少年は勇気を振り絞った
「す、好きです。ぼ、僕と付き合ってください」
少女はそれに応える
「・・・はい」
そして・・・
HP更新500回記念小説
EVA CHANGING AFTER STORY
前編
「よっしゃあ、シンちゃんナイス告白!アスカナイスOK!」
マンションより少し離れた道の路肩にミサトの愛車が止まっていた、そして車内ではモニターを見ながら叫んでいた。
「うんうん、良かった良かった。これも私のナイスな演出のおかげね」
モニターの二人、シンジとアスカはまだ玄関で赤くなってジッと立ち尽くしたまま、ミサトは満足しながらビールのプルタブを開け一気に飲み干す。
「ふふ、私って演出の才能があるのかしら、演出家になったら売れっ子ね」
別にミサトの演出ではない、確かにミサトの後押しもあるが碇シンジの人生最大の勝負が決まったのである。
「ほらほら、そこでチュ〜〜よ、チュ〜〜〜!シンちゃん押し倒しなさい」
モニターではまだ立ち尽くしている二人、多少酔ってきたのだろう発言が過激になる。
その頃、シンジとアスカは
(い、い、いいい言っちゃった。アスカ、OKしてくれた)
(・・・ちょっと恥ずかしいな、アタシ顔赤くないかしら?)
玄関に立ち尽くす二人、顔は十分赤い。
「ア、アスカ」
「はい」
不意に声をかけるシンジ、いつもなら何でもない事なのに言葉に詰まってしまう。
「つ、疲れただろう?お茶を入れるからゆっくりしてよ」
「うん、ありがとう」
微笑むアスカにシンジは先ほどから赤くなった顔が一層赤くなった、頭からは湯気がでるくらい熱い。
リビングに向かう二人、共に無言。シンジにいたっては右手と右足が同時に出ている。
「ゆ、ゆっくりしていてね」
「うん」
静かに頷くアスカにシンジは急いで台所に行くのであった。
「んあ〜〜、シンちゃん!なにじれったい事してんのよ!まったく〜超が付くほど奥手なんだから」
車内で先ほどから叫んでいるミサト、声が外まで聞こえているが人通りが無いので一安心である。もし人通りがあり叫んでいたら速攻で警察を呼ばれるだろう。
「しょうがない、ここは一つ美人のお姉さんがキュ〜ピット役を買って出ますか」
何故か『美人』を強調する齢○○歳独身葛城ミサト。
グオオオン!!
モニターを消すとエンジンを鳴り響かせマンションに向かった。無論飲酒運転である。
「お、お茶入ったから」
「ありがとう」
そっと湯のみを出そうとしているが緊張のせいか腕が震えお茶に波が立っている。アスカは両手で湯のみを持ちゆっくりと熱いお茶を喉に通らせた。
「美味しい」
今までシンジが入れてくれたお茶の中で一番美味しかったのであろう、満面の笑みを浮かべた。
「そう言ってくれると嬉しいよ」
つられてシンジにも緊張が解け笑みがこぼれ始める。普段の日常の会話になりつつある。
「シンジ君お茶入れるの上手ね」
「そうかなあ?普通に入れているんだけど」
「今度教えてもらうかな、何かコツがあるの?」
「コツなんてないよ、美味しく飲んでもらえるように入れれば良いんだよ」
「ふ〜〜ん、難しそうね」
「難しくなんかないよ。僕はアスカが美味しく飲めるようにと思って入れたんだから」
「シンジ君・・・」
何気に話すシンジであったが、アスカには心に響く一言であった。
「ん?どうしたの」
「ア、アタシもシンジ君に美味しいって言われるように頑張ってお茶を入れるからね」
アスカの瞳から零れ落ちる一粒の涙、嬉しさが心の底から滲みわいてくる。
「わっどうしたの?」
突然の事で当然驚くシンジ、アタフタと部屋を見まわしティッシュを探し一枚取って渡した。
「ううん、なんでもないの、ありがとう・・・ぐすっ」
ティッシュを目に当て心配させないように微笑むが次から次へと涙が流れてくる。
「ぼ、僕何か変な事言った?」
泣く原因が見つからず、自分の言葉に悪いと思い焦りまくり汗が吹き出してくる。
「ううん、嬉しいの、シンジ君の言葉が」
「僕の言葉が?」
「うん」
アスカは首を立てにふり涙を拭いた。首を傾げるシンジ、先ほど言った発言を思い出してみるが、嬉しいと思うことは何もない。
「なんだかよくわからないけど、もう泣くのはやめなよ。可愛い顔が台無しだよ」
「うん、ぐすっ・・・へへへシンジ君優しい〜」
「ぼ、僕はいつでも優しいよ」
鼻をすすりようやく涙が止まりシンジを茶化すように笑った。
「たっだいま〜〜〜っと!」
玄関から威勢の良い声、声の主は当然この家のろくでなし家長。
「「あれミサトさん、ネルフじゃ?」」
ユニゾンして驚いた。ミサトは二人に『ネルフに行く』と行っていたのに帰ってきたのである。
「ん〜なもん問題無いわ、今からご飯食べに行くわよ」
「「も、問題無いって・・・」」
またしてもユニゾン、これでよくクビにならないと冷や汗がタラリと額から流れ落ちる。
「アスカ退院記念を祝して豪勢にお寿司よ」
「お寿司?そんなお金ありませんよ」
財布の紐を預かるアスカ、赤字ではないのだがここで寿司を食べたらこれからの生活を切り詰めなければならない。
「大丈夫、大丈夫ぅ〜ちゃんと私のポケットマニ〜があるから、ほら」
懐から財布を取り出すと札入れを開き二人に見せた、そこには万札が数枚入っている。
「うわっ凄い、どうしたんですか?まさか・・・」
「・・・強盗?」
「ど〜〜してなのよ?ちゃんと私の貯金からおろしたのよ」
膨れっ面になり二人の首根っこを自分の脇に持って行き閉めつける。
「いたたた、やめてくださいよ〜〜」
「わ、わかりました、それはミサトさんのお金なんですね」
「わかればヨロシイ」
まだ二人を閉めつけたまま胸を張るミサト、シンジとアスカは互いに顔を合わせ笑っていた。
「さあ乗って乗って〜〜」
「うわっ」
「きゃっ」
セカンドインパクト以前の生まれは豪華なお食事と言えば寿司、ミサトの心は踊った。二人を無理矢理後部座席に積め込むと、サングラスをかけ皮の手袋を装着するとキーをまわす。
グオオオオオン!!
エンジンに生命が宿りアクセルを踏むとけ高音のサウンドが鳴り響く。
「あの〜〜ミサトさん」
「ん?どしたのシンちゃん」
出かける時は三人でいつも乗っている車だが、今回は疑問に思うことがありシンジは遠慮深く手を上げた。
「僕はいつも助手席なんですけど」
そう、いつもは助手席がシンジで後部座席にアスカが座っているが、今日は何故かシンジも後である。
「あら〜〜そうなの?気にしない気にしない、レッツGO〜〜〜」
二人をバックミラ〜越しにウインクをすると、ギヤをロ〜に入れ急激にクラッチを繋いだ。
ギュルルルルルルル!!!
ホイルスピン、タイヤからは煙りを上げてマンションの駐車場からロケットが宇宙に発射する勢いで車は道路に出ていくのであった。
本日2001年2月2日で500回目の更新です(^▽^)HP開設からまだ2年経っていないんですよね、怒涛の如く更新しました。
そんなわけで記念小説です。今回は要望が多かった『EVA CHANGING アスカ編』のその後のお話です。『EVA CHANGING Vol.59 THIS IS ONLY THE BEGINNING』からそのまま続いています。
ちょっと良い雰囲気の二人でしたがミサトさんのチョッカイ?で豪勢にお寿司、無事に着くのでしょうか(笑)
これからも更新をガンガンしていきますよ「jun16 Factory」をヨロシク!<_>
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION EVA CHANGING AFTER STORY 前編