「相田君、ちょっと頼みごとがあるんだけどいいかな?」
「ん、頼みごと?」
休み時間に一人で席に座りカメラ雑誌を眺めていたら渚がやって来た。
「ああ、ぜひ相田君に僕の美しいポーズを撮ってほしいんだ」
やっぱりな、渚が休み時間に俺のところにやって来る理由は写真を撮ってほしいからだ。
「別にいいぜ、ここで撮っていいか」
「ぜひ頼むよ、シンジ君にプレゼントするだ」
渚がポーズを考えている間に俺はバックからデジカメを取り出して準備を始める。撮ったデータは後から写真部に持っていってプリントアウトするだけだ。
「さあ撮るぞ」
「おっと、待ってくれたまえ。薔薇を咥えるのを忘れていたよ」
「んなもの咥えなくてもいいだろう」
「いいや、薔薇は重要だよ。僕の美しさを一層引き立たせるからね」
はあ〜渚は撮るまでが長いんだよな。
「さあ撮ってくれたまえ!」
やっと準備が済んだが、あともう少しで休み時間が終わるじゃないか。
「ああ、じゃあ撮るぞ」
「おっと〜〜ちょっと待ちたまえ」
「次はなんだよ?」
「胸のボタンを開けるのを忘れていたよ」
「ボタンなんてどうでもいいだろう」
「よくないよ。僕の美しい胸板にシンジ君の心がトキメクのさ」
「トキメクのか・・・」
イケメンなのに変態だからな〜シンジも苦労するぜ。いいや苦労しているのはアイツ等の方かな。
「さあ、僕の美しい瞬間を撮ってくれたまえ!!」
「おう撮るぞ」
俺はレンズを渚に合わせてシャッターを押した・・・
「何が美しい瞬間よ〜〜〜!」
「渚君のへんた〜〜い!」
「地獄へ落ちるといいわ」
ドゴッ!!!
「ぐえっ!」
カシャッ!
デジカメのモニタに写っていたのは惣流、霧島、綾波に蹴りを入れられて悶絶する渚の姿だった。あっ三人のパンツが見えている。
jun16 Factory presents
2000000HIT記念小説
reunion
「ああ、シンジ君・・・宇宙と書いてそらが見えるよ」
お前の精神状態は何時もそらが見えているだろう。
「まったく〜〜油断も隙もあったもんじゃないわね、フンッ!」
あ〜あ、気絶させられた上に惣流に蹴りを入れられたよ、同情するぜ。
「それよりメガネ!」
「なんだよ」
俺はデジカメの電源を切りバックにしまいながら惣流の話を聞き流すことにした。
「そんなナルシスホモなんか撮るんじゃないわよ。撮るならこの!美しくて聡明なアタシを撮りなさい」
はいはい。
「アスカずるいわよ。相田く〜〜ん私を撮ってもいいわよ」
はいはい。
「二人を撮ってもカメラが壊れるわ。私を撮りなさい」
はいはい。
「あっカヲル君、どうしたの!?」
三人が睨み合っているとシンジが教室に戻ってきたぞ。
「ふっシンジ君、美しいってのは罪だね。みんなが僕の美貌に嫉妬するんだよ」
「カヲル君・・・僕はカヲル君の味方だよ。みんなが敵でも僕だけは味方だよ」
「シンジ君・・・」
「カヲル君・・・キュン」
おいおい、見詰め合っているバックに薔薇が咲き乱れているぜ。その先の三人のバックでは炎が燃え上がっているよ。
まったく、みんなゲンキンなんだもんな。俺が写真で賞を取ったら、掌を返した如くに写真を撮ってくれだとよ。まあ人の評価なんてそんなもんか。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
おっチャイムが鳴ったぞ、次の授業で今日は終わりだ。
授業時間、俺は教師の話を聞く事はなく何も考えずに外を眺めていた。まあ何も考えずってなわけはなく、風景写真のアングルを考えているんだよな。
山岸の写真で賞を取ったあとにも色々な写真コンクールに出して賞を取ってきた、まあまあ俺の腕も上がってきたって事かな。
賞を取ると評価が上がる、評価があがれば人の見方も変わるってなわけで、以前は惣流達を撮ったら殴られていたが今では逆に撮ってくれと言われるようになった。
撮った写真は以前のように売ることは無く、惣流達にあげるようになった。賞の賞金でカメラのパーツは買えるから売る必要が無くなったんだよな。まあ学校の連中に時々頼まれて売る事もあるけど、微々たるものだ。
賞を取ってきても、最初にとった最優秀賞が最高で、後は佳作や努力賞などが多く、コンクールで一位を取ったのは山岸を撮った写真だけだ。
山岸か・・・彼女が転校して半年、俺達は結構メールのやり取りをしている。日常の事や学校の事、友人の事、そしてカメラの事を。
俺が賞を取って報告する度に彼女は自分の事のように喜んでくれた、俺も彼女の応援が励みになった。
彼女もカメラに興味を持ってデジカメを購入すると、メールに画像を添付して送ってくれた。アメリカの風景やクラスメートの画像だった、ちょっと写真の撮りが甘いかなと思い、プロでもないのにアドバイスする俺に素直に従う山岸は画像を送ってくる度にどんどん良くなっていくんだよな。
はあ〜山岸か、会いたいなあ・・・
ん?俺の端末にメールが入ってきたぞ、渚か。どれどれ・・・
相田君、先ほどはすまなかったね。放課後に僕とシンジ君の愛のメモリアルを撮影してくれないかい?お礼は弾むよ。
まったく、懲りてないなあ渚は。渚のメールは惣流達にハッキングされていて内容が筒抜けなんだよな。だから撮影は一度も成功した事はない、いつも邪魔が入ってお流れになるんだよな。でも失敗してもお礼の半分は貰えるからOKの返事でも送っておくか。
放課後は用が無いからいいぜ。場所は屋上でいいか?
屋上なら広々しているから撮影が楽だからな。送信して・・・数秒したら返事が着たぞ。
フフ、屋上はいいねえ〜リリンが用意した最高の撮影場所だよ。
相変わらずわけがわからない文章だな。ふあああ〜つまらない授業だからチャイムまでカメラ雑誌でも読んでおくか。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
ふう〜今日も一日の授業が終わった、さあて屋上に行くか。
「ケンスケ〜お好み焼き食いにいくで〜」
「いいけど、撮影の後でいいかな?」
「撮影?誰のや」
「渚だよ」
渚の机を見たらすでに教室から居なくなっていた、シンジも居ない。惣流達は何かコソコソ話しているぞ。
「こりんやっちゃな〜どうせ惣流達に邪魔されて撮れんやろうに、おもろそうやからワシも行くで〜」
はは、トウジはハプニングを期待しているぞ。さあ俺達も屋上に行くか。
「やあ相田君待っていたよ、さあ僕とシンジ君の愛し合っている姿を撮ってくれたまえ!」
「カ、カヲル君ちょっと恥ずかしいよ」
「フフ、シンジ君はウブだねえ〜好意に値するよ」
「こ、好意って・・・」
「好きってことさ」
「カヲル君・・・僕なんだか胸がキュンってするよ」
「ウフフ素敵だよシンジ君」
はあ〜また愛の漫才劇場が始まっちまったよ、これが続くと長くなるからさっさと撮るか。
「撮るから動かないでくれよ」
「おっとすまなかったね」
渚とシンジが見つめあっている姿・・・男の俺としてはちょっと不気味だけど、これはこれで女子に需要があるんだよな。
「それじゃあ撮るぜ」
「「ちょ〜〜〜っと待った〜〜〜〜!!」」
「おっ、きよったで」
シャッターを押そうとした瞬間にタイミングよく出てきたぞ。
「何男同士で見つめあってんのよ、この変態ども〜〜」
「そうよ、シンジは私と見つめ合うのよ」
「これがボーイズラブなのね」
「フフ、時代はボーイズラブなんだよ、そうだよねシンジ君」
「う、うん・・・」
あ〜あ、シンジは気が弱いから渚の言いなりだよ。おっと惣流達の背中に炎が噴出し始めたぞ。
「こら〜〜バカシンジ〜アンタはそっち系じゃないでしょうが〜〜」
「そうよシンジ〜〜私の肌を見ればときめいちゃうわよ」
「マナさん、ここで脱ぐのは大胆すぎよ」
おお、霧島がブラウスのボタンを外し始めたぞ。これは男としてはシャッターチャンスだ。
「うふふ、レイさん。シンジを女の魅力でボーイズラブから引き戻すのよ」
「わかったわ」
「あ、あかん鼻血が出てきてしまうで〜」
綾波までボタンを外し始めたぞ、みんな暴走しているぜ。
「ちょ、ちょっとアンタ達そこまでしなくていいでしょうが」
「いいえアスカ、こうでもしないとシンジが戻ってこないわ」
シンジも二人を見て顔が真っ赤になっているぞ。
「フフ、無駄な努力だね。シンジ君、僕の肉体美を見たまえ!」
「カ、カヲル君」
うおっ渚まで制服を脱いで上半身裸になったぞ、確かに渚の肌は綺麗だよな。んん、シンジが渚に傾き始めた。
「こら〜バカシンジ〜こっちを向きなさい〜」
次は惣流か、脱ぐと言ってもブラウスのボタンを外すだけだからな、流石に脱ぐのはまずいだろう。
「ふふ、惣流君の幼児体系には興味がないよ、ねえシンジ君」
「え、あ・・・その・・・」
「誰が幼児体系ですって〜〜ちゃんと胸ならあるわよ」
「胸?フフフ、リリンは可笑しなことを言うねえ〜」
あ〜あ〜油に火を注いでるよ。
「くう〜〜ムカつくわね〜鋼鉄達も何か言ってやってよ」
「確かに、アスカは胸が無いわよねえ〜レイさんもそう思うでしょう?」
「ええ、むしろえぐれているって感じがするわ」
「アンタらは〜〜どっちの味方なのよ〜」
「フフ、どうやら幼児体系の君は仲間はずれのようだね」
「どうしてよ?アタシが三人の中で一番胸が大きいわよ」
あ〜あ、また時間がかかりそうだなあ。まあ話を聞いているだけで面白いからいいか。
「アスカ、それは違うわよ。一番大きなのはマナさん、次は私よ」
「なんですって?アンタがアタシより大きなはずがないでしょうが」
綾波も結構胸が大きいほうだな、着やせするタイプだな。
「あれレイさんは確か・・・」
三人で秘密会議が始まったぞ、そろそろ終わる頃だろうから、カメラを直す準備でもしておくか。
「そ・・・そんなアタシが・・・アタシが・・・」
惣流がガックリ肩を落としているぞ、どうやら一番小さかったようだな。
「フフ、わかったかい?惣流君、幼児体系は問題外だよ」
「う、ううう・・・こんのナルシスホモにバカシンジが〜〜〜〜!」
ドゴ〜〜〜〜!
「ぐえええ〜〜〜!」
「うぎゃあああああ〜〜」
「アンタ達おぼえてらっしゃいよ〜このかりは必ず返すわよ〜〜〜!」
あ〜あ、渚とシンジを殴って惣流が走って去っていったよ。やっと漫才が終わった、帰るとするか。
「シンジ大丈夫?」
「碇クン、彼方は死なないわ」
「トウジ帰ろうか」
「あ、ああワシも疲れたわ、お好み焼きは今度にしよや」
「ああ」
俺はトウジと共に学校を出て一人でカメラ屋に向かう事にした。
今日はメンテ道具を買って帰るか。
大事なカメラは日頃のメンテが大事だ。カメラが悪いといい写真が撮れないからな。
カシャ
ん?後ろでシャッター音が聞えたぞ。
「あっ!」
ふ、振り向いたら、そこには・・・
カシャ
「うふふ、驚いた表情撮っちゃった」
「あ、ああああ」
そ、そこに居たのは・・・
「相田君、久しぶり」
「やややや、山岸〜」
デジカメを持って微笑んでいた山岸の姿だった。
久しぶりに見る山岸、写真を撮ったあの頃のように天使の様で俺のカメラマン魂に火をつけるには十分であったよ。
2000000HITです(^^)ありがとうございます。
今回はadorationの続きです。ケンスケが主役のはずですが、他のキャラが前面に出すぎてますね(^^;)
賞をとって少しは評価され始めたケンスケですが、マユミちゃんを撮った時以上の作品がなかなか撮れないのは何故でしょうね。
カヲル君達は暴走しています(^^;)キャラが変わりすぎていますね。
クールなケンスケも、会いたい人物に突然会ったら驚きを隠せないです。
これからも「jun16 Factory」をよろしくお願いします(^^)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION reunion