CHILDREN LIFE
ACT.1
始まり
「た、ただいま」
「おかえりなさい」
綾波はちょっと照れていた、そうだろうね。僕もミサトさんに初めて『ただいま』を言ったとき照れたからね。でも遠慮することはないよ。今日からここは綾波の家になるんだから。
僕達はリビングに向かった。TVの音が聞こえる。おそらくもう一人の家族が居るんだろうな。僕は少し汗をかいていた。綾波が同居する事を彼女はどう思うだろう。おそらくは・・・・・
「た、ただいま、アスカ」
「う〜〜〜ん、遅かったわね。ファ〜スト!何の用なのよ?」
やっぱり、アスカは綾波を見た途端機嫌が悪くなった。はあ〜〜仲良くしてほしいよ。
「綾波も今日からうちで暮らす事になったんだ」
「はあ〜〜?シンジ、何言ってんのよ」
やっぱり、でも綾波に苦労させたくない。ワガママなアスカでも理由を話せば納得してくれるだろう。
「アスカ、ちょっと」
「何よ」
「ここでは、綾波待っていてね」
「うん」
綾波の眼の前で『お金に困っている』なんて言えないよ。アスカと玄関前に向かった。
「どうしてここに来るのよ」
アスカは腕を組んでご立腹のようだ。
「アスカ」
「な、何よ?」
僕は真剣な顔をしてアスカを見つめた。?何故かアスカの顔が赤いような気がする。何故?
「綾波は苦労しているんだよ」
「はあ〜?それがどうして暮らす事になるのよ」
「綾波は一人暮しだろ、それでお金のやりくりに苦労しているんだよ」
「そんなの、ファーストに問題があるんじゃないの、どうせ金遣いが荒いんでしょ」
金遣いが荒い・・・それってアスカじゃないか、綾波がそんな事は無いと思うけど。
「今日食堂でメニューを選んでいる時涙を流していたんだ」
「それがどうしたのよ」
「わからないの、メニューを選ぶだけで涙を流していたんだよ。たかがメニューを選ぶだけで涙、わずかなお金でどれにするか一生懸命悩んでいたんだよ」
ああっ!あの場面を思い出したら涙が出てきちゃった。泣いちゃダメだ!う、うう、けどダメだ涙があふれてくる。
「う・・・な、泣く事ないでしょ」
「アスカ、お願い。綾波も一緒に暮らして・・・うう」
涙が、ダメだ止らないよ〜〜〜
「わ、わかったわよ。早く泣きやみなさいよ」
「うう、ありがとうアスカ」
良かった、これで綾波も家族になった。さあリビングに戻ろう、その前に涙を拭かないと。
リビングでは綾波が座っていた、当然だね。膝の上にはペンペン、ペンペンも綾波の同居に賛成のようだ。顔でわかるよ。
「どうしたの?」
綾波は不思議そうに僕達の顔を見た。
「何でも無いよ。自分の家なんだからくつろいでいいよ。ねっアスカ」
「しょうがないわね。できるかぎり控えめにくつろぎなさいよ」
アスカはまだちょっと機嫌が悪そうだが、じきに慣れるだろう。よかったよかった。
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うれしい・・・・今日から碇クンと一緒に住めるの。弐号機パイロットも一緒はちょっとイヤ・・・・でもいつかは二人だけで・・・・ぽっ!
思い出すわ、碇クンのあの言葉『一緒に暮らそう!』驚いたけど嬉しい。
あのしちゅえーしょん・・・どこかで見たことがある。たしか・・・・・TV。
あれはぷろぽーずというもの・・・・・結婚しようという意味・・・・・碇クンが私にぷろぽーず・・・・嬉しい。
でも私は返事をしていない、どういうふうにすればいいのかしら?
たしか・・・・・こうかしら?
碇クンに向かって正座をして・・・・
「?綾波どうしたの、正座なんかして足を崩しなよ」
畳じゃないけど三つ指揃えてつき・・・・・
こう言うの
「ふつつかものですけど宜しくお願いします」
これで完了。正式な夫婦・・・ぽっ
「あ、綾波〜〜!」
「ファ、ファ〜スト!アンタなにしてんのよ」
顔を上げると驚いた二人の顔、何故?
「何ってぷろぽ〜ずされたから、返事したの碇クン、これで正式な夫婦。私は碇レイになったの」
「シンジ!!アンタ!ファ〜ストにプロポ〜ズしたの?」
「ぐ、ぐるしいよ。アスカ、プロポ〜ズなんてしていないよ」
弐号機パイロットが碇クンの首を容赦なく絞めている。逆なのに・・・・
「碇クン、ハッキリ言ったのに・・・・」
「こんのバカシンジ、いつ言ったのよ!はけ!はけ〜!」
「ぐるしい〜〜言ってないよ〜〜〜〜」
碇クンは白目を剥いて口から泡を吹いている。かにさん・・・・でも言ったのに言ってないなんてどうしてウソをつくのかしら?悲しい。
「はけ!はけ〜〜!」
「死んじゃうよ〜〜〜綾波、僕はいつ言ったんだよ〜〜」
ぽっ、あの時を思い出すと顔が熱くなるわ・・・ダメ恥ずかしくて碇クンの顔を見れないわ。
「・・・・恥ずかしくて言えない」
「シンジ〜〜!!」
「あ、綾波〜〜〜・・・・」
あっ、また弐号機パイロットの力が強くなった。このままでは碇クンが死んじゃうわ、恥ずかしいけど言わないと。
「食堂で言ってくれた『一緒に暮らそう』って ぽっ」
「はっきり言っているじゃないの!」
「ち、違うよ。それはプロポ〜ズじゃないよ」
違うの?・・・・悲しい、でもあれはぷろぽ〜ず。
「本当なの?」
「ほ、本当だから手を離してよ。さっき話しただろ」
「はあ、まったく紛らわしいんだから」
納得したみたい。
「碇クン、あれはぷろぽ〜ずじゃないの?」
「う、うん。そうなんだ、ごめん」
そう、残念。
「じゃあぷろぽ〜ず」
「えっ?」
「今からして」
「ええ〜!?」
私は正式に『ふつつかものですけど宜しくお願いします』を言ったからきちんとぷろぽ〜ずしてもらわないと・・・
ゴンッ!
「イタイ・・・」
「ファ〜スト、寝ぼけてんじゃないわよ」
弐号機パイロット、鬼のような顔、赤鬼かしら。
「今は起きてるわ」
「しばくわよ」
なぜ怒っているの?
「二人ともやめなよ〜綾波、そのあの、プ、プロポ〜ズは・・・」
「してくれないの?」
「そ、ま、まだ早いって・・・そのあの」
「シンジハッキリしろ!!」
ゲシッ!
「あふぅ・・・・」
あっ赤鬼に潰された。
「いいこと?シンジはプロポ〜ズしたわけじゃないのよ。私みたいに同居しようて言ったのよ。わかった?」
・・・・・・・・そうなの?シクシク
でもいつかは言ってくれるわ。ぷろぽ〜ず ぽっ!
「ファ〜スト!人の話聞いてんの?」
ぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ずぷろぽ〜ず
「ファ〜スト!」
ぷろぽ〜ず・・・・何て良い響きかしら・・・・
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ふううう、まったくファ〜ストの天然には疲れるわね。どこから情報を仕入れてくるのかしら?叫びすぎちゃって喉が乾いたわ。
「シンジ!ジュ〜ス」
「うん、オレンジで良い?」
「良いわよ」
当然果汁100%、それ以外は私の口には合わないわ。
「綾波も良いね?」
「・・・・私はこぶ茶」
ガクッ!
若者が歳よりじみたものを飲むかしら?あっそうかリツコがいつも飲んでいるのね。ばあさんだから。
「こ、こぶ茶は無いんだよ」
シンジが半笑いしている、ギャグか本気が迷っているのね。私は本気と思うわ。
「・・・・残念。オレンジでいいわ」
「じゃあ、用意してくるよ」
シンジは台所に向かった。ファ〜ストは無表情ながらボケ〜とした表情で台所のシンジを見つめていたわ。ったく、何考えていんのかしら?
「ファ〜スト」
「・・・・・・・」
「ファ〜スト!聞いてんの?」
「・・・何?」
「本当はアンタが住むのはイヤなんだけれど、私の寛大な心で住むのを許してあげるわよ」
拒否してアンタが倒れたら、私のせいになるのがイヤなんだから。
「・・・そう」
「ここでは私が一番偉いのよ。そうね、例えるのなら神ね」
「トイレットペ〜パ〜なの?」
ガクッ!
「ち、違うわよ」
本当に天然ね。
「ここでの私の声は誰よりも偉いのよ。私が烏が白いと言えば、白!なの黒と言ったら鉄拳が飛ぶわよ」
「・・・・烏は黒なのにアスカ、頭変ね」
ムッキ〜〜〜
しばくファ〜スト!いいえ、使徒戦の時後ろから撃ってやるわ!
「もういいわよ。アンタと話すと疲れるわ」
「お待たせ〜」
シンジがニコニコしながらジュ〜スを持ってきたわ。お気楽ね。まあそこが良いところなんだけど。
「二人仲良く話しをしていたね」
はあ〜?仲良く〜?
「違うわよ。この家で誰が一番偉いのか教えていたのよ」
「誰が偉いの?」
シンジが頭に?マ〜クを浮かべている、まったく私だというのに。私は立ちあがり、テ〜ブルに片足を乗せて、指を天に突き上げたわ。
「私よ!私」
「はい、綾波ジュ〜ス。ペンペンも持ってきたよ」
「ありがとう」
「クエクエ」
「くおら!人の話を聞け〜〜〜〜!」
ぜえぜえ・・・・こいつら、全員死刑ね。
「そんなに叫んだら喉が乾くだろ、はい」
「ん、ありがと」
ゴクゴクゴク・・・・ぷはあ!!冷たくて美味しい♪
「おかわり〜〜!」
「はいはい」
乾いた時は一気飲みが良いわ〜〜、ん?な〜んか、頭に引っ掛かる事があるのよね、何だったかしら?
「アスカ、お菓子も食べる?」
「うん」
まあいいか!
「たっだいま!」
あっミサトが帰ってきた、珍しいわね。早く帰ってくるなんて。
シンジ君の勘違いは続く、それに騙された?アスカちゃん。よかったよかった(笑)
レイちゃん、勘違い。暴走しているかな?設定が天然入っている(^^;)
果して誰が偉いのか?アスカちゃん?違う?
こんな連載短編小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
CHILDREN LIFE:ACT.1 始まり