リツコおかあさんシリーズ
ちよこ
「ついにこの日がきたわね!」
アスカは自室でカレンダーを見て気合を入れた。今日二月十四日に大きく赤丸が書かれていた。
「これぞ対シンジ用最終兵器じゃなくてシンジへのバレンタインチョコレート!アイツの喜ぶ顔が見えるわ」
そして机の上には綺麗にラッピングされた正方形の箱があった、中身は当然チョコレートである。
「既製品だけどそんなの関係ないわ、愛がこもっていれば良いのよ!愛ぐあ!!」
手作りを考えたが家で作っているとばれる可能性100%、ヒカリの家で作るのも考えたが腕に自信が無いのでやめたのである。
「さあ!渡しにいくわよ!アスカッ!」
両頬を叩き気合を入れて部屋を出て行こうとした時・・・
「「こんにちは〜〜」」
玄関から聞き覚えのある声にアスカはまた部屋に戻った。
(あの声はリツコとレイ、もしかして・・・チョコね)
二人が来た理由がすぐ頭に浮かんだ。
「シンジお兄ちゃんに渡したいものがあるの〜〜」
(やっぱり)
玄関から聞こえるレイの声に聞き耳をたてる。
「何かな〜?ここじゃなんだからあがって」
「うん」
「お邪魔します」
シンジに続いてレイ、リツコとリビングに上がっていき、その足音が聞こえてくる。
(ふんっシンジも白々しいわね。ようしレイがどんなチョコ渡すか見てやれ)
アスカはチョコを机の引き出しにしまうとリビングに向かった。
「いらっしゃ〜い」
「あらアスカ居たの?」
「居たわよ」
「アスカお姉ちゃんこんにちは〜〜」
「ええ、レイは相変わらず元気ねえ」
何気ない会話だがアスカにはレイの手に握られているリボンのついた紙袋を捕らえていた。
(あれね、ふっふ〜〜〜ん小さな袋ね、勝ったわ!)
レイの手に握られていた袋はアスカが買ったチョコの箱の半分以下であった。
「シンジお兄ちゃん、あのねこれ〜ばれんたいんちよこなの」
(ぷっちよこ?チョコでしょうが)
「うわ〜〜僕にかい?嬉しいなあありがとう」
「へへへ」
シンジは喜びチョコを貰うとレイの頭を撫でて礼を言った。
(ふふふ、今ここでアタシがチョコをやればレイを完膚なきまでに叩きのめせるわ)
チョコで叩きのめせるはずがない、アスカは走って部屋へチョコを取りに行った。
「シンジ〜レイから貰えて良かったわね。しょうがないからアタシからもあげるわよ」
「アスカもくれるの?ありがとう」
「ま、まあね」
シンジの笑顔に頬が紅くなりソッポを向き照れを隠した。
「うわ〜〜アスカお姉ちゃんの大きいね」
「別にたいした事じゃないわよ、シンジが誰にも貰えないと思って大きいのにしたのよ」
「ふ〜〜ん、じゃあアスカお姉ちゃんの義理ちよこなんだ、私はね本命ちよこ」
(えっ?)
レイの言葉に一瞬耳を疑った。
「うわ〜〜レイちゃん本命チョコなのかあ〜嬉しいなあ」
「あらあらこの子ったら本命なんてどこで覚えたのかしら?」
(ちょ、ちょっと待って本命って何よ?アタシのが義理〜?)
言葉が喉まで出掛かっているがなかなか言えない、その前では三人の楽しい談話が続いている。
「シンジお兄ちゃんは本命本命大本命なの〜」
「大本命かあ〜照れちゃうなあ〜」
(なっシンジまで、アタシだってアタシだって本当は〜〜〜〜!!)
今すぐに本音を叫びたいが性格上言えるわけが無い、アスカは三人をただ羨ましく見つめるしかなかった。
(くう〜〜〜ホワイトデーはきっちり返してもらうわよ〜〜!!)
アスカちゃんレイちゃんにとって大事な日、二人ともシンジ君にチョコレートをあげました。
レイちゃんは本命、アスカちゃんは義理になってしまいました(^^;)勇気を出して言えば良いんですけど、アスカちゃんは言えないんですよねえ。
「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
リツコおかあさんシリーズ ちよこ