっている……」
「そうだねケンスケ」
「や、やめろ碇。武士は、背後から攻撃はしないものだぞ!」
「残念だけど、攻撃をさせてもらう。覚悟!」
ビームスマートガンとビームカノンで攻撃するシンジ。
『チュドドドドドド〜ン』
「どうわあああああ!あちこち、火を吹いている〜!装甲板がぼろぼろに……」
パニック状態のケンスケ。
「こ、このままでは本気で死ぬ。こうなったら、碇!お前も道ずれだ!」
反転し、シンジに攻撃を仕掛けようとするケンスケ。
「うおおおおおおおおおおおおおお、ゆくぞおおおおおおおおおおおおおお!」
「来るかケンスケ」
灼熱の空間で退治する両者。
「俺は忘れていた!この戦いは、始めから俺自身の戦いなんだ!いくぞ碇!」
有線制御式ビーム・クローで攻撃するケンスケ。
「やられるものか!うおおおおおおおおお!」
ビームサーベルを抜き、一気にケンスケとの間合をつめるシンジ。
『シンジ、側面からくるわ』
「わかったよ母さん。インコム発射!」
インコムで撃破するシンジ。
「なっ!」
「もらったケンスケ!」
ゾアンを、正面からまっ二つに切り裂くシンジ。
「こ、こんな……こんなところで……。お、おのれ〜MAD SCIENTIST〜!」
大気圏でケンスケのゾアン1は爆発した。そして、ケンスケの戦死を確認した冬月率いる反乱軍は抵抗を断念し降伏を申し出た。
反乱終結から数日後。
「おほほほほほほほ、反乱するとはいい度胸ね。あなたたち」
と、手錠をはめられ椅子に縛られているケンスケ、マコト、シゲル。どうやら生きていたようである。
「ひ、ひええええええええええ〜。あ、赤木博士!?」
おびえた表情のケンスケ。
「ふふふふふふ、そんなに私のMS実験に付き合うのがイヤなので。でも、これは私達の使命なのよ。さあ、今日から10ヶ月は寝ないでMSの実験を行なうわよ!」
『いやだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!』
その後、リツコの奇声とケンスケ達の悲鳴が地下からこだましたとさ。
(FIN)
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき
ども、暗黒騎士ソードです。
なんか、慌ただしくガンダムセンチネルネタが終わりました。
うーん、今回はユイさんが初登場。
まあ、本当のSガンダムには『ALICE』ってシステムが組み込まれてます。
もちろん、エヴァみたいに人間を取り込んだわけじゃありません。
さて、次回はZZ編ですけど……。
じつわ、まだネタができてない!
のおおおおおおおお、石を投げないで。
投げると、自分のパソコンが壊れますよ。
いや、配役をどうするかで困ってまして。(ついでに、時間もないけど)
ネタが浮かび次第、書きますので。
では、また会う日まで。
追記
このSSを見たサンライズ関係者のみなさん、お願いですから『ガンダムセンチネル』を映像化して下さい。
今なら、本当に売れるってば安田さんに富田さん。
暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
残り少なくなった眼鏡団、起死回生を狙い切り札『ゾディ・アッグ』を投入しましたね。これでシンジ君を倒せるとおもいきや、Sガンダムにはなんとユイさんが!ずっとエヴァに居るのが暇なんですね。
そして大気圏突入能力が施されていたSガンダム(リツコさん曰く『こんな時の為よ』ですね)は見事ケンスケを撃破ですね。
戦死していたメガネにロンゲも生きていましたね。でも実験に付き合わせられるのなら戦死していたほうがマシかも(^^;)
センチネル編は今回で終了ですね、次はZZ編果たしてどんな配役になるのでしょうか?
俺もセンチネル映像化希望だぜ!と感想を送りましょうね。
とっても素敵なSSをくださった暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。
暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』」
皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!
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