HP更新500回記念小説
EVA CHANGING AFTER STORY
後編
「うわっ」
「きゃっ」
当然、無防備だった二人はシ〜トに押し潰され悲鳴を上げた。ミサトはその様子をバックミラ〜で見ながらわからないように口元を歪めるのであった。
「はんはんはんは〜〜〜〜んっと」
車は法定速度を完全に無視、鼻歌を歌いながらついつい踏むアクセルに力がはいる。
「ミ、ミサトさん」
アスカはGの為に呼吸が苦しかったが力を振り絞りミサトに何かを伝えようとしていた。隣ではシンジが半分意識が途絶えている。
「ん〜〜な〜〜に?」
「ちゃんと速度を守ってください」
「速度〜?そんなのあったかしら?」
「あ、ありますよ。ほら60キロって書いてあるでしょう」
標識には60キロのマ〜ク、だがそれも一瞬で過ぎてしまう。
「ん?私には何が書いてあったか見えなかったけど」
グオオオオン!!
アクセルを踏むとスピ〜ドメ〜タ〜が振り切れるまで針が回転していく。
「ミ、ミサトさんっ!」
「限界への挑戦ってロマンを感じない?」
「か、感じません!守らないとビ〜ル抜きですよ」
究極呪文発動。
「はうっ!」
アスカの究極呪文『ビ〜ル抜きですよ』はミサトに対して絶対に効果がある呪文である。
「そ、それだけはご勘弁を〜〜!」
「じゃあ速度を守ってください」
「は、はい〜〜〜〜〜」
アクセルを緩めるとスピ〜ドメ〜タ〜の針はみるみる法定速度内に入ってきた。ミサトはガッカリした顔でピ〜ドメ〜タ〜を見るのであった。
「やれば出来るじゃないですか、ちゃんと守ってくださいね」
「はい、とほほ・・・」
言いつけが守れた子供のようにミサトの頭を撫でるアスカ、保護者の地位が逆転している。
「シンジ君、シンジ君」
「う・・・う〜〜〜ん、あ、あれアスカ?」
Gの衝撃で半分あの世に行っているシンジ、アスカは頬をペチペチ叩くとこちらに呼び戻した。
「もう安全運転だから大丈夫よ」
「良かった〜〜なんかジェットコ〜スタ〜に乗ってる夢を見たよ」
「ふふ、降りれて良かったわね」
「本当、連続で30回は乗ったんだよ」
「そうなの?乗ってみた〜〜い」
「ジェットコ〜スタ〜大好きだね、今度乗りに行く?」
「行きたい、行きたい〜〜」
会話が弾む二人、同居人から一歩進んで恋人若葉マ〜クになったようである。
(うんうん、作戦大成功!)
ミサトはバックミラ〜で後ろの二人を盗み見、10キロ先の針が落ちた音を聞く耳で神経を集中させ盗み聞きし、小さくガッツポ〜ズを決めた。
(恋人同士はおんなじ席に座らないとね、名づけて『同じ席に座って楽しく会話』)
ミサトらしいセンスの無いネ〜ミングである。
(そしてっ!)
目が光った、交差点、寿司屋は右折方向にある。減速しないで突っ込むとサイドブレ〜キを引きステアリングを回した。
キキキ〜〜!!
「きゃ〜〜〜」
「うあっ」
ドリフトしながら目的地に進む車、会話が弾んでいた二人には急激な事で対処ができない。遠心力に身を任せる事しかできないアスカはシンジの胸に飛び込む形となった。
「ミ、ミサトさん、危ないじゃないですか!アスカ大丈夫?」
「う、うん・・・あ、ありがとう・・・」
シンジと目線を合わせにないように下を俯くと小声で例を言うアスカ、心なしか頬が少し赤くなっている。
「危なくなんかないわよん」
「どうしてですか、アスカが怪我したらどうするんですか」
「怪我なんてしないわよ、だってシンちゃんが抱きしめているじゃない♪」
「え?あ、あ〜〜〜、アスカごめんっ」
ミサトに言われ気づくシンジ、ビックリして抱きしめていた腕を離した。
「ううん、シンジ君のおかげで助かったから、ありがとう」
「そ、そうかな。怪我がなかったら良かった良かった」
にっこり微笑むアスカにシンジは照れながら頷くのであった。そんな二人をバックミラーで盗み見ていたミサトは妹弟の幸せな姿を心から喜ぶのであった。
「よ〜〜〜し、着いたわよん。好きなものを頼みなさい、お金の心配はしなくていいわよん」
「でもここって、ねえシンジ君」
「そうだね、お金の心配はしなくて良いね、だって・・・」
寿司屋に到着した三人、意気揚揚と店に入るミサトの後ろからついて行く二人はこそこそ呟き合った。
((ここは一番安い回転寿司だから))
そう二人が言うとおり、ここの回転寿司は第三新東京市で一番安く三千円あれば満足できるのである。
「ミサトさんだからしょうがないね」
「ふふ、最初から期待していなかったわ」
「な〜〜〜にコソコソ言ってんの?じゃんじゃん頼みなさい」
カウンタに座る三人、右から順にミサト、アスカ、シンジの順で座る。
「シンジ君、はいお茶」
「ありがとう、ごくごく・・・ふ〜〜〜美味しいよ」
車で緊張していたせいか差し出されたお茶を一気に飲み干す、パックを入れてお湯を入れるだけの簡単なお茶であるがニッコリ微笑んだ。
「美味しいってただ入れただけなんだけど」
「アスカが入れてくれたから美味しいんだよ」
「あ、ありがとう。ミサトさんお茶です」
シンジの笑顔に頬を染めるアスカ、照れながら目をそらすと今度はミサトの為にお茶を入れる。
「ありがと〜〜〜、ごくごくごく・・・ぷはっ〜〜〜、うんうんアスカの愛情がこもって美味しいわよ。シンちゃん大満足ね」
「そ、そんなことないです、入れただけなのに・・・」
「そんなことないわよ、ありがとアスカ」
そっとアスカの髪を撫で姉の顔で微笑むミサト、アスカを大事にしている証拠である。
「はい」
「さあお腹が裂けるまで食べなさい、おっマグロ頂き〜〜〜」
姉のミサトからだらしないミサトへ、皿を取るとネタに醤油をつけ頬張った。
「もぐもぐ、んんま〜〜〜い!これはビ〜ルが欲しくなるわね」
「駄目ですよ、飲酒運転になっちゃいます」
「平気平気〜〜〜、ガソリン飲まないと動けなくなっちゃうわよ」
「じゃあお茶で十分ですね、はい」
アスカは再びお茶を入れミサトの前に差し出した。
「え〜〜〜、お茶じゃあ軽油になっちゃうから動けない〜〜〜」
頬を膨らませて駄々をこねるミサト、年が行っているから可愛くない。
「じゃあ動かなくて結構です、アタシとシンジ君だけで帰りますから」
「あう〜〜〜アスカちゃん、キビシイ〜〜〜」
若者喋りのように語尾を上げるが年が行っているから可愛くない。
「はいはい、わかりました」
無視してネタを取るアスカであった。
「とほほ、無視、無視なのね〜〜〜、耐えるのよミサト!明日はきっと良いことがあるわ」
ちょっと自分の世界に入るミサトであった。
「もぐもぐ、アスカ美味しいね」
「うん、新鮮でネタも大きいから食べ応えがあるわ」
「そうだね、安いし大満足だよ。今度は二人で来る?」
「えっ?」
呟くシンジにアスカは驚いた。
「お寿司じゃなんかムードが無いね、パスタでも食べに行こう。僕がおごるよ」
ちょっと大胆な発言、アスカが退院したので嬉しいのであろう。普段口にしない言葉が出てくる。
「本当?おごってくれるの、お小遣い大丈夫?」
「平気平気、誰かさんと違って無駄遣いしていないから」
「ふふ、そうね。お言葉に甘えておごって貰おうかしら」
誰かさんとは一心不乱に食べている保護者のことである。
「うまいうまいうまいわ〜〜〜」
ビ〜ルが飲めないのでやけ食いのほうが正しい。
「アタシ美味しいお店知っているの、そこに行きたいわ」
「そう、ならそこで決まりだね」
「ふふ、ヒカリやレイさんとちょくちょく食べ歩きしているの」
「へ〜〜〜、綾波もなの」
レイが出歩くイメ〜ジが無いシンジは驚いた。
「ええ、学校とネルフだけの行き往復じゃつまらないでしょ」
「そうだね、息抜きも必要だからね」
「最近じゃレイさんの方から行こうって誘ってくるの」
「へ〜〜〜、そうなんだ。あの綾波が」
レイの行動に感心するシンジであった。
「・・・今度二人で行くって事は・・・デ、デ〜トになるのかしら?」
「そ、そうだねデ、デ〜トになるかな」
頬を染めるアスカとシンジ、正式に恋人同士になったのでデ〜トになるだろう。
「いつもは普通に出かけていたのに緊張するわね」
「そ、そうだね」
休日の日、二人は買い物に出かけることもあったが、それは買い物、デ〜トと意識していなかった。意識しだした途端急に心臓の鼓動が高鳴り始める。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
それから一言も話さず食べ続ける二人、横目でちらちら見合うものの恥ずかしくてすぐにそらしてしまう。
「ほらほら二人とも、な〜に黙っているのよ?もっと楽しく食べなさい。そうデ〜トするんだ、このうぅ羨ましいわね」
食べていても耳だけは二人の会話を聞き逃さないミサト。
「か、からかわないでくださいよ。デ、デ〜トだなんて、ねえアスカ・・・」
「う、うん・・・」
真っ赤になり言葉が出ない。
「はいはい、ごちそうさま。こんなご時世だからデ〜トも一生懸命楽しみなさい」
「は、はい」
「はい」
「うんうん、素直でよろしい。お姉さんは嬉しいわ」
素直にうなずく二人に、ミサトはまぶたを押さえると感動し涙を流す振りをし演技力に拍車をかける。
「シンジ君、お茶いる?ミサトさんは?」
「うん、ありがとう」
「もらうわよん」
ミサトの作戦?によってシンジ、アスカの沈黙した緊張感は一気にとけ普段の変わらない生活の一場面、三人の家族として楽しい食事を続けるのであった。
HP更新500回記念、後編です。
ミサトさんのにくい演出?によってアスカちゃんとシンジ君はちょっと恋人に近づきましたね。初々しく甘酸っぱい二人(笑)でもミサトさんがからかう。こらから楽しい毎日でしょうね。
シンジ君がデートに誘うなんて、なんて大胆なんだ、アスカちゃんが帰ってきて嬉しいんでしょうね。
更新500回は通過点に過ぎません、まだまだ頑張りますよーこれからも「jun16
Factory」をヨロシク!<_>
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION EVA CHANGING AFTER STORY 後編