EVA CHANGING
さんじゅうななわ
おやこふたりで
「今日で今年も終わりかぁ〜」
12月31日レイは自室のベッドで寝転がり壁のカレンダ〜を見て呟いた。
「掃除もしたし、御餅も飾った、これで新年を迎えられるわね」
部屋には家具、小物が少ないので掃除はすぐ終わった、TVの上にチョコンと飾り付けられた餅が乗っている。
「すること無くなっちゃったな〜」
何気にTVをつけて次々とチャンネルをかえていく、しかし見たい番組が無いのだろうスイッチを切った。
「はあ〜〜暇だな〜〜」
ゴロゴロゴロゴロ
枕を抱きかかえ狭いベッドの上を左右に転がり始めた。
「暇〜〜〜きゃっ」
ドッス〜〜〜ン!!
勢いがつき過ぎてベッドから大きな音を立ててお尻から落ちてしまった。
「いたたたた、ドジっちゃった、トホホ・・・」
お尻をさすりながらベッドに戻りまた寝転がり天井を見つめ溜息をついた。
「シンちゃんちに遊びに行こうかな」
♪♪♪〜〜〜♪〜〜〜
「電話だ、誰だろう?・・・アスカ、なんの用かな?」
携帯が鳴り、画面を見ると着信相手はアスカと表示されている。
「はい、もしもし〜〜〜」
「レイッ、アンタ今うちに来ようと思っていたでしょ、今日は大晦日で忙しいんだから来るんじゃないわよ」
ガシャンッ!
「えっ?あ、アスカ?」
呼びかけるがもう遅い、一方的に掛かってきて一方的に切られ呆然とするレイ。
「どうしてわかったんだろう?これがSALの能力?行けないんじゃしょうがないな〜。ってどうせ忙しいのはシンちゃんだけなんでしょうね」
レイの予想は当たっている、大晦日は主夫シンジが忙しい、アスカとミサトの女性陣は何もしないで忙しいのだろう。
「無視して行ったら殺されるかも・・・行くのやめとこう」
角を生やして棍棒を持ったアスカが浮んできて身震いを憶えてしまう。
ピ〜ンポ〜ン!
シンジに言われて修理したチャイムが鳴った。
「誰だろう?もしやシンちゃんって違うわよね」
わずかの期待に胸を膨らませてスキップで玄関に向かい扉を開けた。
「あっ」
レイの前に現れた人物に驚いた。
「お母さん」
「レイ違うでしょ、お姉さんよお姉さん」
ぐりぐりぐりぐり〜〜〜〜
玄関先にいたのはリツコであった。ニッコリ微笑みながらレイのこめかみをグリグリとお仕置きする。
「いたたたたたたた〜〜〜、お、お姉さんなんのようですか〜〜いたたたたた」
「よろしい、一年の最後の日くらい可愛い妹と過ごさないとね。仕事切り上げてきたのよ」
「へえ〜〜珍しい」
リツコが仕事を切り上げるのは極まれである。
「ほら夕食の材料を買ってきたわよ。ちゃんと年越しそばよ」
ス〜パ〜の買物袋を見せると上がって台所に向かう。
「何か手伝う事ある?」
「そうね〜じゃあネギでも切ってもらおうかしら」
「了解」
レイはビシッと敬礼をすると買物袋から細ネギを取り出し千切りにしていく。
トントントントントントン
「あら上手ね」
「へへっシンちゃん直伝なの」
「そうなの〜これならお嫁に出しても恥ずかしくないわ」
「本当っ?じゃあシンちゃんと結婚する〜〜」
「ふふ、気が早いわね。でもシンジ君の相手はアスカじゃないの?」
リツコには同居している二人が付き合っていると思っていた。
「違うよ〜〜アスカはSALだからシンちゃんの相手じゃないの!相手は私」
「そうなの頑張りなさいよ」
胸を張ってシンジの恋人を宣言する姿にリツコはまるで母親が愛娘の成長を喜ぶ瞳で見ていた。
「いっただきま〜〜〜す」
「いただきます」
年越しそばが完成し、室内に畳を敷きコタツで食べる二人。コタツといっても日本は年中常夏なのでコタツ型ク〜ラ〜である。
「うん、麺のコシ湯で加減上出来ね」
「本当、お母さん料理上手〜〜〜」
「ありがとう、お姉さんよ」
「は、はいお姉さん」
料理を誉められて嬉しいが『お母さん』の部分はニッコリ微笑んできちんとと訂正さえる。怒られるより微笑みが恐いレイであった。
「今年もあと少しで終わりなのね」
食べ終えた二人、TVを見ながらミカン食べてしみじみ呟くリツコ、妙に似合っている。
「うん、来年はどうなるのかな?」
「そうね、良い年にしたいけどそれは誰にもわからないわ」
「シンちゃんとラヴラヴになれるかな?」
「ふふ、それはアナタ次第よ」
「うん」
リツコはレイの頭を撫でるとそっと自分の胸に引き寄せた。
「レイ、来年も良い子でいるのよ」
「うん、お母さんの娘だもん、絶対に良い子だよ」
「ふふ、お姉さんでしょ」
リツコはギュッとレイの頭に抱きつくと自分の胸に押しつける。
「うぎゅっ!苦しいよ〜〜」
「ふふ、お仕置きよ」
「苦しい〜〜でも暖かい・・・」
「レイ、来年もよろしくね」
「お母さん・・・」
TVからは除夜の鐘、親娘の大晦日は無事に過ぎて行った。
「今日で今年もおしまいなのね、長かったような短かったような」
「アンタバカ〜?一年が長くなったり短くなったりするわけないじゃない。まあうるう年は一日増えるけどね。一日24時間はかわらないの」
「そんなことわかっているよ、一年を振り返って思いにふけっていたの」
「へえ〜〜アンタでも振り返るの」
「当然でしょ〜〜レイちゃんは繊細なの」
「・・・」
「あ〜〜なによ、その沈黙は?」
「別に、繊細ってところが引っかかるけどね」
「繊細だよ〜〜アスカみたいに図太くないもん」
「誰が図太いのよ?」
「アスカ」
「アンタ殺す!」
「あっああ・・・アスカの頭に角が生えてる〜〜」
「生えてなんか無いわよっ!こら待て〜〜〜」
「きゃ〜〜〜〜〜」
「二人とも何やっているの?」
「見てわかんないの、レイを追いかけてんのよ」
「シンちゃん助けて〜〜〜」
「そのくらいにしてそろそろ夕飯だから帰るよ。綾波もおいで」
「うん、ありがと〜〜〜」
「しょうがないわね、レイご飯を食べたら続きをやるわよ」
「ご飯食べたら休憩しないとSALになっちゃうよ」
「誰がSALよ!」
「アスカ」
「むき〜〜コロス、今すぐコロス」
「ほらほらアスカ、帰るよ」
「わ、わかったわよ」
「流石シンちゃん、立派な主夫だね」
寂しい一人の大晦日のレイちゃんでしたが、リツコお母さんと一緒なら寂しくないですね(^^)
アスカちゃんには第六感があるのでしょうね、電話をかけて釘を刺すのは凄い。
レイちゃんリツコさん、来年も良い親娘であるんでしょうね。
こんな連載小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
さんじゅうろくわ げたばこ さんじゅうはちわ ちょこっとらぶ
EVA CHANGING さんじゅうななわ おやこふたりで