エヴァンゲリオン学園

第弐拾九話

占い

 夏の陽射しがまだまだ暑い放課後、いつものメンバーはクーラーがきいたゲームセンターで急速冷蔵。

 ここはゲームセンター、行動を起こさない方がおかしい。

「レースやろうぜ」

 ケンスケは対戦レースゲームを指差した。最近入荷した新型である。

「おっしゃあ、やるか」

「いいよ」

 トウジとシンジはすぐさま合意した。レースと聞いて走り屋の血が騒ぐのだろう。

「あっ私もー」

 マナがサッと手を上げた。普通レースゲームに女の子は参加せずに見ているだけであるが行動派の彼女は参加する。

「そうかい、二人はどうする?」

 ケンスケは残りの二人、アスカ、ヒカリに聞いた。通信ゲームなので六人同時にできる。

「アスカどうする?」

 ヒカリはアスカに聞いた。

「うん・・・・私は・・・・・・」

 迷っていた。運動神経が良いアスカでもレースゲームは得意ではない。シンジとTVゲームでレースをしても大抵1周遅れになっていた。

「アスカやろうよ。ちょうど六人だし滅多にできないよ」

「おおそうや、こんなこと滅多にないでイインチョも参加しようで」

 確かに六人同時は滅多にできることではない。

「う、うん、ヒカリやろ」

「わかったわ」

 こうしてゲームはスタートされた。

 

 

 レースゲームは車選びも重要であるが、スタートダッシュが肝心である。慣れている三馬鹿の実力はほぼ互角、スタートで前に出た方が勝利をおさめる。

 レッドシグナルが点滅、三馬鹿はアクセルを踏み回転数を調整、合図に備える。女性陣はそんな事は気にしないでアクセルべた踏み、回転数が限界にきている。だがアスカだけは違った。

(この辺かな?)

 アクセルを踏んだり離したりで真ん中に来るようにしている。TVゲームでシンジに教えてもらったのである。

 そしてグリーンシグナル、エンジン音が響いて動き出す。

「よっしゃ!いただきや」

 飛び出したのはトウジ続いてシンジ、ケンスケである。女性陣はアスカ、マナ、ヒカリの順である。

 スタートして数十秒、すでに三馬鹿と女性陣とでかなりの差が出始めた。

 三馬鹿は上手にカーブをドリフトでクリアーしていくが、女性陣はぶつかっては進みぶつかっては進みである。

 

 

 

「おっしゃあ、ワイの勝ちや」

 ゴール、トウジが最初からトップを守ったまま1位を決めた。2位はケンスケ、わずかな操作ミスでシンジは3位に終わった。アスカ、マナ、ヒカリはその順位である。

「はあー難しいわね」

 マナはステアリングをまわすとキョロキョロとまわりを見た。

「やっぱりアッチがお似合いかな」

 マナはアスカ、ヒカリを誘うと落ちゲーのコーナーに向かった。三馬鹿はガンゲームなど体感ゲーム。やはり男子と女子、好みがわかれる。

 落ちゲーをする三人、アスカが得意である。シンジと対戦しても勝つ、頭を使うからであろうか。

「アスカ上手ね」

「これだけは負けないわよ」

 マナに圧勝したアスカはニッコリと微笑んだ。

 落ちゲーをやり終えると店内をまわり新機種が出ていないかを確かめる。

「あっ!あれ」

 マナが何かに気づいた。二人は指差した先を見た。そこには

「占いね」

 ヒカリがいち早く飛びついた。占い好きらしい。

 個人の名前、生年月日、性別、血液型、占って欲しい事を入力するとプリントが出てくるタイプ。外装は丸みを帯びていて女の子が好きそうである。

「何を占おうかしら?あっ!」

 ヒカリがどれにしようか説明を読んで思案しているスキに、マナは素早くお金を入れた。

「早い者勝ちよ。当然これ!」

 ピッ!

 素早く項目を押した、それは恋人相性度。男性と女性のデータを入力すると占ってくれるのである。

「フンフンフ〜ン♪」

 鼻歌を歌いながら男性の入力を入れた。アスカは横から見ていて驚いた。

(あっ!・・・・)

 碇シンジ、そうマナはシンジのデータを入力していたのである。

 間違えずに入力していく、どうして知っているのだろうとアスカは思った。出所はケンスケだろう。

「これでよし!」

 自分のデータも入力し終え、ENTERを押すと数十秒後に結果が出てくるのである。

 

 

 

 ピッ!

 画面に結果が出た。

「きゃあ!凄いわ」

 マナは跳ね喜んだ、相性度は89%である。モニターにも『ベストカップル!』とハートが表示されていた。

 それを見たアスカはガクンと暗い顔になった。

(・・・どうせ機械だから)

 心で思っているが、女の子機械であれ占いは占い、気になる。

 ヒカリは暗くなるアスカを小声で励ました。

「気にする事無いわよ」

「・・・うん」

「次いいわよ」

「あ、うん」

 ヒカリは自分の番になりお金を入れた。

 ピッ!

「あっ!霧島さん」

 ヒカリが占い項目を押す前にマナが恋人相性度を押した。

「どうせこれを押すんでしょ」

「違うのに」

「鈴原君とね♪」

 マナは勝手に入力していく。

「あ、ああ。どうして鈴原となのよ!」

「え〜?違うの?相田君?」

「・・・・す、鈴原でいい」

 赤くなり小声で呟く、マナはその姿にクスクス笑った。

 そして・・・

 

 

 ピッ!

 モニターに結果が表示された。相性度65%『相手は好印象』である。

「・・・・」

 ヒカリは何も言葉を発せずにただ赤くなっていた。

(これって・・・イヤ〜〜ン)

「次はアスカね」

「あ・・・私はいいわ」

 断った、本当は占いたいが怖かった。

「え〜しないの?」

「うん」

 マナの落胆の声、アスカは頷いた。

「どうして〜?」

「興味ないから」

「本当〜?」

 マナがジト眼でアスカは見た。

「う、うん」

「つまんないなあ〜」

「も、もう帰ろうよ。そろそろ暗くなるし」

 アスカはマナから逃げ出すように三馬鹿のもとに向かった。マナは占い結果のプリントを見て呟いた。

「本当ならいいな」

 ヒカリはプリントを両手で持ったまま、耳まで赤くなり固まっていた。

「私と鈴原・・・・・ぽっ」

 

 

 

 

 そらも夕焼け、皆と別れて二人で帰るシンジとアスカ。シンジはトウジ達との対戦で勝ったのであろうニコニコしていた。逆にアスカは足取りも重く俯いていた。

「アスカ、どうしたの?」

「えっ?」

「元気がないみたいだけど」

「ん、何でもないから・・」

「そう」

 笑うアスカ、だが陰りがある。

「・・・ねえシンちゃん」

「ん?何」

「占い・・・信じる?」

「占い?」

「うん」

 シンジは空を仰ぎながら考えた。

「別に、だって当たらないじゃないか」

「そうね。当たらないわよね」

 シンジの言葉にアスカはニッコリ微笑むと足取りが軽くなった。そして走り出す。

「ほら早くしないと置いて行っちゃうわよ」

「わっ何だよイキナリ」

(ふふふ、そうよね。占いなんて、当たらないわ)

「待ってよアスカ〜」

「ふふふ〜」


 イキナリゲーセンです。女の子は占いが気になりますね。

 アスカは本当は占いをしたかったのですが、マナの結果を見て怖くてできませんでしたね。

 でもシンジの言葉で元気になりましたね。

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第弐拾八話 日曜日の娘

エヴァンゲリオン学園:第弐拾九話 占い