通りすがり 乱馬観点 新しく出来た遊技場のプレオープンで、夜中に花火が上がるらしい。 学校でも、その話題でもちきりで、特に休み前の夜ということもあって、 カップルたちがこぞって行こうと話をしていた。 乱馬とあかねもやはり例外ではなく・・・だけど、お互いに上手く誘うことが出来ない。 皆がいる所でなんかもっての他って話なだけに、ふたりっきりになれる機会をお互いに窺っていた。 帰り道、ようやく出来たふたりだけの時間。お互いの気持ちは交錯していた。 「花火、上がるんだってな。」 「らしいね。」 「混んでるだろうな。」 「そうだね。」 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 一緒に行こうって、ひと言、言えばいいんだ。 そう言ったら、あかね、どんな顔するんだろう。 喜んでくれるかな・・・。 それとも、笑われるかな。 なに、馬鹿なこと言ってるのよって・・・。 「乱馬、誰かと行くの?」 「え・・・いや、別に。」 「そう。」 「あかねこそ、友達か誰かと行くのか?」 「ううん、まだ決めてない。」 「そっか。」 だったら・・・と、出かかる言葉が喉で詰まる。 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 なんで、行きたいって言ってくれねぇかな。 はっきりとした言葉が出せないのは、自分の方が優位に立っていたいって思うから。 変な自尊心をかなぐり捨てられたら、 あかねとの仲、もうちょっとどうにかなってるのかなって、そうは思うけど。 あかねが言ってくれたなら、おれはいつだって・・・そう思うから、 結局口に出せず、いつだってチャンスを逃す。 よく、わかってる。わかってるから、うまくいかない。 結局、その日になってもはっきりしないおれは、友達に誘われて、 あかねの方も別に誘われたようで・・・別々に出掛けることになった。 「行ってきます。」 一足先に、あかねは出かけて行く。 「乱馬くんと一緒に行ったらいいのに。」 「どうして、わたしが乱馬と出かけなきゃいけないのよ。」 かわいくねぇな・・・相変わらず。 「その言葉、まんま、おめーに返す。」 「なによっ。」 「だけどねぇ、乱馬くん、心配じゃない? 女の子同士でそんなところ。 夜中じゅう、ずっとでしょ?」 ・・・そうか。そうだよな。真夜中だもんな。 そう思う気持ちとは裏腹の、いつもながらの言動が飛び出す。 「こんだけいる女の中で、あかねを選ぶ男はまずいないから、大丈夫。」 そう言って見たあかねの表情が、ちょっと悲しそうに見えた。 「わたし、すごくもてるんだからね。何かあったって、知らないんだから。 いってきますっ!」 力いっぱい閉められた扉が、しばらく震えていた。 しばらくして、おれも、出かける。 女どもに誘われはしたが、面倒くさかったし、 あかねじゃねぇ女とそういう時間を過ごすつもりなんかもうとうなかったから、友達と出かけてきた。 「しっかし、すげー人ごみだなぁ。あっちの方なんか見えねぇぞ。」 花火を見ようと、大勢の人が集まっている会場は、溢れんばかりの人でごったがえしていた。 「この分じゃ、心配することなさそうだな。」 皆、歩くのに精一杯でいちいち通り過ぎる人間の顔を見る間もない。 あかねが、いくらどんなに人ごみに紛れても映える程のかわいらしさをもっていたって、 この分じゃ心配いらないだろう。 「何の心配だ?」 「あ、いや・・・別に。」 「なんで、天道と来なかったんだよ。」 「・・・ほっとけ。」 一緒に来れたらどんだけよかったか。 くだらない話をしながら、人の流れに沿って歩く。 何の気なし視線を動かすと、向こうの人の流れに見慣れた顔。 突然、胸の中が熱くなる。 なんで、わかったんだろう? そんだけ、いつも、あかねのこと、考えてるってこと・・・なんだろうな。 多分、どんなに同じような背格好の女が目の前に現れても、おれの目はあかねを探し出す。 あかねだけを見つけ出せる。 じっとしばらく、あかねを見つめる。 あかねは一生懸命足元を気にしながら歩いてて、顔を上げない。 気付かないかな? そう思ってたら、あかねが顔を上げそうになり、慌てて目を伏せ、首をおった。 あかね・・・気付いた? しばらくして、顔を上げたけど、あかねは俯いたまま。 気付いてないか・・・。 先に、あかねに見つけてほしいから・・・って、そう思うから、 あかねが、こっちを見てて、そん時に目、合わせたい。 ちらちらと、あっちを見たりするけど、こっちに気付いてる様子がなく・・・・・・。 そうこうしてたら、もうすぐそこまで・・・はっきり顔も見える。 「・・・・・・。」 何も言わないで、通りすぎる瞬間に、本当に、ほんの一瞬だけ、ふれた手。 いきなりだし、びっくりされるんだろうか。 それとも、ひっぱたかれたりするんだろうか・・・。 ひんやりして冷たい手の感触。 その後、ぎゅっと握られる力。 あれ? おれのこと見てる、優しい瞳。 ・・・気付いてたんだ。 おれがあかねを見つけたように、あかねもおれのこと探し出してくれてたんだ。 見ていてくれたんだ。 あっという間に通りすぎて、すぐに離れたけど・・・。 家に帰ったら、今度一緒にこようなって言おう。 そう、決意した。 =おしまい= 呟 言 ぷらとにっく・・・か? そうですな。どうなんでしょうな。 私的にはかなり、ぷらとにっくなんですがね。 そんなこと以前の問題なような・・・そんな気がしてますが(汗) ひょう それはそうと・・・あかねちゃんの方読みます? >>>>>読む >>>>>読まない