「これが鯉のぼりなの?」「そ、そうよ・・・さあお昼寝しましょうね」

リツコさん特製鯉のぼり?

「おかあさん、おかあさん」

「どうしたの?」

 今日は自宅でお仕事リツコさん、書斎にレイちゃんがやってきました。

「もうすぐ子供の日なんだって、私の日が来るの」

「あらもうそんな時期なの?」

 リツコさん卓上カレンダーに目を移すと今日は五月二日、子供の日まであと三日です。

「うん、子供の日は私の日なの〜〜〜」

「ふふ、そうねもうすぐレイの日ね」

 リツコさんはレイちゃんを膝の上に乗せるとニッコリ微笑み頭を撫でました。

「それでね、あれが欲しいの」

「あれ?」
 
 高層マンションの部屋の窓から外に指をさしました、何が欲しいんでしょうか。

「うん、空に泳いでいるお魚さん」

「お魚・・・鯉のぼりね」

 眼下に広がる住宅地には子供が住んでいるのでしょうか、鯉のぼりがちらほらと泳いでいます。

「うんっ!鯉のぼり、あれが欲しい〜〜〜、うちにも泳がせて〜〜〜」

「あれはね男の子が居るお家に泳がせるものなのよ。レイは女の子でしょ」

 子供の日のメインである鯉のぼりは男の子用、女の子のレイちゃんにとっては必要ないものであるが・・・

「え〜〜〜?欲しいよ〜〜うちにも泳がせたいの〜〜〜」

 ばたばた、ばたばた

「きゃ、暴れないの」

「欲しいよ〜〜〜」

 ばたばた、ばたばた

 レイちゃん、鯉のぼりがどうしても欲しいようです、リツコさんの膝の上で手足をばたつかせ駄々をこねました。

「うちにも泳がせたい〜〜〜」

「はあ〜〜〜」

 こうなっては手がつけられません、リツコさんため息をつきました。

「はいはい、わかりましたから静かにしなさい」

「泳がしてくれるの?」

「ええ、あれほど立派じゃないけど泳がせましょうね」

「本当!やった〜〜〜」

「ふふ」

 レイちゃん、膝から降りて両手を上げて大喜び、リツコさんはその姿を見て微笑ましく思いました。

「じゃあちょっと待っていてね」

「うん!お昼寝して待ってるね」

 レイちゃんは出来上がるのを心待ちにして寝室に向かいました。




「さあて、材料を・・・」

 リツコさん、腕捲りをして床に置いてあったレイちゃん専用お絵かき画用紙と色ペンを手に取り机に戻り、引き出しからハサミ、のりを取り出しました。

「工作・・・何年ぶりかしら・・・」

 昔を思い出しますがなかなか工作の場面が出てきません。

「まあなんとかなるわね・・・」

 早速画用紙に鉛筆で鯉を書いていくリツコさんですがPCを使っている時の様に流れる作業ではなくぎこちない手つきです。

「これはこうで、ここはこう・・・あら?どうなっているのかしら?」

 住宅地に泳いでる鯉のぼりを見ては画用紙に目を移し、鯉のぼりを見ては画用紙に目を移す、この動作が数十回繰り返され額に薄っすらと汗が滲んできました。

「愛するレイのために頑張らないとね」

 リツコさん、愛娘レイちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべ作業に気合が入ります。







「ふう〜〜〜なんとかできたわ」

 額の汗をハンカチで拭くと完成した鯉のぼりを見て・・・

「無様かしら?・・・」

 リツコさんの鯉のぼりは・・・表現しがたいものでした。

「ま、まあいいわ。科学者に工作は無理よね」

 自分に言い聞かせるとレイちゃんを起こしに行きました。



「レイ、レイ〜〜起きなさい、お昼寝は終わりよ」

「う、う〜〜〜ん、むにゃむにゃ・・・もう少し〜〜〜」

 レイちゃん枕を抱きついてまだ眠たそう、目を開けますがまた閉じてしまいました。

「ほら起きなさい、鯉のぼりが完成したわよ」

「本当!?」

 先ほどの眠気は嘘のよう、ガバッと体を起こし一気に目が覚めました。

「ええ本当よ、さあいらっしゃい」

「うんっ」

 レイちゃんの手を引いて書斎に戻りました。



「さあ鯉のぼりよ」

 リツコさんレイちゃんを膝の上に乗せ完成した鯉のぼりを机に立たせました。

「うわ〜〜〜鯉のぼり・・・」

「どう?これでおうちにも子供の日が来たでしょう」

 満足なリツコさんでしたがレイちゃんは・・・

「おかあさん、これ・・・」

「なあに?可愛いでしょ」

「めざしなの?」

 が〜〜〜〜〜〜〜ん!!

 リツコさん大ショック、頭にN2が炸裂しました。


「そ、そうねめざしに見えないことはないわね。でもねあっちに浮かんでいるのは本当の鯉のぼりじゃないの、これが本当の鯉のぼりなのよ」

 だれがどう見ても住宅地に浮かんでいるのが鯉のぼりと答えるでしょう。

「本当なの?」

 レイちゃんジト目でリツコさんを見ました。

「ほ、本当よ。これで満足でしょ、さあお昼寝の続きをしましょうね」

「うわぁ、もう眠くないよ〜〜」

「一緒に寝ましょうね」

 リツコさんレイちゃんを小脇に抱えるとダッシュで寝室に向かいました。

 書斎に残された鯉のぼり・・・めざしのぼりをレイちゃんが再び目にする事はありませんでした。


 庵舞麗羅さんから50万HIT企画CG「リツコおかあさんでGO〜!」を頂きました(^^)ありがとうございます。

 子供の日には鯉のぼりを〜〜〜でもレイちゃんは女の子、買うのは勿体無いのでリツコさんの手作りです。

 天才科学者リツコさん、立派な鯉のぼりができるとおもいきや・・・苦手なものは誰にでもありますね(^^;)

 レイちゃん(三歳に設定)にはリツコさんの芸術がわからなかったかな?

 SSはjun16が勝手に描きました<_>


 「jun16 Factory」はリツコおかあさん推奨HPです(爆)

 とっても素敵なCGをくださった庵舞麗羅さんに皆さん感想を送りましょう。

 庵舞麗羅さんのHPはこちら!「庵舞の庵

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


CG room-2

NEON GENESIS: EVANGELION CG