休日2(前編)

 嬉しい事がある日は一段と早く目が覚める。低血圧である、綾波レイも例外ではなかった。

 午前五時・・・鳥達が目覚める前にレイは目を覚ました。

「パッチリ・・・五時」

 レイはいつもならこの時間まだ夢の中だが、今日はシンジに必ず会えるので嬉しくて早起きを(早すぎ)したのだ。目はバッチリ覚めている。

「少し早いわね・・・どうしよう、また寝ようかしら」

「ダメ!寝たらいけないわ」

 レイは2度寝すると起きられなかった。

 洗面台へ行き顔を洗う。

「バシャバシャ!」

「気持ちいい」

「少し早いけど朝食の準備を・・・」

 てきぱき、トーストにサラダ、目玉焼き、牛乳定番の朝食、準備完了。

「いただきます」

「パクパク、ムシャムシャ、おいしい!」

 レイは今日は笑顔のようだ。

「碇クン、もうすぐ会えるのね」

「ゴクゴク、ゴックン、ごちそうさま!」

 今日は明るく食べ終え、手を合わせる。食器を洗い、部屋に戻る。時間はまだ6時前。

「どうしよう・・・まだ早いし」

 時間はまだ6時前。

「・・いきましょう」

 ・・・・・・・・・まだ6時前

 サッサッ、サッサッ、サッサッ、ブラシを髪にとおす今日は念入り。髪型は同じだが。

「この髪型、碇クン気に入ってくれるかしら?」

「・・・」

「もう少し、横を・・・」

 サッサッ、サッサッ、サッサッ、整える。髪型は同じ。

「・・・」

「もう少し、前を・・・」

 サッサッ、サッサッ、サッサッ、整える。だから髪型は同じ。

「・・・」

・・・

・・・

・・・

・・・

 8時を過ぎた・・・

「これでいいわね」

 レイは満足したようだ。無論髪型は同じである。

「碇クン、気づいてくれるかな?」

 それは多分無理だと思うが・・・

「碇クン」(ポッ)

 レイは髪型を気づいたシンジが、誉めているところを想像していた。

「うれしい・・・」(ポッポッ)

 顔が赤くなる。 ドリームワールド(レイの別世界)発生。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

 11時を過ぎた・・・

「はっ!いけない、もうこんな時間」

 レイはようやく戻り、時計をみた。

「これでいいわね」

「いってきます」

 玄関を飛び出し、階段を駆け下りる。

「まってて、碇クン!」

 レイは走った、走った、走った。

「はあはあ、ふう」

 ちょっと歩く、そしてまた走る、走る、走る。

「もう少しね」

 しばらくして、マンションが見えてきた。そして到着、エレベータに乗り上にあがる。玄関に到着、レイの鼓動は緊張していた。

「碇クン・・・ドキドキ」

 ピンポンー!チャイムを押す。中から知っている男の子の声が聞こえる。

「はーい!今開けます」

(ドキドキ、ドキドキ)

 レイの緊張は頂点に達していた。

 ガチャ!ドアが開く。

「ああ、綾波いらっしゃい」

 いつもの笑顔でシンジが出迎える。

「いっ碇クン、こっこんにちわ」(ポッポ)

 レイはシンジの笑顔に顔を真っ赤にして、挨拶をする。

「さあ、どうぞ」

「おっおじゃまします」(ドキドキ)

 レイは靴を脱ぎ、リビングにいくそこにはテレビを見ていたアスカと、休日だからビールを飲んでいた(何時も飲んでいるが)ミサトがいた。

「いらっしゃい、レイ」

 ミサトはできあがっていて上機嫌だ。

「ファースト!何しにきたのよ」

 アスカはレイの訪問に不機嫌だ。

「・・・碇クンに会いに」(ポッ)

「アンタねえ!学校でも会えるでしょ」

 アスカはレイに食って掛かった。

「いいじゃないアスカ、好きな人には何時でもあいたいからね!レイ」

「はい、チラ」

 レイはシンジの方をみる。ミサトにからかわれてシンジは真っ赤になる。

「ミッミッミサトさん」

「ふふ、シンジ君も幸せねえ」

(碇クン、ポッ)

「そんなんじゃないですよ」

「照れない、照れない!」

 ミサトはビールを飲み干し、シンジは真っ赤になりながら否定する。レイは満足だ。

(ウレシイ、碇クン照れているの?)

 3人は盛り上がっていた、一人をのぞいて。

「ハン、バッカじゃないの!」

 アスカは面白くない、除け者にされたことをイヤそれは違う。レイが訪問したことでシンジとの時間がなくなるからだ。

「アスカ、もしかして妬いてるの?」

「そんなわけないでしょう、ミサト!ビール飲みすぎよ。シンジそろそろお昼よ、お腹すいたわ」

 ミサトの突っ込みに戸惑いながらも対処するが、顔は赤い。

「ふふ」(今日は面白くなりそうね)

 ミサトの目が妖しくなり、不敵な笑みを浮かべる。

「わかったよ、綾波はお昼食べたの?」

「うん・・・まだ」

「そう、じゃあ座ってて作るから」

「うん」(碇クンの手料理、嬉しい)

「ファースト!なんで中途半端な時間に来るのよ」

 アスカはせっかくのシンジとの(ミサトもいるが眼中になし)昼食が邪魔?され苛立っていた。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・ちょっと・・」

「ちょっと、ファースト!聞いてるの?」

「なに?」

 ドリームワールド、アスカの声は聞こえていなかった。

「アンタねえ」

 怒りのこもった声、しかしレイは動じない。

「・・・もういいわ!」

「そう」

 アスカは呆れ、寝っころがりテレビを見出す、レイはまたドリームワールドへ出発、シンジは昼食を作っており、ミサトは2人のやりとりを心の中で笑っていた。

(プップ、最高ね!もう楽しいゴールデンウィークになったわ)

 暫くして・・・

「おまたせー」

 昼食の準備ができたようだ。シンジはチャーハン、サラダ、ウーロン茶を並べた。

「碇クン、手伝う」

「いいよ、簡単だから綾波は座っていて」

「うん」(碇クン、やさしい)

「ふん」

 2人のやりとりに、やっぱりアスカは面白くない。

(あのくらい、私でもできるわ)

「「「「いただきます!!!!」」」」

「おいしい!」

「普通だよ、綾波」

「でも、碇クンが作ったからおいしい」(ポッ)

「ありがとう」

 2人仲良くなっているがそれもつかの間・・・

「ふん、市販品のチャーハンの素じゃない、おいしいのはあたりまえよ!」

 ガツ、ガツ!

 もの凄い勢いでかきこむ。

「そんなことないわ、アスカ」

「そんなことよ!」

 レイはアスカを紅い瞳でみつめる。その瞳には怒りがこもっている。

「なっなによ、文句あるの」

 さすがのアスカもレイの紅い瞳にみつめ(睨まれ)られると、怖い。

「碇クンの手料理は美味しいわ、アスカそれをひどく言うのなら許さないわよ」

「アスカも綾波もけんかはやめて」

「わかったわよ!」

「ごめんなさい」

 シンジの一言でようやく収まる。

(ふう、助かったわねファーストの瞳は相変わらず怖いわ)

(碇クン、怒ってないかしら?)

(ぷっぷ!相変わらず、面白いわねえ)

・・・

・・・

・・・

・・・

 そうしてレイは楽しい、アスカは面白くない、ミサトには酒の肴の昼食がすぎていった。

「「「「ごちそうさま!!!!」」」」

 シンジが皿を片付けていて、レイも手伝おうとした。

「碇クン手伝うわ」

「いいよ、綾波は座っていて」

「おねがい」 (ウルウル)

 レイは涙目で訴えかける、シンジは涙目攻撃に耐えられず頼むことにした。

「そっそれじゃあ、お願いしようかな」

「うん」 (ポッ ウレシイ碇クンと)

 2人のやりとりにアスカは面白くない。

「シンジ私も手伝うわ!」

「え?」

「私が手伝ってあげるのよ、ありがたく思いなさい」

 アスカは素早く食器を片付ける。

「アスカ、珍しいわね」

 ミサトがニヤニヤしながら、からかう。

「シッシンジが大変だから手伝っているのよ」

「そうかしら?シンジ君を取られるからじゃないの」

なっなにバカなこといってんのよ!別に関係ないわ

 アスカはミサトにくってかかっていた。

(碇クンを私がとるの?私が?ウレシイ)

 レイはミサトの言葉に感激していた。

「アスカもミサトさんもやめてください!」

 シンジは仲裁していた。

「フン、もういいわ」

 アスカは怒って自室にこもってしまった。

「アスカ!」

「シンジ君放っておきなさい、あの子も素直じゃないから時間が経てば出てくるわよ」

「はい」

 シンジはアスカの部屋を心配そうに見ながら、台所に向かった。

「碇クン私は何をすればいいの?」

「そうだね、僕が洗うから、綾波は拭いてくれる」

「うん」 

 そして、シンジが洗い隣にレイが立ってその様子を見ていた。

「碇クン、洗うの上手ね」 (ポッ)

「そんな事ないよ」

「いいえ、すごいわ」 (ポッ)

 シンジは誉められ、照れている。レイもすぐ隣に立っているので、照れていた。

 バシャバシャ!

「はい綾波」

「うん」

 キュッキュ! シンジが洗った食器をレイが拭く。

 バシャバシャ!!

「はい綾波」

「うん」

 キュッキュ!! 

 バシャバシャ!!!

「はい綾波」

「うん」

 キュッキュ!!!

 バシャバシャ!!!!

「はい綾波」

「うん」

 キュッキュ!!!! 次々に洗って拭いていく。

 バシャバシャ!!!!!

「はい綾波」

「うん」

 ピト!!!!! シンジの指がレイの指にふれた。

!!!!!!!

いっ今、碇クンの指が・・・・ポッポッポッポージューーー

 ドタ!!その場に倒れるレイ、顔を真っ赤にして、湯気がでていた。

「あっ綾波!どうしたの?」

 ジューー、レイは極楽な笑顔で気絶していた。

「綾波ーー!!」

 シンジの問いかけに、返事はなかった。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

つづく


 HEAVEN'S DRIVE 3、休日の続編にあたります。

 長いのですいませんが分かれてしまいしました。

 どうも3人が出ると収集がつかず、話しが長くなってしまいます。

 レイがやっとシンジに会えました。もうGWは過ぎましたがGWの一日です。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


HEAVEN'S DRIVE 3 休日2(中編)

NEON GENESIS: EVANGELION 休日2(前編)