甘味

 キ〜ンコ〜ンカ〜〜ンコ〜〜ン

 ふあああ〜やっと退屈な授業が終わったわ、さあ帰ろうかな・・・ってのんびりしていられないわ。早くこの場から立ち去らないと。

「何を慌てているの?」

「うわああ〜ファ、ファースト!」

 ビックリしたわ、いきなり目の前に現れないでよ。

「逃げようなんて思わないことね」

「な、なんで逃げなきゃならないのよ」

「うふふ、心当たりがあるくせに」

 その微笑、き〜ムカつくわね。

「何の事かしら?」

「まあいいわ、さあ行きましょう」

「ちょ、ちょっと腕を引っ張らないでよ」

 身体が細いくせに力があるわね。

「よお惣流〜大変やな、一ヶ月間綾波にパフェ奢らんとあかんのやろ」

 なっ!

「甘口しか食べれないのに挑むなんて無謀だよな」

 ななっ!

「どうしてアンタ達が知っているのよ」

 三バカトリオの二人、ジャージとメガネがにやけならがやって来たわ。

「クラス全員が知っているぜ、惣流は甘口カレーしか食べれないお子様だってね」

「なんでクラス全員が?」

「私がクラス全員にメールを発信したの、パフェを一ヶ月間奢る事もね」

「どうしてそんな事するのよ」

「逃げないようにする為よ」

「だ、誰が逃げるもんですか」

 用意が徹底しているわね、こんな時だけ行動力があるなんて・・・

「さあ行きましょう」

「わかったわよ、行けばいいんでしょう。シンジッ行くわよ」

「ええっ!?どうして僕も行くの」

「いいから来なさい!」

「これからトウジ達と遊びに行くのに」

「センセ、災難やな。同情するで」

 ジャージ五月蝿い!

「アスカ、碇クンからお金を奪うのはナシよ」

「そ、そんな事しないわよ」

 な、なんだかアタシの心読まれていない?

「それじゃあ行きましょう」

「ええ・・・」

 とほほ・・・こんなのが一ヶ月も続くの、勝負なんてしなきゃよかったわ。











「今日はここのパフェを奢ってもらうわ」

 ファーストにつれて来られたのは小さな喫茶店、なかなか雰囲気が良いじゃない。メニュー表が小さな黒板に書いているわ。

「どれどれ・・・チョコレートバナナパフェ、450円」

 お手軽な値段じゃない、でも奢るとなればキツイわね。

「さあ入りましょう」

 ドアを開けたらクラシックのCDが流れているわ、なかなか静かで落ち着けるわね。

「私はチョコレートバナナパフェよ」

「アタシもそれを食べるわ」

 ファーストだけが食べているのを見るのは嫌だわ。

「アスカ〜お小遣いは大丈夫なの」

「平気よ」

 いざとなればシンジ、アンタから・・・

「アスカ、碇クンから借りたり力ずくで奪ってはダメよ、キチンと自分のお小遣いから奢るのよ」

「わ、わかっているわよ。お年玉の貯金があるから問題ないわよ」

 こいつは絶対にアタシの心を読んでいるわ。

「碇クンは何にするの?」

「う〜〜ん、どうしようかな?ホットケーキにしようかな」

 ホットケーキ、いいわね〜ちょっぴり分けてもらおう。









 注文してから十数分後、パフェとホットケーキが運ばれてきたわ、う〜〜ん美味しそう。

「チョコレートにバナナは合うわね、美味しいわ」

 ファースト、美味しいそうに食べているわ。奢りだから余計美味しいでしょうね。

「うん、美味しい〜」

 チョコと生クリーム、バナナにつけて食べると美味しいわ。

「これが一ヶ月も続くのね、天国だわ」

 アタシは地獄よ・・・

「二人とも美味しいそうだね」

「うん、美味しいわ。碇クンもどうぞ」

 あっファーストが自分のスプーンでシンジにあ〜〜ん状態に、ちょっと待ちなさいよ。

「え、いいの?」

「うん、美味しいから碇クンに食べてほしいの」

 そんな事したら間接キッスになるじゃないのよ。そんな事させないわよ。

「はい、あ〜〜んして」

「あ〜〜ん、ぱくもぐもぐ」

「アスカ貴女じゃないわ」

 アタシはシンジを強引に押しのけファーストのあ〜〜んを自分で阻止したわ。

「そのパフェはアタシが奢ったのよ、シンジに奢ったわけじゃないの」

「奢ってもらったパフェは私のもの、もう貴女のパフェじゃないわ、碇クンにあげようと私の勝手よ」

 勝手じゃないわよ!

「アンタはあげなくていいの、アタシの奢りなんだから自分で食べなさい、自分で食べきらないと次からは奢らないわよ」

 ナイスな発言だわ、これでシンジにあげたら次から奢らなくてすむわ。

「くっ・・・アスカ、卑怯よ」

「卑怯〜?アタシは卑怯なんかじゃないわよ。シンジ〜食べたいならアタシのパフェをあげるわよ、ほらあ〜〜んしなさい」

「い、いいよ」

「遠慮しなくていいわよ〜はいあ〜〜ん」

「う、うん」

 ふっふっふっふ、形勢逆転ねファーストの奴悔しがっているわ。

「美味しいでしょう〜もう一口いいわよ。ほらあ〜〜ん」

「く、屈辱・・・」

 何日かこれをやれば絶対に我慢できなくなり、シンジにあ〜〜んすると思うわ、その時がアタシの勝利よ!


 前SS「勝負」で完全敗北したアスカちゃんは一ヶ月間レイちゃんにパフェを奢る事に(^^;)

 喫茶店に強引に連れて行かれてパフェを奢らされるアスカちゃん、へっぽこです。

 でも言葉巧みにレイちゃんを丸め込んで形勢逆転、今度はアスカちゃんが勝利ですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 甘味