「・・・あ、あのさぁ、シンジ?」

「何、ケンスケ?」

「い、言い難いんだが・・・な」

「・・・大体わかった・・・」

「ま、まぁ、何だ・・・お前の上官って」

「多分・・・5歳ぐらい、かな?」

「ま・・・マジ?」

「う・・・う〜ん」



















「リツコ14/30」

− 3人なかよしりつこ −


Made by JUDD












25 June 01:15 PM ー 人員輸送ヘリ機内


「・・・すぴぃ〜〜〜〜っ・・・」(・・・ZZZ・・・

シンジの膝でミサトはお昼寝。
その寝姿を、相田ケンスケが「信じられない」といった面持ちで見詰めていた。

『ネルフって、俺が思ってたのとは・・・随分違うカンジだな?』

シンジからは、例の「使徒」とか言う化け物を退治する、軍事色の強い組織だって聞いてたけど・・・何だか子供ばっかりのトコみたいだし。
ケンスケはそう思い、今度は隣に視線を転じた。

『それにこの娘も・・・さ』

乗機前、シンジに初めて紹介され、軽い挨拶のつもりで右手を差し出せば・・・握手の代わりに名刺を一枚ぽっちとは。

『ネルフ本部技術開発部技術一課・・・赤木リツコ博士ねぇ?』

同い年くらいじゃ・・・ないのかな?

金髪に黒眉毛、染めてる事は俺にも判る。
コレでシンジの知り合いなら、だ。

『不良かヤンキーなんじゃねぇの? さっきから、タバコなんか吸ってるし・・・』

ま、俺の知ったことじゃない・・・か?

『・・・さわらぬ神に祟りなしってね?』

ケンスケはビデオカメラを取り出すと、羊の皮で黙々とレンズを磨き始めた。

25 June 01:25 PM ー オーバー・ザ・レインボー(甲板)


キュンキュンキュンキュン・・・。

甲板後部に、ネルフの一行を乗せたヘリコプターが着艦する。

「・・・ちゃあみんにゃ、おりぃて、おりぃて?」(・・・さあみんな、降りて、降りて?

葛城ミサト(5歳)を先頭に、シンジ、ケンスケ、赤木リツコ(ミサトの後見人役らしい)が降り立った。
と、甲板前方――燦々(さんさん)と輝く陽の光を浴びながら―― 一人の少女が珍妙な日本語で、いきなり彼らを呼び止めた。

「ヘッロォ〜ウ! ミサァ〜ト! 金髪に染めたって、ワタァ〜シには一発ネ? 一目で判ったワ? お元気そうじゃア〜リまセンカ?」
「あ、いや・・・私は」

そう言いながらガシっとリツコの手を握り、困惑気味の相手を余所に、ニコニコしながら握手を始める。

『お、おい、シンジ・・・知り合いか?』
『し、知らないよ、こんなヘンな外国人・・・』

ボソボソ二人で話していると、件の少女が振り返る。

「ハ、ハ〜ン? サテはアナタがサードチルドレンね? チッ、チッ、チッ・・・隠したって無駄無駄ネ? ミ〜ンナ、このワタシがお味噌汁ヨ?」
「あ、いや・・・俺は」

ビシっ・・・。

今度はケンスケを指し示し、鼻も高々(実際高い)、仁王立ちで胸を反らせる(結構大きい)ヘンテコリンな異邦人(割と美少女)。
シンジを始め、呆気にとられた一同が顔を見合わせる中、リツコの足元から、恐る恐る、といった様子で葛城ミサトが前に出た。

「・・・あ、あにょね? あたちが・・・みちゃとにゃんだけど」(・・・あ、あのね? 私が・・・ミサトなんだけど
「・・・Was!?」(ドイツ語 = 「ええ〜っ!?」)

仰天する「赤毛のアン」。(氏名不詳)
ミサトの発言を受け、オドオドしながらシンジも続いた。

「あ、あの・・・僕が、多分・・・サードチルドレンなんだけど・・・」

汗だくの「アン」(相も変わらず氏名不詳)がよろめく。



「・・・」汗々



奇妙な沈黙は、その後・・・約5分ほど続いたという。

25 June 01:33 PM ー オーバー・ザ・レインボー(ブリッジ)


Welcome aboard. Miss...Katsuragi(29)?(...Are you kidding?)
Thank you, sir.」(ありがとうございまち♪

当艦へようこそ、と型通りの挨拶を口にしかけた艦長の表情は、ある意味、シンジにとっては予想通りのものだった。
驚きと当惑、そして・・・僅かばかりの落胆と。

ついでに気勢も削がれたか、明らかに皮肉と取れる艦長の言いようも、どこか間抜けな風情が漂う。

「お、おやおや・・・ぼ、ボーイスカウト引率のお姉さんかと思っていたが、ど・・・どうやら、それは私の勘違いだったようだな?」
「ごりちゃいいちゃだけてちゃいわいでちわ。かんちょ〜ちゃん♪」(ご理解いただけて幸いですわ。艦長さん♪

艦長(ちゃん♪)が、ギョッとした目でミサトを見詰める。

『・・・コレがネルフの武官だと?』

チューリップの刺繍が入った少女趣味丸出しのポシェットから、「封印貨物引渡し証」なるネルフの公印入りの文書を取り出し、彼の腰下あたりから「ちゃいんをおねがいちまちゅ♪」(サインをお願いします♪)と、書類と一緒にボールペンを差し出した・・・いわゆる一つの「やんちゃ盛り」。

『連中め・・・どういうつもりでこんな小娘を』

艦長は戸惑いながらも暫し考え、ネルフの総司令がいかにも考えそうな――実は全くの誤解なのだが――不快な思惑にハタと気付いた。

...Dammit!』(・・・クソッ!)

お前らの相手なぞ、子供の使いで十分と言いたいワケだな?
馬鹿にしおって、と吐き捨てた艦長が更に続けた。

「いやいや。 私の方こそ久しぶりにガキ・・・いや、子供達のお守が出来て最高に幸せだよ? 宜しければ、ミルクでもお持ちしようかな? ・・・ん?」

が、武官とはいえ今現在、葛城ミサトは幼児そのもの。
それ故彼女のメンタリティも、その小さく幼いカラダ同様・・・極端に幼稚かつ脆弱だった。

「び・・・びえぇぇぇ〜〜んっ!あたちがいっちょうけんめいちゃべってるのにぃ〜っ、このおじちゃん、いやみばっかちいっていぢめるよぉ〜〜っ!!
(泣き声)・・・私が一生懸命話してるのに、このオヤジ、嫌味ばっかり言っていぢめるよぉ〜〜っ!!

「・・・!?・・・」(← 艦長ちゃん♪
「・・・ったく・・・」(← リツコたま
「・・・Oh!・・・」(← 赤毛のアン
「・・・マジ?・・・」(← ケンスケくん
「・・・あ〜あ・・・」(← シンちゃん

・・・やっちゃったよ。
名実共にミサトの「保護者」、碇シンジがあたふた駆け寄る。

「ああ、よしよし・・・泣かない、泣かない? ミサトちゃん?」
「えぐっ、えぐっ、びえぇぇぇぇ〜〜んっ! だってぇ、だってぇ〜・・・」((泣き声)・・・だってぇ、だってぇ・・・
「・・・ホラホラ、これでお鼻をチンしまちょうね?」
「えぐっ、えぐっ・・・ちぃぃぃ〜〜んっ! ぐすっ、ぐすっ・・・」((泣き声)・・・(鼻をかむ音)・・・(泣き声)
「はいはい、よく出来まちたね〜? ミサトちゃん?」

その麗しい兄妹愛(?)に、周囲の士官の反応は、無論・・・言うまでもない事だった。

「・・・艦長・・・」
「・・・子供相手に・・・」
「・・・いい大人が・・・」
「・・・情けない・・・」

「きっ・・・貴様等っ!?」

乗組員の「冷たい視線」に晒されて・・・オヤヂ(艦長)はそれ切り完黙した。

25 June 02:21 PM ー 某国 最新鋭攻撃型原子力潜水艦


「・・・何をする気だ? こんな海のど真ん中で「浮上せよ」とは?」
「・・・さあ? が・・・致し方ありません。 通信は、ネルフの一尉を名乗っていますし・・・」
「ネルフ・・・か。 仕方あるまい、浮上する。 潜水士官、浮上・・・浮上だ!」

艦長の命令を潜水士官が復唱する。

Surface the ship! Aye,sir!」(浮上了解)

艦内に浮上警報が鳴り響く。

ビィー、ビィー、ビィー。

Surface! Surface! Surface!

ビィー、ビィー、ビィー。

Commence a low pressure blow of all main ballast tanks!」(メインバラストタンク・ブロー開始)

船体がわずかに傾き、海面に向かって浮上を始めた。

25 June 01:43 PM ー オーバー・ザ・レインボー(カフェテリア)


「・・・ヨっ!」
「カジさんっ! ドコ行ってたネ!? アスカ、とってもサビシかったョ!!」

カフェテリアに加持が現れ、赤毛のアン改め・・・惣流・アスカ・ラングレーが甘えた声で呼びかけた。

「ああ、ゴメンゴメン。 ところでアスカ? 甲板で、「葛城ミサト」ってのに会わなかったかな? さっきから探してるんだが、どこにも・・・」
「・・・ミサァ〜ト? ア〜! ・・・コレのコト?」

椅子から立ち上がり加持に抱きついていたアスカが、誰も座っていない・・・と、加持は思っていた・・・椅子をクルリと回転させた。

「・・・?・・・」

いかにも不思議そうに、アスカを見詰める加持リョウジ。
視線を落とすとその席には、不景気極まる仏頂面で、プリン(注1)片手にスプーンを咥(くわ)えている、5歳児程度の女の子が。

(注1)ギャレー(galley・乗り物内の厨房)のコックさんが気を利かせて、ミサトちゃんが注文したブラックコーヒーの代わりにと、ミルクとプリンをサービスしてくれたそうです。


「あ・・・イヤ、こんな可愛い子じゃなくて、ロングヘアーで胸ばっかデカい、やたらと態度の横柄な女なんだが・・・あっ、ソコの金髪のコ、美人だね?」
「相変わらずね? 加持君ったら」
「あれぇ・・・? 俺の事知ってるの、キミ?」
「知ってるも何も・・・。 私よ、赤木リツ・・・」

・・・ビュン。

と、突然、口に咥えていた先割れスプーンを、先の幼女が加持めがけ、思い切り良く投げつけてきた。
加持は内心驚くが、すんでの所でソレを避けると、改めて、その「小さな暴君」へと視線を向けた。

「お、オヤオヤ・・・? おいたはいけないな? 可愛い子がそんな事すると、ボーイフレンドに嫌われちゃうぞ?」
「・・・むにぇばっかりでかくて、やたらちょちゃいどがおうひぇいでわ〜りゅかったでちね?」
・・・胸ばっかりデカくて、やたらと態度が横柄で悪ぁ〜るかったわね?

・・・何でこの子が怒るんだ?
思いの外の反応に、フォローのつもりでひと言加える。

「ま、まぁ、何だ・・・キミの事じゃなくって、葛城ミサトって年増の・・・いや、オ・バ・サ・ンの事なんだけどなぁ?」

ところがコレが全くの逆効果で・・・。

「どぉやら・・・ちにたいよぉでちね?」
どうやら・・・死にたいようね?

・・・パンっ。(無警告射撃)

「ぜ、ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ・・・しゃ、シャレにならんぞ! ど、ドコからそんなもの取り出して・・・」
「・・・ちっ・・・」(・・・チッ・・・

目の前の少女が、いきなり「自らの頭よりも大きな」大型拳銃を取り出して、加持の眉間に撃ち放ってきた。
発射のショックを支えきれず、狙いが僅かに上方へと逸れたのは幸いだったが、もう少しで・・・危うく昇天の憂き目である。

「・・・」(

加持が汗だくでジリジリと後退する中、少女がゆらぁ〜り、とおもむろに席を立った。

「・・・じこちょうかいがおくりぇたわにぇ? わたちがその、ぶあいちょで、とちまの・・・かちゅらぎみちゃとよ? まちゃあえて・・・ほんちょ、うれちいわ?」
・・・自己紹介が遅れたわね? 私がその、無愛想で、年増の・・・葛・城・ミ・サ・トよ? 又会えて・・・ホント、嬉しいったらありゃしないわね?



「・・・なっ!?」



その言葉と、えも言われぬ禍々(まがまが)しい雰囲気に、加持リョウジは為す術もなく、只々、立ち尽くすばかりであったという・・・。


−3人なかよしりつこ− <終わり>


〜本日の真紅(しんく)様〜(by ○ーゼンメイデン)

空母のカフェテリアで・・・。

真紅様「・・・(ジィ〜ッ)・・・」
シンジ「え、えっと・・・そ、そんなにジッと見られても? な、何かな?」
真紅様「・・・サエないわネ?」
シンジ「さ、さ、冴えない!?」
真紅様「ケド、パイロット同士だから仕方ないネ? ワタ〜シとても心広い。 カワイソだから、キョ〜から仲良く(注2)シテやる。 アリがたく思エ?」
シンジ「は、はぁ?」(日本語に慣れてないから言葉遣いが偉そうなのかなぁ?
真紅様「ソデ擦り合うモ、タショーの円()ネ? 天災美少女(・・・お?)と居られるおマエ、三国一のカホ〜者ネ?」
シンジ「そ、そなの?」(自分で美少女って言い切っちゃったよ、この子
真紅様「そんなのチョ〜当たり前ネ? ワカったら感謝するヨロシ。 デ、感謝ついでに、ア〜、おマエ、ワタ〜シに日本語教えてミソ?」

ゲルマン娘はそう言うと、雑誌(写真週刊誌らしい)を一冊取り出した。

真紅様「コレ、カジさん持ってた日本の雑誌ネ? ココの中、ワタ〜シ、ワカラナイ言葉ある。 ソレ、おマエ、ワタ〜シに説明するネ?」
シンジ「え、ま、まぁ、良いけど?」

表紙から数ページをめくると、とある箇所を指し示す。

真紅様「ン〜、ここネ? ワタ〜シ、この意味ワカラナ〜イ。 Japanische Uebersetzung、ってユ〜か、日本語訳プリ〜ズネ? OK?」
シンジ「と、突然外国語混ぜないでよぉ? 前置き無しだとビックリしちゃう・・・って、ええ〜っ!?

指し示されたその場所は・・・。

<○○ちゃんのボインがポロリ。 巨○美少女十連写♪>

真紅様「ア〜、キョニュ〜とか、ボインとか、ポロリってナンだ?」
シンジ「(か、加持さんってば()あ、あ、あ・・・う、う〜ん? な、何て言うか、こ、こ、こ、こ、こ、困ったねぇ!?」
真紅様「ナンだ? ニホン人のクセに、おマエ、意味ワカラナイか? モヂモヂしないで、言ってミロ?」
シンジ「あっ、えっ、ん〜・・・ど、ど、ど、どうしようかなぁ?」
真紅様「そんなにムツカシイのか?」
シンジ「え、え〜と・・・? そ、そういうワケじゃないんだけど・・・ねぇ?」
真紅様「どういうワケだ?」
シンジ「・・・(滝汗)・・・」

(注2)意訳:真紅様の家来(けらい)として取り立てて頂けるようです。
(追伸)次回(第五話)の更新は作者が暫く不在の為、少々遅れる事になりそう
な予感が・・・。


 JUDDさんからSSを頂きました(^▽^)ありがとうございます〜

 ついに舞台は太平洋艦隊、空母ですね。姿格好は子供達だけで「赤毛のアン」をお出迎え(笑)赤毛のアンの正体は勿論アスカちゃん。

 でもこのアスカちゃんはちょっと日本語が変ですね(^^;)シンジ君から変な外国人に見られてしまいましたね。

 ミサトさんを見た艦長は、ちょっと困惑気味。というか幼児いじめで皆から白い目で見られてしまいましたね、艦長は大人気ないでしょうか(笑)

 そして潜水艦で登場した加持さん、ミサトさんが居ない事をいい事に(本当はいるんですけどね)悪口を言ってしまいました。これからは夜道を歩いてたら後ろから撃たれそうですね(^^;)

 加持さん、早くミサトさんから逃げて〜と感想を送りましょうね。

 とっても素敵なSSをくださったJUDDさんへ感想は掲示板かjun16に送ってくださいね。JUDDさんに送っておきます。

 皆さんの感想が作者の力になります!一言でもよいから感想を書きましょう!!


SSroom_5 −おねえさまりつこ− -3人デートりつこ-

投稿:リツコ14/30 -3人なかよしりつこ-