天体観望のコツ     
                              作成:肉体派観望集団「Crazy Binoculars(双眼狂)」



・天体観望は難しくない?!

 一口に「天体観測」とか「天体観望」というと、なんだか難しく考えがちです。
家路に向かう帰り道、ふと見上げると「あっ!星がでてる。へぇ〜今夜はたくさん
星が出てて綺麗だなぁ。」っというのも立派な天体観望のひとつですね。「あの明
るい星は何だろう?」「○○座ってどうつなぐのかな?」という素朴な疑問を天文
雑誌で調べてわかったり、人に聞いて少しづつ解決していくと段々面白くなってい
きますよ。難しく考えずに親しみを持って星空を眺めてみましょう。
(星は無限遠にありますので、「目が良くなった」という話も聞きます。受験勉強
の合間にもどうぞ。)



・夜目をつくる。

 車の運転をしていて、トンネルに入った瞬間は、周りの暗さに慣れにくいという
という経験がある人もいるでしょう。(暗順応)また、星空を見ている時に急に車
のライトに照らされると、せっかく見えていた暗い星や星雲星団も見にくくなりま
す。人間の瞳は、暗順応すると最大で約七oまで開くといわれています。しかし、
完全に暗順応するまでには約三十分ほど必要だといわれています。ですから、観望
中は出来るだけ強い光源を避け、網膜によけいな刺激を与えないことが肝要です。
 天体観望中に使用する明かりとして赤セロファンをかけた懐中電灯などの「弱い
赤色光」をオススメします。弱い赤色光は網膜に強い刺激を与えず、暗順応をし易
くしますので、観望中に星図を見るときによいでしょう。また、常夜灯のあるとこ
ろでは「光源を見ない」とか「光源から隠れて見る」などの工夫も必要です。
 つぎに、望遠鏡や双眼鏡を覗くときのちょっとしたコツです。視野の真ん中に入
っている淡い天体を凝視してしまうと、かえって見えないことがあります。これは
網膜の構造に関係しますが、注視するときに使う網膜は見えている物を分解するこ
とには優れていますが、暗い物を見る感度は低いのです。逆にその網膜の周囲は見
ている物を分解することには劣りますが、暗い物を見る感度は若干高くなっていま
す。視野の中心の「周り」を見まわすようにすると見えてくることが多いので、憶
えておくと良いでしょう。



・服装について。

 観望に夢中になって時間を忘れると、いつの間にか体の心まで冷え切ってしまい
ます。真夏の夜でも少し風が吹いていると体温が奪われて、思っていたより寒い思
いを経験します。私達の経験では、真夏でもなるべく半袖は避けます。薄くても長
袖がよいでしょう。春・秋には冬の装備、冬には真冬の北海道(!)くらいの覚悟
が必要です。目安としてはその時期より三ヶ月くらい寒い季節を思い浮かべると良
いでしょう。また、体が完全に冷え切ってから上着を着ても、奪われた体温はなか
なか戻りません。「ちょっと寒くなったなぁ」と思ったら我慢せずに早めの重ね着
をオススメします。あと、秋以降の肌寒い夜には、先に下半身の保温を対策すると
効果大です。



・星座を見つけよう(暗い星までつなげてみよう。)

星座早見板や星図表などで、星座の星ぼしをつなげてどんな形なのか想像すること
が「初めの一歩」です。後々には個々の星の名前まで憶えてしまうと望遠鏡や双眼
鏡で星雲星団を探すときに理解が早いでしょう。
 また、それぞれの星座にまつわる神話や古くからいい伝えられている物語などを
読んでみるのもロマンがあって良いでしょう。
 良い星図や書籍に出会うことも、理解を早める方法です。



・大空に浮かぶ宝石箱(星雲星団を見つけよう。)

 ここからが天体観望の醍醐味です。肉眼では見えない星雲星団を自分の力で見つ
け、視野の中心に導入したときの感動は、やったことがある人でないと解りません。 
双眼鏡や望遠鏡のファインダーでは何も見えないか、見えても「なんだかシミみた
い」「星がちょっと滲んでる」くらいにしか見えなかったものが、望遠鏡の視野の
中で輝いているのです。最初は「えっ?このくらいしか見えないの?」「やっぱり
シミみたい!」と思うかもしれません。しかし、その光は何万年もかかってあなた
の目に飛び込んできた「生(なま)」の光なのです。じっくり見て下さい、最初は
「暗い」とか「シミみたい」と思っていたその光は、瞳孔が開き、目が慣れてくる
と、少しずつあなたの目の中で広がりを持ってくることでしょう。
 また、双眼鏡も侮れません。望遠鏡の視野からはみ出しそうな大型の星雲星団は
双眼鏡でないとその全貌を見ることが出来ないからです。何より小型軽量で、しか
も両目で見れることも人気が高い理由です。
 さぁ、写真とは違うナマの光を見つけてみましょう。


・望遠鏡の選び方。

 まず、「何を見たい?」のか「どこでどういう使い方をするのか?」をはっきり
しておくことが必要でしょう。予算も重要です。お店の店員さんが質問に対して、
「きちんと答えることが出来るか?」というのも大切なことかもしれません。もし、
望遠鏡が展示していたら、店員さんに見つからないように、指でちょっと三脚を押
してみましょう。(倒さないようにね。)その位で揺れるような望遠鏡は風が吹い
たら「揺れて見えない望遠鏡」です。つまり、良く見える望遠鏡はまず、架台や三
脚が頑丈であることが第一の条件です。
 次に、使用目的が変わってきたときに対応できるメーカーか?ということ。鏡筒
から架台、三脚、付属品というのはおおむね各メーカーで共通するシステム式にな
っています。例えば、「鏡筒はA社、B社の架台(赤道儀式か経緯台式か?)アイ
ピース(接眼レンズ)は昔から使っている物と有名なC社の良く見える物を奮発し
て揃えました。」ということが可能なのです。初心者にはこの辺りが理解できにく
いので、光学関係の専門店のお店の方とじっくり選ぶ方が、結局安い買い物になる
ようです。




・光害について。
(こうがい・ひかりがい)

ここでいう光害は天体観測に支障をきたす照明のことです。この「光害」
という言葉は、ある天文ファンの造語です。高度経済成長を迎えた1960年代後
半に繁栄の証ともいえる「明かり」は、無造作に日本各地の星空を隠してしまいま
した。ボーリング場やパチンコ店の「サーチライト」が横行したのもこの頃です。
電柱の白熱電灯は、消費電力が少なく電灯の玉切れが少ない蛍光灯に変わっていき
ました。そして、さらに明るい水銀灯へ......。
 「これでは公害というより光害だ。」とある雑誌で書かれたのがきっかけでこの
言葉が出来たと聞いています。
そして最近、光害を防止することは、「せっかく発電したエネルギーを大気や宇宙へ
放出してしまうよりも、効率よく少ないエネルギーで地上を照らし、地球温暖化を防ぐ
事になる。」とか「夜間の運転に明るく刺すような従来の水銀灯光が、目に入りにくい
形状の照明になり、安心して運転できる。」という良い点も見つかりました。
最近新しくできた道路は「低圧ナトリウム灯+光害対策済み形状」の照明を使用
しつつあるようです。

 近い将来、天の川が濃くみえる夜空になることを期待しましょう。


☆★☆肉体派観望集団「Crazy Binoculars(双眼狂)」 オススメの道具たち★☆★

  ☆星図・書籍

・「星雲星団ウォッチングガイド」(浅田英夫著/地人書館/\2,100円)  
・初めての天文シリーズ「星座を見つける」(出雲晶子著/立風書房/\1,785円)
・初めての天文シリーズ「星雲星団を探す」(浅田英夫著/立風書房/\1,785円)

  ☆天文雑誌
・月刊「星ナビ」  /アスキー社  (毎月5日発行)¥680円
・「月刊天文」   /地人書館   (毎月1日発行)¥700円
・月刊「天文ガイド」/誠文堂新光社 (毎月5日発行)¥700円

  ☆観望グッズ
・イス (キャンプ用の折りたたみタイプが便利)
・懐中電灯「マグライトSS」(赤色アクリルの付属品有り。\2,000円程度)

  ☆夜食
・おにぎり、カップラーメン、コーヒー、その他(お腹が空くと体温が下がるよ)

  ☆携帯電話(ご家族に心配をかけないように.....。)

  ☆双眼鏡・望遠鏡
・双眼鏡は、口径が小さくても充分楽しめます。(できれば35mm以上のものが良い。)  
・望遠鏡は、あると便利ですが、重いです。(爆)
 でも、土星の輪っかなんかは望遠鏡じゃないと見えないので、あるといいですよね。(^^;

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