エヴァンゲリオン学園外伝
お花見に行こう
四月に入ると気温が上がり春の香りが近づいてくる。
「う〜〜〜ん、気持ちい〜〜〜」
部屋の窓を開けると心地よい風がアスカの身体を駆け抜けた。
「こんな日に家に居たらバチが当たるわ、シンちゃん誘ってお花見に行こ〜〜〜と」
サクラはすでに満開、アスカは台所に行くとおにぎりを手際よく握り水筒にお茶を入れて、白の長袖シャツにインディゴのGパン、黒のFerrariキャップを被りリュックを背負うと碇家に向かった。
「おはようございます!」
時間はまだ午前十時、適応な挨拶である。大きな声に気づいたユイがやって来た。
「あらおはようアスカちゃん、どこかにお出かけ?」
「はい、シンちゃんとお花見に行こうと思って、シンちゃん居ます?」
「お花見、良いわね〜〜シンジなら居るわよ、ゲームばかりしているから連れて行ってちょうだい」
「はいっ」
アスカは微笑むとシンジを呼びに家に上がって部屋に向かう、ユイは楽しく廊下を走るアスカの後姿をにこやかに見送った。
「あっシンちゃん」
シンジはリビングでTVゲームをしていた。コントローラを激しく叩いており格闘ゲーム真っ最中である。
「何?」
声でアスカとわかる、画面に集中して口だけを動かす。
「暖かくなってきたわね」
「うん」
「天気良いわね」
「うん」
「お散歩したら気持ち良いかな?」
「うん」
「お花見行こう」
「うん」
「本当!?」
「うん」
「じゃあレッツゴー!!」
プチッ
「あ〜〜〜〜〜!!!」
アスカはおもむろにTVゲームのスイッチを切った、画面が真っ黒になりシンジは絶叫を上げた。
「アスカ!何するんだよ!」
「何ってお花見に行くから消したの」
「行くって言ってないだろ!」
ゲームに集中しておりアスカの声は聞こえているようで聞こえていなかった。
「行くって言ったのに・・・」
「行ってないよ、もう」
シンジの荒々しい声に語尾が小さくなっていくアスカ、瞳が微かに潤んできた。
「シ〜ン〜〜ジ〜〜〜」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
スイッチを入れ再びゲームをやり始めるシンジの背中から怒りの低音な声が聞こえてきた。
「な、何?」
ゆっくりと錆付いたネジを回すように振り向くとそこには腕を組んで仁王立ちをしたユイが居た。
「折角アスカちゃんが誘ってくれたのにその言い草はなんですか!今すぐ行って来なさい!」
「え〜〜でもゲームが・・・」
花見に行くよりゲームの方がよっぽど良いがユイには通用しない。
「あらそう、じゃあ来月のお小遣いは無しね」
「え、えええ!!?」
「アスカちゃんを悲しませた罰です、海より深く反省しなさい」
驚くシンジ、アスカはユイの背中に隠れて表情はわからないが雰囲気で悲しんでいるように見えた。
「お、お花見ちょうど行きたいと思っていたところなんだ、アスカ行こう」
「えっ?」
「お花見だよ、誘いに来たんだろ」
「でも行かないって・・・」
「急に行きたくなったんだよ、行くよ」
シンジはゲーム機を片付けると驚いているアスカの手を取って玄関に向かった。
「母さん、行ってくるからね〜〜〜〜」
玄関から必要以上の大きな声で叫ぶ、小遣い無し取り消しをアピールしていた。
「まったく、あの子ったら」
シンジの現金さに呆れるユイであった。
四月と言ったらお花見ですね(本当か?)
行動派のアスカちゃん、桜を見に行かないと気がすみません(笑)でも一人で行くのはちょっと・・・そこでシンジ君の登場ですね。
でもシンジ君はインドア派、ゲームに夢中でしたがアスカちゃんに電源を切られて怒りましたが、ユイさんには敵いませんね。
桜はまだ見ていませんので続きます。
こんな小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園外伝 お花見に行こう