デート券2

「アスカッ!今日一日デートしてあげるよ」

「はあ?」

 バッチ〜〜ン!

「い、痛いよ」

 朝、バカシンジから訳わかんない事言われたから平手打ちを食らわせてやったわ。

「アンタ、寝ぼけてんの?デートしてあげるって何様のつもりよ?」

「な、何様のつもりって、今日はアスカの誕生日だろ、これがプレゼントだよ」

 バカシンジも天才美少女の誕生日を記憶しているのは偉いわね。

「これがプレゼント?」

「うん、開けてみてよ」

 薄っぺらい封筒ねえ、何が入っているのかしら?

「デート券?」

 封筒の中身はバカシンジの汚い字でデート券と書かれた一枚の紙だったわ。

「そうだよデート券、僕とデートできる券だよ。期限は今日だけ」

 ふ〜〜ん、バカシンジとデートできる券ねえ〜

 バッチ〜〜ン!

「い、痛い!」

 今日、二発目の平手打ちよ。

「アンタバカァ〜?この天才美少女アスカ様に対してプレゼントが紙切れ一枚ってふざけているの?こんなの紙飛行機にしても飛ばないで墜落しちゃうわよ」

「ひ、ひどい・・・」

「アスカ〜もうその辺で止めにしておきなさい、シンちゃんが落ち込んでいるわよ」

 ミサトがやって来たわ、まあ言い過ぎたとは思っているんだけど・・・

「シンちゃんの誕生日にアスカもデート券を渡したでしょう」

「ええ」

 確かにシンジの誕生日にデート券を渡したわ。

「だから今回はシンちゃんがアスカにデート券をプレゼントするって提案したのは私なのよ」

「ミサトが?」

「ええ、アスカだけが1分で作ったプレゼントじゃ不公平でしょう。それにデート券なら大手を振ってデートできるじゃないのよ」

 ウインクして微笑むミサト、なんかムカつくわね。

「ま、まあアタシだけがデート券を渡しのは不公平よね・・・しょうがないわね、シンジ!ありがたくプレゼントを貰ってあげるわよ」

「本当?」

「ええ、アンタが悲しそうな顔をしてるから仕方なくデートしてあげるわよ」

「うん、ありがとうアスカ」

 ふふ、曇り顔から晴れた顔になったわね。

「は〜〜い、アスカにツンデレ入りました〜〜〜」

「ミサト五月蝿い〜〜あっちに行け〜〜」

「はいは〜〜い、美人なお姉さんはあっちへ退散しますよ〜〜」

 アタシ達をからかうのを生き甲斐にしているんじゃないのかしら?

「邪魔者を退散したし、今からデートの準備をするわよ」

「うん、着替えてくるよ」

 アタシとシンジは準備をする為に部屋へ戻ったわ。




 ふんふんふ〜〜ん、今日はアタシの誕生日でデートだから、お気に入りの洋服を着ていくわよ。

「アスカ、入るわよ」

 ミサトが声と同時に部屋へ入ってきたわ。

「ちょっと、まだ着替え中よ」

「おっと、ゴメンゴメン。それと誕生日おめでとう」

「ん、ありがと」

「これは、私からのプレゼントよ」

「わお〜ありがとうミサト、開けていい?」

「ええ良いわよ」

 ミサトからのプレゼントは香水だったわ。

「良い香りね」

「それをデートにつけていきなさい、シンちゃん喜ぶわよ」

「わ、わかっているわよ」

「ふふ、赤くなっちゃって」

「五月蝿いわね〜〜早く出て行ってよ」

 準備が遅れるじゃないのよ。

「おっと、ゴメンゴメン。それじゃあそろそろ退散するわね。それとシンちゃんにお小遣いを渡してあるから、おねだりしてもかまわないわよ」

 お小遣いを渡すなんてミサトにしては、なかなか気が利いているわね。

「んじゃ、私はもう少し寝るから楽しんでらっしゃいね」

「寝てばっかりじゃ牛になるわよ」

 ミサトはウインクをすると部屋を出て行ったわ、さあシンジが待っているから早く準備をしようっと。





「お待たせ〜」

「じゃあ行こうか」

「ちょっと、何よアンタの格好は普段着じゃないのよ」

「普段着って・・・外出用なんだけど」


 TシャツにGパンって、前と同じじゃないのよ。アタシはツインテールにしてチェックブラウスにミニスカートよ。

「どうかしら?アタシ可愛いでしょう」

「うん、可愛いよ」

「当然でしょう、アタシは何を着ても似合うのよ」

 ミニスカートはちょっと大胆すぎたからしら、シンジが赤くなっているわ。

「それでどこへ行くのよ」

 まだ行き先を聞いてないけど、ちゃんとデートプランは立てているのかしら?

「水族館を予定してるんだけど良いかな?」

 港にある大きな水族館ね。

「ええ良いわよ」

「人気があるらしいよ、ニュースでやっていたんだ」

「へ〜〜それは楽しみね」

 それから電車に乗って水族館へ向かったわ。






「人多いわね」

「うん、人気スポットだからね」

 ファミリーが多いわね、そして当然カップルも多いわ。

「じゃあチケット買ってくるよ」

「うん」

 シンジがチケットを買いに行っている間、アタシは周りを見回したわ。海風が気持ち良いわね。それにカップルはみんな手を繋いでいる。

「お待たせ〜〜行こうか」

「うん、シンジッ手を出して」

「手?」

「いいから」

「あ、うん」

 シンジの手を握って・・・

「これでデートらしくなったわね」

「ちょ、恥ずかしいよ」

「恥ずかしい?アンタバカァ〜?デート券の意味が無いでしょう。デートだから当然手を繋ぐのが常識よ」

「う、うん」

「わかったら行くわよ」

 シンジの手を引っ張って入口へ・・・って、エスコートが逆だと思うんだけどなあ。

「すごーい」

 館内の広さに驚いたわ、どこから見て回ろうかしら。

「アスカ、どこから行く?」

 2人でパンフレットを見て、どこからがいいかしら?

「わからなくなるから順番通りに回ったほうがいいわね」

「そうだね」

 小さな水槽がたくさん並んでいて小魚が泳いでるわ。熱帯魚もいるわね。

「小さくて可愛いわね」

「うん、家でも飼えそうだね」

「でもペンペンが食べるんじゃないかしら」

「十分にありえるね」

「飼うのはペンペンだけでいいかもしれないわね」

「ははは、そうだね」

「ねえシンジ、写真撮ってよ」

「うん、いいよ」

 綺麗な熱帯魚をバックにデジカメで撮ってもらったわ。

「シンジも撮ってあげるわ」

「うん、ありがとう」

 それにしても周りはカップルだらけね、腕を組んでいるカップルも多いわ。アタシも腕を組んでみようかしら?でも手を繋ぐだけでも緊張するのに腕を組むとなると・・・

「アスカ、どうしたの?」

「え?あ、何でもないわよ。か、可愛い魚ね」

「それはタコだよ」

「タ、タコ?可愛いと思ったのよ!」

 もう恥ずかしいわ、さっさと次に行くわよ。





「次は深海魚エリアだね」

「うっ・・・深海魚なのね」

 薄暗いエリアね。それに深海魚はグロテスクだから苦手なのよね。

「じゃあ入ろうか」

「う、うん」

 繋いだ手に力がこもる。こ、怖くなんかないもん。

「ちょっとシンジ、早く歩きなさいよ」

 こんな所は早く出るべきだわ。

「早く歩いたら見れないよ」

「み、見れなくていいのよ。キャッ!」

 め、目の前の水槽に不気味な姿が・・・

「うわ〜〜凄い姿だなあ〜」

 よく見れるわね、怖くて目を開けてられないわ。

「へえ〜〜こんな魚もいるんだ」

 感心しないでよ。もう〜〜

「アスカ、どうしたの?」

「ど、どうもしないわよ。早く行くのよ」

「うん、わかったよ」

 どうして深海魚なんか見て楽しいのかしら?

「アスカ、出たよ」

「そ、そう」

 ふ〜〜やっと目を開けられるわ。

「怖かったの?」

「こ、怖くなんかないわよ」

「そう?ずっと僕の腕にしがみ付いていたよ」

「そ、それは・・・」

「使徒は怖くないのに深海魚が怖いなんて、何か逆だよね」

「べ、別にいいじゃない。誰だって苦手なものはあるのよ」

 結果的には腕組できたから良いかしら?組むというよりしがみ付いていただけだわ。








「イルカショーがお昼からあるみたいよ」

「それじゃあ、ちょっと早いけどご飯を食べてから見ようか」

「そうね」

 館内から外の広場に出てベンチに座って、さっき買ったハンバーガーを食べるわよ。

「いい天気だね」

「アタシの誕生日だからよ」

「凄い自信だね」

「アタシだからよ。それに雨じゃないからデートできたのよ」

「はは、そうだね」

 アタシの誕生日に雨なんて絶対に降らないわよ。

「そろそろ時間だから行きましょう」

「うん」

 お腹も満たされたからイルカショーを見に行こうっと。







「遅かったわね」

「うん」

 考えが甘かったわ。イルカショーの座席はすでに満席、もっと早く来るべきだったわね。

「立見になるけどしょうがないね」

「う〜〜残念」

 立見も人が大勢いるからきついわね。

「そろそろ始まるね」

 イルカショーが始まるわ、生で見るのは初めて。

「うわ〜〜すご〜〜い」

 イルカとトレーナーの息がピッタリ、ジャンプやスピンを決めている。

「すごいすごい」

「アスカ、楽しんでいるね」

「当然よ、見て見て〜水しぶきが観客席まで飛んでいるわ」

「本当だ、みんな濡れているね」

「座らなくてよかったかもね」

 でも間近で見て水しぶきを浴びたい気もあるわね。








 イルカショーは大興奮だったわ、また見たくなるわね。

「アスカ、何か買っていこうか」

「うん、ミサトにもお土産を買っていかないと怒るわね」

 ミサトには何が良いかしら?ペンペンにも買っていかないとね。

「あ、ヌイグルミが可愛い〜」

 イルカのヌイグルミだわ、欲しいわね〜

「アスカはそれが良いの?」

「うん、でもちょっと高いわよ」

「平気だよ。アスカの誕生日だし買っちゃおう」

 そうね、ミサトからお小遣いを貰っていたわよね。

「じゃあ、お言葉に甘えるわ」

 ミサトには珊瑚で作ったイヤリング、ペンペンには魚の形をしたクッキーね。

「シンジは、どれにするの?」

「僕はどれにしようかな」

「アタシが選んであげるわ」

「それじゃあお願いしようかな」

 シンジには・・・ええと・・・

「シンジにはこれ〜〜」

「アスカと同じ、イルカのヌイグルミ?」

「同じだけど、アタシのはメスでシンジのはオスよ。大きさや顔立ちが違うでしょう」

「大きさの違いはわかるけど、顔立ちが違うのは・・・」

「全然違うじゃない、ほらメスは可愛いし、オスは凛々しいじゃない。

「そうかな?」

「そうよ、シンジのお土産はこれで決まり〜〜」

 その後も気になったお菓子を選んだからお土産が両手いっぱいになっちゃった。










「今日は楽しかった?」

「ええ、楽しかったわよ」

 電車を降りて家路を歩くアタシとシンジ、ずっと手を繋ぎたいんだけど、お土産買いすぎちゃって2人とも両手が塞がっているのよね。

「お土産買いすぎたね」

「良いじゃない、ちゃんとスポンサーがいたんだから」

 ミサトもたまには良い事するのよね。もうすぐ自宅、デートも終わりね。





 玄関の前に着いた、アタシは両手に持っていた紙袋を置いたわ。

「シンジ、誕生日プレゼントありがとう」

「うん」

「デート券は驚いたけど嬉しかったわ」

「うん」

「またデートしてもいい?」

「うん」

「じゃあ目をつぶって」

「うん」

 シンジはゆっくりと目をつぶったわ。







「ありがとう」

 耳元で囁く感謝の言葉、そして頬に軽くキスを・・・

「たっだいま〜〜」

 アタシ自身でも顔が真っ赤になっているのがわかるわ、それをシンジに気付かれないように家に入っていく。また一緒に行きたいわよね


 アスカちゃんの誕生日、シンジ君はプレゼントはアスカちゃんと同じくデート券でした。

 ミサトさんの援助でお金の心配は問題無し、2人には楽しい記念日になりました(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION デート券2