エヴァンゲリオン学園
第弐拾八話
日曜日の娘
今日は日曜日、アスカは昨日の夜更かしで遅く起きた。
「ママ、おはよう」
「おはようアスカ、早くご飯食べなさい」
「はーい」
母キョウコに挨拶をし、洗面台で顔を洗いスマイル!そして朝食をとる。
「いただきます!」
パクパク、モグモグ!
「ねえママ」
「なあに?」
アスカは遅い朝食を、キョウコは紅茶を啜っていた。
「あのね後から、台所使っていい?」
「いいけど、どうして」
キョウコは興味深そうに尋ねた。アスカはうつむきモジモジしている。
「クッキーを作りたいの・・」
「ふーん、誰にあげるの?」
キョウコはにこやかにアスカを見ている。
「たっただ雑誌に載っていたから作るだけよ、シンちゃんにじゃないわ」
「そうシンジ君にあげるの」
「違うって!」
「はいはい」
アスカは真っ赤になっていた。キョウコはそんな娘の姿を可愛く思った。
「ごちそうさま!」
アスカは逃げ出すように部屋に戻った。そして机に向かい雑誌を読みなおす。机の横には昨日買った材料をチェックして足りないものはないか確認する。
「これでいいわね」
そして昼食まで穴があくほど雑誌を読みなおし、手順を記憶していった。
昼食も終わり用意に入った。
「これで良し!」
「ふふ、頑張ってね」
「もう見ないでよ!」
「はいはい」
キョウコが覗いていた。アスカはキョウコの背中を押してリビングに出しドアを閉めた。
「ふー、よし」
小麦粉、卵、砂糖などをテキパキと用意し小麦粉をボールに入れ、卵、牛乳を入れて混ぜる。
コネコネ!
「よし」
そして台の上で小麦粉をまきながら生地を伸ばす。
「よいしょ!よいしょ!」
何度も何度も繰り返した。
ムズムズ!
「クシュン!」
小麦粉が宙に飛ぶ。アスカの顔は白くなった。
「コホコホ!あーあ、散らかっちゃた」
小麦粉が床にも散乱し辺りが白くなっていた。
「終わったら片付ければいいわ」
生地伸ばしは続いた。
「いいわね、型抜きは」
アスカは袋から買った型抜きを出した。星やスペード、ダイヤ、ハートなどがあった。
「これで」
次々と型を抜いていく、が明らかに5割の確率でハート型が多かった。
「後はオーブンで焼いて」
完成、オーブンからだしてでき具合を確かめる。
パク!
「あつつ、モグモグ・・・美味しい!」
クッキーのできに満足のようだ、皿に移し台所を出る。
「あらできたの」
「うん」
「へえー、1つちょうだい」
キョウコは1つ口に入れ味を確かめる。アスカは固唾を飲んで見ていた。
「どう・・・」
「美味しいわ!これならシンジ君にだせるわね」
「どうしてシンちゃんがでてくるのよ!」
「ふーん、じゃあパパとママのためなのね。ありがとう」
キョウコは皿を取ろうとしたが、素早く後ろに隠す。
「ダメ!」
「やっぱりシンジ君にあげるのね」
キョウコは笑って赤くなっているアスカを暖かい眼で見ていた。
「違うわよ、味見をしてもらうだけよ」
アスカは耳まで真っ赤になり玄関に駆けて行った。
「ふふ、可愛いわね」
ガチャ!
「おじゃましまーす」
奥からユイが出て来た。
「アスカちゃん、いらっしゃい、シンジなら部屋にいるわよ」
ユイはアスカの手にある皿に気づいた。
「あら、そのクッキー手作りなの」
「・・・はい、1つどうです?」
アスカは緊張しながらクッキーを渡した、ユイは一口食べる。
「もぐもぐ、・・・美味しいわアスカちゃん」
その一言に顔が明るくなる。
「ありがとうございます!」
「シンジのために作ったの、あの子も幸せね」(アスカちゃんが娘になるのね)
「ちっ違いますよ!味見をしてもらうだけです」
首をおもいっきり振り否定するが、ユイは感激しトリップしてその場に立ち尽くした。その横をアスカはコソコソと通りぬけた。
コンコン!
「シンちゃん、開けるわよ」
「アスカ、どうしたの?」
ガラ!
ふすまを開けると、シンジはベットに寝転がって漫画を見ていた。
「クッキーを作ってみたの・・・味見して」
アスカは恥ずかしそうにシンジの前に皿をさしだした。
「へえー、美味しそうだね」
一口。
パク、モグモグ!
アスカは緊張して見ていた。
ドッキン!ドッキン!
心臓が高鳴る。
「・・・どう?」
「美味しいよ、すごいねアスカ!」
「ありがとう」
シンジの言葉に緊張が一気にとけ、嬉しさがこみ上げる。
「もっと食べていいよ」
すると台所からユイのが聞こえる。
「シンジー、アスカちゃん。紅茶をいれたからいらっしゃい!」
「わかったよ!」
二人は台所に行き、椅子に座った。
「母さん、アスカが焼いたクッキー美味しいんだよ」
「母さんもさっき、もらったけど美味しかったわ、さすがアスカちゃんね」
「そんなことないですよ・・・」
俯き真っ赤になった。
「こんにちは、アスカ君」
「こんにちは、おじさま」
書斎からゲンドウがやってきた、3人の話し声が聞こえたようだ。仲間に加わりたいみたいでユイをチラチラと見ていた。結構寂しがりや。
「あなたもどうですか?アスカちゃんが焼いたのよ」
「おじさまもどうぞ」
「うむ、いただこうか」
わざとらしく咳払いをすると、いつもの指定席に座りクッキーを口に運ぶ。
「どうですか?」
「うむ、香ばしい匂いに適度の硬さ舌触りに微妙な味付け、そしてこの色の焼き具合最高だ」
「うれしい、ありがとうおじさま」
「父さん・・・凄い誉め方だね」
「ふっ (ニヤリ)」
紅茶をすすり相変わらず不気味な笑いをシンジに向けた。
「ところでシンジ、孫はまだか?」
ブーー!!
「な何言っているんだよ」
突然の事に顔を赤らめシンジは紅茶を飛ばした。
「アスカ君との子供だ」
「いるわけ無いじゃないか」
「おじさま、まだ早いです」 (ポッ)
「アスカちゃん早くないのよ」
「・・・母さん」
ゲンドウは表情を変えずにシンジに対応していた。アスカは顔を赤らめ、ユイは微笑んでいた。
「すぐにでも結婚していいぞ」
「中学生で結婚できるわけないじゃないか」
「問題無い (ニヤリ)」
「問題大有りだよ!」
「ハッハッハ、冗談だ」
「冗談がひどすぎるよ」
シンジは疲れ果てた。
一方では
「それでね、昔はねアスカちゃんぐらいで結婚していたのよ」
「そうなんですか」
「そうよ、だから問題無いのよ、いつでも結婚できるわよ」
(・・・・シンちゃんと)(カアアー)
ユイは何やらふきこんでいた。アスカは頭から湯気がでていた。
「母さん!」
「あらなあに」
ユイはにっこり笑っていた。
「・・・・・もういいよ、アスカあっちに行こう」
「あ・・・シンちゃん」
真っ赤になっているアスカの手を取り、リビングに逃げた。台所にはおかしな夫婦が残された。
「ユイ、孫はまだ先だな」
「そうかしら、すぐと思いますけど」
「そうか、たのしみだな (ニヤリ)」
「ええ (ニヤリ)」
やっぱり変。
クッキーを焼いて食べてもらう!定番ですね。今回のSSはちょっと一休みのお話です。
クッキーの手順ですがjun16はわかりませんでしたので、間違っていても許して読んでください。
最初はLASの話しにするはずが、ゲンドウとユイに取って代わられました(^^;)
こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園:第弐拾八話 日曜日の娘