お手玉

 ピ〜ンポ〜ン!

 雲一つ無い昼下がり、葛城家のチャイムが鳴った。

「は〜〜〜い」

 チャイムが鳴るとほぼ同時にシンジは返事をする、それは同居人二人がしないからである。玄関を開けるとそこには・・・

「碇クンこんにちは」

「いらっしゃい」

 玄関先にはレイが立っていた、この時刻には来るだろうとシンジは予想していたので微笑むとリビングへ案内した。

「また来たの〜〜、今日は何を仕入れてきたのよ」

 アスカも今のチャイムがレイであることを予想しており結果は大当たり。

「今日はこれ」

 猫の刺繍がついたポシェットから取り出したのは・・・・・

「へえ〜〜お手玉」

「そうお手玉、お母さんから習ったの」

 猫がプリントされたお手玉を二つ出すと、両手に一つづつ乗せ上げるタイミングを見計らう。

「碇クン、見てて」

「うん」

「えい」

 レイは左手のお手玉を上げると右手のお手玉を左手に移す、あとは落ちてくるお手玉をキャッチして繰り返すだけであるが・・・・・

 ぽと

「あ・・・・・・・・」

 左手のお手玉に気を取られて掴み損ね落してしまった。

「・・・・・・しくしく、しくしく」

 数秒無言で落ちたお手玉を見つめると涙を流し始めた。

「わああ、綾波〜〜そんな事で泣かないで」

「しくしく、しくしく、練習したのに」

「な、何回も練習すれば必ずできるよ」

「しくしく、しくしく、なでなでしてもらえない」

 どうやらレイはお手玉をして『なでなで』をしてもらいたいようだ。

「な、なでなで・・・・で、できなくてもしてあげるよ」

「ダメ、成功しないと喜びが無いの」

「そ、そう・・・・」

 シンジは首をかしげた、レイの考えがいまいち分からない。

「へなちょこねえ〜〜そのくらいできないの?」

「しくしく、しくしく、アスカはできるの?」

「アタシにかかればお茶の子サイサイよ!かしてみなさい」

 お手玉を受け取ると立ち上がり、足を肩幅まで広げると深く深呼吸をする。

「よぉく見てなさいよ、どええええ!」

 勢い良くお手玉を放り投げた、天井に届きそうである。この瞬間に手に持っているお手玉は移動した、高く上げる事によって時間に余裕ができたのである。が・・・・

 べち

「ふぎゃ!」

 放り投げたお手玉は天井に当たり落ちてくる場所が変わり取り損ね顔面でキャッチしたのである。

「へっぽこね、くすくす」

「うるさい!こんなのやってらんないわよ」

 鼻に当たって赤くなっている、レイはその姿を見て笑った。

「アスカ、僕に貸してみてよ」

「シンジがやるの?」

「うん、昔ちょっとやった事があるんだ」

 お手玉を受け取ると素早く左手のお手玉を上げた。

 

 

 

「碇クン、上手」

「うそ、シンジがうまいなんて」

 シンジはリズム良く連続してお手玉をし続けている、その姿に二人は見とれていた。

「ふう〜久しぶりだから長くはできないや」

 二十回続けたところで落してしまったが、それだけできれば十分だろう。

「碇クン、すごい。なでなで、なでなで」

「うわ、綾波」

 レイのなでなでに驚くシンジ。

「できたからなでなでしてあげるの、なでなで、なでなで」

「そ、そう。ありがとう」

「しょうがないわね、ほらなでなでよ、なでなで」

「ア、アスカまで」

 アスカのなでなでにも驚く、なでなでされているので頭を動かす事ができない。

「お手玉ができたご報美よ」

「碇クン、尊敬しちゃう」

(お手玉ができたくらいで凄いのかなあ?)

 シンジはなでなでをされるがまま、時間が過ぎるのであった。


 「」の続きです。レイちゃんとアスカちゃん、大いにへっぽこです(笑)

 今回はシンジ君がなでなでされました、二人にされて嬉しいでしょうね?

 レイちゃん、アスカちゃんがお手玉できないのに男の子にシンジ君ができるとは(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION お手玉