劇場版 起動戦士ガンダムZZ?

ラストテイク

戦士、再び!

Made by暗黒騎士ソード


地上で戦闘は、ダブリンでの戦いを最後に集結した。

ネオゼーレ軍の、軍事力を誇示した作戦であったがコロニー落としは逆に地球圏の市民への反感を買うだけであった。

そこで、体制の建て直しを含めネオゼーレ軍は一時、宇宙への退却を余儀無くされていた。

その状況を利用して、ネルフ宇宙艦隊が戦力を再編させネオゼーレ軍との最終決戦に向けて着々と準備を整えていた。

そして、その先遣隊として地上で連戦を続けていたア−ガマ隊にその任が命じられた。



「みんな、久しぶりに宇宙に上がるわよ」

と、ノルウェーはオスロ基地で補給を整備を受けていたところへ、ミサトが新たな指令をもってきた。

「宇宙にですか?でも、突然ですね」

愛機である、ガンダムMk2を整備しているヒカリ。

「ええ、そうよ。ま、上はいつもこうだから。って、ププッ……ヒカリちゃん。顔にオイルがついているわよ」

「ええっ、本当ですか?」

あわてて、布巾で顔についたオイルを拭くヒカリ。

「ああっ、そりゃ雑巾やでヒカリ」

「う、うそっ!」

ますますよごれるヒカリ。

「それより、シンジ君とアスカは?」

「碇少尉でしたら、Zガンダムの整備をしてますよ。でも、アスカは……」

「せやな。ZZガンダムの整備もメカマンに任せっぱなしやしな」

「はあ、こまったものね。エースパイロットがこれじゃあ……」

「でも、ショックなんでしょう。アスカは、一人っこだったからお姉ちゃんって呼んでくれたレイが死んで……」

「そうね。今は、そっとしておくしかないかもね」

そう言って、遠くを眺めるミサトであった。



「はあ……何やっているんだろうわたし……」

海岸で、何をするでもなくボーとしているアスカ。

「戦いの最中……レイのクローンがでてきただけで動揺して……。ホント、何やっているのかしら」

砂浜に座り込み、これまでの事を考えてみたが気分は晴れなかった。

「もしかして……私のやっていることは意味がないのかしら……。そうよね。しょせんは、14の女の子。何もできやしないわ。明日、ここを出ていこう。ミサトは、私の事をニュータイプとかって言っていたけど、本当にそうでも14の子供に何ができるのよ。しょせん、私にできるのはジャンク部品を拾って売り捌くだけよ」

「そんなことないと思うよ」

いつの間にか、後ろにシンジが立っていた。

「シ、シンジ!?い、いつの間に」

「さっきからいたよ。でも、声をかけるタイミングがなくてね……」

照れたように言うシンジ。

「なんか、情けないところを見せたわね」

「そんなこと……」

「ホント……情けないよね。目の前で、仲間が必死に戦っていたのに……私は、何もできなかったわ」

「アスカ……もしかして、レイちゃんのことを……」

「私ね。家族ってやつ、ほんとんど知らないんだ。この前の、大戦でコロニーに穴があいて……。パパもママも、宇宙に吸い出されちゃった。それから、ヒカリと一緒にジャンク屋やって生活してきたわ。楽じゃなかったけど」

「そうなんだ」

「ねえ、シンジはなんでネルフのパイロットに」

「僕は、志願したんだ。このままじゃ、いけないと思って」

「そうなんだ」

「ねえ、アスカ。僕達は、一人でできることはたかが知れているかもしれない。でも、全力を尽くせばきっと結果はついてくるよ」

「シンジ……」

「だから、もう落ち込まないでよ」

「うん……わかった……。レイの為にも、私は最後まで戦うわ」

そう言って、いきなりシンジに抱き着くアスカ。

「ア、アスカ!?」

「でも、今だけは甘えさせて。お願い……」

「うん、いいよ。それで、アスカが安心できるのなら」

そして、浜辺で抱き締めあう二人を夕日が照らしていた。



「さて、本部から通信が入ったわ。月軌道上で、新型戦艦を受領してネオゼーレ軍と決戦よ!」

と、ミーティングルームで本部からの連絡事項を伝えるミサト。

「えっ、でも新型戦艦を受領って?」

疑問に思うヒカリ。

「せやせや、ア−ガマはどないするんや?」

「ア−ガマとは、ここでお別れ。それに、連戦で本格的な修理が必要なのよ。まあ、私としては最後までこの艦で戦いたかったけど」

「して、宇宙へはどうやって上がるのですか?」

と、シンジ。

「この基地に、HLVがあるわ。既に、MSは搭載してあるから各員は忘れ物をないように。それと、アスカ……」

「なに、艦長」

「あなた、大丈夫?もし、辛いのなら……」

「大丈夫よ。この戦い、最後まで見届けるわ」

「そう。なら、いまから1時間後に宇宙に上がるわ」

『了解』

そして、オスロ基地から1機のHLVが宇宙へと上がった。



「艦長。新型戦艦との合流地点です」

と、オペレーターの報告。

「へえ、あれが新型戦艦ね。なんか、ア−ガマにそっくりね」

「そうですね。あっ、ランチがやってきました。あれに乗り換えですね」

「そう。じゃ、艦艇要員はランチに移乗。パイロットは、自分のMSで直接乗り付けて」

そして、ミサト達は新型戦艦に乗り移った。

「ようこそ、新型戦艦『ネェルア−ガマ』へ」

MSデッキでは、整備主任が一同を出迎えた。

「ご苦労様。ところで、あなたは?」

「自分は、整備主任のエディク少尉でありあます。MSおよび本艦の整備主任であります」

「そう。ところで、この艦は『ア−ガマ』とかなり似ているわね」

「そりゃそうですよ。なんせ、『ア−ガマ』2番艦ともいうべき戦艦ですね。けど、『ア−ガマ』以上の艦ですよ」

「なるほどね。じゃ、さっそくブリッジに案内して」

「了解しました。こちらです」

直通エレベーターを使って、ブリッジに向かう一同。

「あっ、みんな!やっときたのね〜」

と、ノーテンキな声で話すレイ。

ブー!?

盛大に、ずっこける(死語)一同。

「レ、レイ!?あ、あんた、死んだんじゃ?」

「ぶ〜、ひど〜いアスカお姉ちゃん。レイちゃん、死んでないモン!」

プリプリ怒るレイ。

「け、けど、脱出装置の作動は確認してないわ。どうやって生還したの?」

不思議に思うミサト。

「えっ、どうやってかって。ちゃんと、脱出装置を作動させたよ」

「うーん、そうするとなんらかの原因でシグナルがキャッチできなかったのかもね。ま、なによりも、生きていてくれてよかったわ。もっと不思議なのは、どうやってここにきたの?」

「簡単よ。ネオゼーレ軍のシャトルを強奪してきてここにきたよ。あ、それからなんか新型MSも一緒にもらってきた」

さらっと、凄いことを言うレイ。

「そ、そう……(ネオゼーレ軍の輸送責任者に同情するわ)」

「で、かっぱらってきたMSはどこにある」

「もう、MSデッキに搬入しているよ。今度のMSもキュベレイだったけど。ちょっと、性能が違うみたい」

「そ。ま、いいわ。こっちとしては、戦力が増えたわけだし。(けど、誰も不思議におもわなかったのかしら)」

いささか、緊張感の無さに不安を感じるミサト。

「それじゃ、レイの復帰を祝ってこれからパーティーね」

こうして、一時だが戦争を忘れる一同だった。



一方、新型MSの輸送責任者はマヤの前に呼び出されていた。

「……ったく、しょせんは日向君の部下ね。使えないやつには、使えないやつしかあつまらないのね」

ジト目で責任者を見下すマヤ。

「も、申し訳ありませんマヤ様」

平身低頭の様相を見せているのはケンスケであった。

「名誉挽回のため、新型兵器の輸送任務を与えたのに……。まんまと強奪されるとは。しかも、相手はジム3がたった1機よ。それに負けるとはね」

「し、しかし、あのジム3は動きが普通ではありませんでした」

「言い訳はいいわ。あなたに処分を下します。研究班!」

『はっ!ここに』

マヤの一声で、数人の白衣を着た男達がやってきた。

「例の強化人間計画は順当に進んでいる」

「はい。問題なく」

「じゃ、実験体が見つかったわ。さっそくだけど、処分しちゃって」

「ははっ。わかりました」

「ちょ、ちょっと待て!処分ってなんだ。ってか、俺は実験体なのか。って、放せ〜」

しかし、ケンスケの絶叫も虚しくケンスケは白衣の男達に連れていかれた。




「さて、情報部から連絡が入ったわ。現在、ネオゼーレ軍は艦隊を再編。再び、地球への降下をすると思われる。よって、本艦は主力部隊に先立ち敵艦隊への攻撃を開始する」

艦橋で、今後のことについて語るミサト。

「ちょっと待って。まさか、『ネェルア−ガマ』1隻で敵にあたるつもり」

と、アスカ。

「まさか。既に、衛星軌道上にネルフ第1艦隊が展開済みよ。それに、ネオゼーレ軍の後方には、グラナダ艦隊も来ているわ。私達は、陽動部隊よ」

「けど、1隻では問題があります」

控えめに意見を述べるヒカリ。

「そのへんは、心配いらないわ。現在、2隻のサラミス級巡洋艦がこっちにきているわ。増援を待って、我々は敵側面より攻撃を開始するわ」

「なるほどね。それなら問題ないわね」

「それじゃ、パイロットはMSで待機。対空要員は全天防衛体制。砲撃手は、いつでも砲撃できるようスタンばって!さあ、これが最後の戦いよ!」

部下を叱咤激励するミサト。

「さてと……最後の戦いね」

パイロットスーツに着替え、ZZガンダムに向かうアスカ。

「そうね。ねえ、アスカ。この戦いが終わったらどうする」

同じく、パイロットスーツに着替えたヒカリ。

「そうねえ。戦いが終わって直ぐにサヨナラってわけにもいかないでしょう。しばらくは、ネルフと一緒に復興活動に従事するわ」

「そうなの。じゃ、私もそうするわ」

「鈴原と一緒に帰らなくていいの?」

「多分、トウジもアスカと一緒の考えだと思うわ。あれで、結構義理堅いから」

「そうね。あいつは、不器用だけどそういうヤツだもんね」

「それよりアスカ。無理はしちゃだめよ」

「ヒカリこそ」

「じゃ、援護は任せて」

そう言って、ガンダムMk2に乗り込むヒカリ。

「アスカ!準備はいいかい?」

そこへ、シンジがやってきた。

「シンジ」

「よう!」

と、トウジ。

「あんた達、男なのに着替えるのに時間がかかるわね」

「ま、男にもいろいろあるんや。さてと、ワイは百式に乗り込むで。『ネェルア−ガマ』の護衛は任せときや。ほな、無理するんやないで」

そして、百式に乗り込むトウジ。

「ねえ、なんでみんな私に無理するなって言うのかしら」

「多分、アスカは必要以上にがんばりすぎるんだよ」

「そうかしら?」

「ねえ、アスカ。戦いが終わったら……」

「うん、なにシンジ?」

「戦いが終わったら、僕と一緒にグラナダに来ない。僕の家があるんだ」

「グラナダね。シャングリラもいいけど、グラナダでもジャンク屋で稼げそうね」

「あはははは……」

「で、もしかして、このお誘いはプロポーズ?」

「えっ、そ、その……もし、君がよければ……」

みなまで言い終える前に、アスカによって唇を塞がれるシンジ。

「いいわ。オッケーよ」

「アスカ」

「そのかわり、私にも一つだけ条件があるわ」

「なに」

「必ず生き残るのよ。私を残していったら承知しないからね」

「了解。じゃ、僕はもう行くよ」

そして、Zガンダムに乗り込むシンジ。

「さてと、私もZZガンダムに乗り込みますか」

「アスカお姉ちゃん!」

「レイ。あんたも出撃」

「もちろん。この、キュベレイMk2でレイちゃんは、悪を退治にいくのだ」

「レイ……あんたを見ていると、悩みをもつ自分が馬鹿らしく思えるわ……」

「ぶ〜。酷いアスカお姉ちゃん。レイちゃんだって悩みはあるもん」

「へぇ〜、そうなの?」

「例えば、明日の御飯とか」

「た、確かに重要な問題ね」

額に汗を浮かべるアスカ。

「ところで、お姉ちゃん。いつ、結婚するの」

「レ、レイ!?」

「さっき、シンジお兄ちゃんにプロポーズされていたもんね。いいなあ」

「そ、そうね。とりあえず、戦争が終わってからね。それよりレイ。この前みたく、特攻はダメよ」

「はーい。レイちゃんも、もう死にたくないモン」

「理解しているならいいわ」

「じゃ、アスカお姉ちゃん。一緒にがんばろうね」

そう言って、キュベレイMk2に乗り込むレイ。

「やれやれ……」

ため息をつくアスカ。

そして、ZZガンダムに乗り込むアスカ。

「あっ、ラングレー少尉。御苦労様です」

「いつも整備ありがとうエディック少尉」

「少尉は先陣ですらね。増加装甲を付着しておきました。ビームコーティングを施してありますので。けど、接近戦になったら強制排除してください。装甲を増やしたぶん、機動力は低下してますから」

「オッケー。それじゃ、ちょっくらいってくるわ」

「ええ。お気をつけて」

そう言って、機体から離れるエディック少尉。

「さて、これが最後ね……。アスカ・ラングレー。ZZガンダム。いきま〜す!」

ネェルア−ガマのカタパルトから射出されるアスカ。

続けて、キュベレイMk2、Zガンダム、百式、ガンダムMk2が続けて発進した。

さらに、合流したサラミスからもジム隊が発進した。

「アスカ、見えたわよ。ネオゼーレ艦隊よ」

と、ヒカリ。

「ええ。あれが敵戦力の最後ね。あれさえ倒せば戦争は終わるわ」

「せやな。けど、無理するなや。ザコは、ワイとヒカリが引き受けたる」

「わかったわ。シンジ、レイ行くわよ!」

「オッケー」

「はーい」

やっぱり、約一名さっぱり状況を理解していないのがいる。

そして、目の前には護衛MS部隊であるガザCがアスカ達の行く手を塞ごうとしていた。




「マヤ様、ネルフ艦隊が!」

報告するオペレーター。

「そう、来たのね。よし、私がでるわ」

「えっ、マヤ様が」

「ええ、そうよ。キュベレイの準備は」

「はい。出来てますが……」

「じゃ、行くわ。それと、彼等の出撃準備はできている」

と、近くにいた研究員に訪ねるマヤ。

「はっ。多少、精神的には不安定ですが問題はありません」

「じゃ、出撃させて。一人は、正面の艦隊に。もう一人は、私の護衛につけてもらうわ」

「了解しました」

「さあて……。みせていただきましょうか。ネルフのニュータイプさん」

キュベレイで出撃するマヤ。

続けて、2機にMSが発進した。

「来たわね。どっちが、どの機体に乗っているのかしら」

『はっ、ザク3改に搭乗しているのが自分こと日向マコトであります!』

『同じく、クイン・マンサに搭乗しているのがニュータイプに進化しました相田ケンスケであります』

と、薬物と催眠療法で強化人間に改造されたマコトとケンスケ。

「よし。ザク3改は、正面のネルフ艦隊を攻撃しろ。前衛艦隊を、あなたの麾下に加えます」

『ははっ!分かりましたマヤ様!」

「クイン・マンサは私と一緒に後方および側面の敵部隊へ攻撃をするわ」

『了解しました!』

こうして、強化された狂人を従えてマヤは宇宙を駆け巡ることとなった。



「司令!正面にネオゼーレ艦隊を捕捉。MSも発進してます」

と、ネルフ第1艦隊旗艦のオペレーター。

「よし。こちらもMSを発進!なんとしても突破を許すな!」

「了解。全MS部隊発進せよ。くり返す……」

各艦から順次、MSが発進され敵と接触し宇宙に大輪が咲いた。

でひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ〜〜〜〜〜〜〜!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!落ちろ!

狂ったように、ビームライフルを撃ちまくるマコト。

「な、なんだあのザクタイプは」

「分からんが。ヤツのせいで、味方は被害をうけている。それに、ガザと違いパワーもある。おそらく隊長機だ」

「よし。一気に叩くぞ!」

数機のジム3が、マコトの乗るザク3改に攻撃を仕掛けた。

「死ね!ネオゼーレのMS」

ビームライフルで攻撃するジム3隊。

「甘い!そんな攻撃!」

機動力を駆使して、全弾回避するマコト。

「ば、バカな……」

「今度はこちらの番だ!死ねやあああああああああ!

ビームライフルを撃ちまくり、近付いてきたジム3にはビームサーベルで斬り付けた。

「こ、こいつは化け物か!」

「く、くそっ!どうにか……ぎゃあああ!?

被害が拡大するネルフ艦隊。

「ええい。たかが、1機のMSにこうもいいようにやられるとは!」

「司令。MS部隊の損耗が20%を超えました」

「このままでは、この方面の包囲網が崩れる。艦砲の射程内に誘い込め」

「了解」

一時、部隊を後退させるネルフ艦隊。

「ふははははははは、逃がすものか〜!」


追撃するマコト。

「司令。十字砲火の圏内に入りました」

「よし。砲撃で足留めをしろ。直後にMS部隊で止めを刺せ!」

「はっ」

一斉に砲撃を開始するネルフ艦隊。

「ぬ、ぬおおおおおおおおおおおお!このような攻撃なんぞおおおおおおおおおおお!」

機体の機動力を駆使して、その砲撃をかわすマコト。

だが、機動力を限界にまで出したためバーニアが一時的に出力が低下した。

「今だ!」

一斉にマコトに襲い掛かるジム3隊。

「な、なにっ!?やらせるものか!」

ビームライフルで、近付いてくるジム3を迎撃するマコト。

だが、機動力を失った機体では攻撃の範囲も限られていた。

「いただき!」

1機のジム3が、背後からビームサーベルで斬り付けた。

そして、続けざまに数機のジム3がビームサーベルで斬り付けマコトの機体は満身創痍になっていった。

「ば、バカな……。こ、この俺がこんなところで……ぬおおおおおおおおおお〜!マヤ様〜ばんざ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!

ダメージが限界に達し、爆発するマコトのMS。

そして、マコト率いる部隊を退けたネフル第1艦隊は艦列を立て直し再びネオゼーレ艦隊へ攻撃を開始した。



「うん、日向さんがやられたのか?」

マコトの波動が途絶えたのを感じるケンスケ。

「どうしたの相田大尉」

「はっ、日向中佐の波動が途絶えました」

「やられたのね」

「おそらく」

「まあ、いいわ。それより、敵が来たわよ」

「むっ!あれは、ガンダム!来たか、ネルフのMSめ。マヤ様、私はZガンダムを叩きます」

「わかったわ。けど、これが最後のチャンスよ。しくじれば粛正よ」

「は、はいっ!」

ビビるケンスケ。

「ここでしくじれば俺に後はない!ゆくぞZガンダム!」

全速力でZガンダムに突っ込むケンスケ。

「ゆけ〜、ファンネル」

強化されニュータイプ能力を身につけたケンスケがファンネル攻撃をシンジに仕掛けた。

「なんの!」

だが、巧みにその攻撃を回避するシンジ。

「やるなZガンダムのパイロット!しかし、ニュータイプに目覚めた俺ちゃまに敗北はない!」

メガ粒子砲を撃ちまくるケンスケ。

しかし、狙いをロクにつけていないので当たることはなかった。

「な、なぜ当たらない!何故だ!」

「ちゃんと狙いなさい!」

マヤのツッコミをうけるケンスケ。

「し、しかし、自分はニュータイプであります。ニュータイプたる自分は狙いをつけなくても問題ありません!」

「そんなわけないでしょう。真面目にやらないとお仕置きよ」

「も、申し訳ありません……」

ビビるケンスケ。

「と、とにかくZガンダム!今日こそ撃破してやるぜええええ!」

そして、シンジの乗るZガンダムに斬り掛かるケンスケ。

だが、シンジも巧みにケンスケの攻撃をかわしていた。

「や、やるなZガンダム!」

「なんか、滅茶苦茶な攻撃だな」

呆れるシンジ。

ゆくぞ〜!ちぇすと〜〜〜〜〜〜!ろちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!ちにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!うにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!ごにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

奇声を上げ、無闇矢鱈とビームやファンネル攻撃をくり出すケンスケ。

しかし、ロクに狙いをつけない攻撃が当たるわけはなかった。

「滅茶苦茶だけに、このままほっておくわけにはいかないな。一気にカタをつける!」

ビームライフルで攻撃するシンジ。

だが、クィン・マンサに搭載されているI・フィールドがビーム攻撃を防いだ。

「くっ!ビームはダメか。なら!」

間合いをつめるシンジ。

「ふははは、愚か者め!懐に飛び込んでくるとは!これで終わりだ!」

ビームサーベルを構えるケンスケ。

「死ねえええええ!」

そして、大振りに振り抜いた。

「甘い!」

しかし、その攻撃はシンジに読まれていた。

「な、なにっ!?」

「いただき!」

攻撃をかわされ、逆にビームサーベルでバックパックを破壊された。

「どわあああああああああ?なんたる不覚〜!」

バランスを失い、宇宙の深淵に落ちていくケンスケのクィン・マンサ。

そして、流れ弾であるミサイルがクィン・マンサのコックピットに直撃した。

ぎょわあああああああ〜〜〜〜〜〜〜。な、何故にこうなるううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜。お、おのれMAD SCIENTIST〜〜〜〜〜〜〜〜!

そして、あっけなく爆死するケンスケ。

「ったく。使えないわね。しかし、これがア−ガマ隊の力か……。ふっ、この戦い……趨勢は出たわね。なら、私のやるべき事は一つ!」

そう言って、アスカの乗るZZガンダムに対峙するマヤのキュベレイ。

「な、なにっ!?このプレッシャーは……」

「あなたも感じているようね」

「こ、この感覚は……。あなたは、何をしようとしているの」

「地球圏を、正しい方向に導くためよ」

「はん!武力を背景とした世界の再編なんて、混乱の連続よ。そんなの認めないわ」

「なら、あなたが未来を見せてごらんなさい。ネルフのニュータイプ」

そう言って、ファンネルを射出しビームカノンで攻撃するマヤ。

アスカも、ダブルビームライフルで牽制しつつマヤの隙を窺っていた。

だが、ファンネルとビームカノンを巧みに使い分け、アスカに接近戦を仕掛けさせないようにしていた。

さらに、友軍MSの支援攻撃を効果的に投入させており徐々にであるが劣勢に追いやられていった。

「くっ……つ、強い……他のパイロットとは段違いだわ」

「ふふふふ、そこいらのパイロットと一緒にされては心外ね。トドメよ。ガザ隊!ZZガンダムの動きを止めなさい」

『了解!マヤ様!』

だが、直後に数機のガザがビームに撃ち抜かれ火球と化した。

「な、なんなの?」

驚くマヤ。

「アスカお姉ちゃん!」

「レイ!?どうしてこっちに……。艦隊への攻撃は?」

「シンジお兄ちゃんがやっているわ。それより、お姉ちゃんは大丈夫」

「なんとか。今は生きているわ。けど、今度の敵はこれまでとは桁違いよ」

額に汗を浮かべるアスカ。

「レイね。ちょっと、厄介なことになるわね。けど、私はここでひくわけにはいかないわ!行くわよ。各機、ZZガンダムとキュベレイを落とすのよ」

『ははっ、マヤ様!』

そして、数十機のガザCがアスカとレイに襲い掛かった。

「アスカお姉ちゃん!ガザ隊は、私が食い止めるわ」

「わかったわ。でも、無理はするんじゃないわよ」

「うん!いくわよ〜」

そして、ガザC隊に突撃するレイ。

「ふっ、キュベレイが相手じゃガザ隊もそう長くはもたないわね」

コックピットで苦笑するマヤ。

「どうするのネオゼーレの頭領さん。あんた達は、完全にネルフ軍に包囲されたわよ。数の上では、そっちが有利でも包囲されちゃ戦術的には敗北よ。降伏したら」

「そうはいかないわ!私は、ここで歩みをとめるわけにはいかない!いくわよ」

ファンネルを展開し、ビームカノンで攻撃しつつ間合いをつめるマヤのキュベレイ。

それに対し、アスカもダブルビームライフや増加装甲に装填されたミサイルなどで牽制攻撃をしつつ、マヤの隙を狙っていた。

だが、お互いの実力が拮抗しているのか決定的な打撃を与える事ができないでいた。

「くっ!やるわね」

「そっちこそ!」

舌打ちするアスカ。

(どうするのこのままじゃ、決着がつかないわ)

攻撃しつつ、周囲を見渡すアスカ。

その時、大破したネルフ軍のサラミス級巡洋艦が漂流してきた。

(あれは、友軍艦……。よし、あれをつかえば……)

何かを思い付いたのか、大破したサラミスの影に隠れるアスカ。

「ふっ、そんなもので私の目をごまかせると思っているの!見くびらないで!」

ファンネルを発射し、全方位から攻撃をするマヤ。

そして、一瞬の間をおいて大破したサラミスは粉々に粉砕された。

「バカね。射線を自ら見えなくするなんて」

「それはどうかしらね」

「な、なにっ!?」

いつの間にか、背後にアスカのZZガンダムが周りこんでいた。

「これで終わりよ!」

ハイバービームサーベルで、マヤのキュベレイを斬り裂くアスカ。

だが、わずかに機体をずらし致命傷をさけるマヤのキュベレイ。

「くっ、ま、まさか……こんなことになるとわね」

その時、マヤの後ろに浮かんでいたネオゼーレ軍の旗艦であるサラダーンがネルフ軍の集中砲火を受けて沈みつつあった。

「サラダーンもやられたか……。ふっ、これまでね」

「マヤ!もう、決着はついたわ。投降しなさい!」

「残念だけど、そうはいかないわ」

「まだやるつもりなの!」

「そうじゃないわ。決着はついたわよ。地球には、あなたのような意志のある人間がいることがわかったしね」

「えっ?」
「じゃあね。楽しかったわ」

そう言って、残ったバーニアを稼動させ方向転換するマヤのキュベレイ。

「な、何を……」

いきなりの事に、状況がつかめないアスカ。

そして、マヤの乗るキュベレイは集中砲火を受けているサラダーンに突入していった。

「ま、マヤ!」

(これで、地球の重力から解き放たれるわ)

「えっ……今、なんて……」

『アスカ……アスカ……聞こえる!大丈夫か!?』

そこへ、シンジの乗るZガンダムが接近してきた。

『アスカ!返事をしてくれ』

だが、ZZガンダムから返事はなかった。

「アスカ!まさか!嘘だろう!」

あわてて、Zガンダムから降りてZZガンダムのコックピットに近付くシンジ。

「中の気密は保たれている。外傷もない。とりあえず、中にはいってみるか」

慎重にコックピットのハッチを開けるシンジ。

そこには、シートに座っているアスカがいた。

「アスカ、どうしたんだ!何があった」

「シンジ……あれ、あたし……どうして……」

アスカは泣いていた。

「アスカ……君も聞こえたんだね」

「シンジも……聞こえたの」

「うん。聞こえたよ。重力から解放されるって」

「マヤは、地球から追われた人たちを地球に戻そうとしていたのね。でも、彼女にとってはそれが重圧だったのね」

「そうだね。彼女は、地球の重力から解き放たれたかったのかも」

「シンジ……戦いは……」

「終わったよ。ネオゼーレ艦隊は降伏したよ」

「そう……終わったのね」

こうして、ネオゼーレ軍による地球制覇はネルフ軍によって阻止され、地球圏はネルフを中心とした組織による再建を果たす事となった。

そして、戦いが終わって数週間後。

「ねえアスカ。やっぱり行くの?」

と、ヒカリ。

アスカ達は、月のグラダナにある惑星間宇宙港にいた。

「ええ。ちょっと、地球から離れてみようと思うの」

「せやけど、何も地球圏から離れんでも」

「大丈夫。シンジも一緒だし」

と、隣では二つのスーツケースをもっているシンジがいた。

「それより、ヒカリも早く鈴原と一緒になりなさいよ」

「バ、バカッ!何をいうのよ」

「アスカ。そろそろ、ジュピトリス三世号が出港するよ」

「そう。わかったわ。ところで、ミサトとレイはどうしたのかしら?」

辺りを見渡すアスカ。

「ごみーん。遅れて」

そこへ、ノー天気な声でやってくるミサト。

「ミサト。もう、出発の時間よ」

「ゴメンゴメン。ちょっち手間取ってね。はい、これ」

そう言って、一つの封筒を渡すミサト。

「なに、これ?」

「退職金よ。それと、餞別をあなたの乗る船に積んでおいたわ」

「退職金ねえ。ま、有り難くもらっておくわ」

「じゃ、私はこれで。これから会議なのよね」

「御苦労さま。しばらく会えないけど元気でね」

「ええ、あなたもね。みんなも元気でね」

そう言って、シンジと二人でジュピトリス三世号に乗り込む。

「さてと。ネルフも太っ腹ね。木星までファーストクラスのキャビンを用意してくれるとわね」

「そうだね」

『しつれいしま〜す!ルームサービスで〜す』

と、ノー天気な声でルームサービスを告げる声がした。

「ねえ、この声って……」

「ああ、間違いないね」

そして、立ち上がりドアを開けるアスカ。

「レイ、何をやっているの?」

「あ、あれ、ばれちゃった……」

「ミサトの差し金ね……。ったく……」

「アスカお姉ちゃん酷い。私も一緒に行く!」

「あんたねえ。木星よ木星。地球から凄く遠いのよ」

「いいもん。レイちゃん、アスカお姉ちゃんと一緒ならいいもん」

「それより、チケットはもっているの」

「もちろん!」

そういって、ファーストキャビンのチケットを見せるレイ。

しかも、アスカ達と同じ部屋であった。

「はあ、なんでこうなるのかしらね」

「まあ、長い旅だしいいんじゃ……」

「やれやれ。戦争が終わっても悩みはつきないわね」

「ぶ〜、お姉ちゃん酷い」

「大人しくしているのよレイ」

「もちろん!さあ、未知なる宇宙へ向けて出発!」

「元気ね……。でも、それもいいかもね」

こうして、戦いを終えたアスカは新たな旅に向けて出発した。










(FIN)











「はい、カット〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

と、メガホン片手に監督をやっているリツコ。

「先輩、終わりましたね」

と、敵役であるマヤ・ハマーンの格好のままでリツコの隣に立っているマヤ。

「おほほほほ、この作品もいい完成だわ!私の目指すGはもうまもなくね」

そこへ、一台の救急車がやってきた。

「あら、どうして救急車が?」

「さあ?」

その時、大破したクィン・マンサから悲鳴が聞こえてきた。

「ひょえ〜〜〜〜〜〜〜!助けてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

悲鳴の主はケンスケだった。

「あら、クィン・マンサが火を吹いているわね。事故かしら」

他人事のように言うリツコ。

「どうやら、そのようですね。急いで消火させますか」

「そうね。火災につながるからね。シンジ君、悪いけどZガンダムのハイパーメガバズーカランチャーでクィン・マンサを破壊してくれないかしら」

『了解しました』

狙いを定めるシンジ。

「わっ!な、何やっている碇!お、俺に狙いをつけるなあああああ〜」

「発射!」

「うな、一度に二度もかあああ〜〜〜〜〜〜〜!お、おのれMAD SCIENTIST〜〜〜〜〜〜〜〜!覚えていろ〜〜〜〜〜〜〜!

こうして、ニ度めの爆死をとげるケンスケであった。



(ホントに終わり)



%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき

ども、21世紀になりいつジオンが地球に宣戦布告してくるのかを毎日愉しみにしている暗黒騎士ソードです。

ようやく、ZZ編が終了しました。そういや、巷では、Zガンダムの映画化が決定されたそうで。しかし、タイトルは何でしょうかねえ。もしかして、Zというよりガンダムキャラの中でもっと不幸なジェリドを主役にした映画かも。(タイトルは、ジェリドの不幸な一日とか)

それでは、次のネタでお会いしましょう。


 暗黒騎士ソードさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜
 
 レイちゃんの死で元気が無いアスカちゃん、シンジ君の励ましにより最後まで戦う事を決意しましたね。そして宇宙に上がる為にネェルアーガマに乗り込んだら、なんとそこには死んだはずのレイちゃんが(笑)

 一方のネオゼーレ軍のケンスケはマコトと一緒に強化人間に改造されてしまいました、これで少しは強くなればいいのですが。

 そして最終決戦はマヤちゃん対アスカちゃん、結果は・・・ネオゼーレ軍の敗北。

 戦いが終わり木星へ行くシンジ君とアスカちゃん、それにレイちゃん。これからどんな生活が始まるのでしょうね。

 そして映画を作り終えて満足なリツコさん、目指すGはもうすぐですね。

 リツコさん次も期待しているよと感想を送りましょうね。
 
 とっても素敵なSSをくださった
暗黒騎士ソードさんに皆さん感想を送りましょう。

 暗黒騎士ソードさんのHPはこちら!「反乱軍総司令部『イルナーダ』

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


 テイク3 宇宙の追撃戦

投稿:劇場版 起動戦士ガンダムZZ? テイク4 落ちてきたそら ダブリンの午後