エヴァンゲリオン学園
第拾話
悲しみのお弁当
マナがシンジに弁当を渡すのを見たアスカは、その場に居るのが辛くなりヒカリを強引につれて教室をでた。
「ちょっちょっとアスカ、どうしたの?」
腕を掴まれ圧倒されていたヒカリはアスカの行動を疑問に思った。
「・・・・」
「アスカ?」
アスカは聞こえていないのか、早足で屋上に向かった。
屋上、自由に出入りができ昼食をとったり、遊んでいる生徒がいる。アスカとヒカリは校庭が見えるベンチに腰掛けた。
「ヒカリ、食べよう!」
アスカは弁当を乱雑に広げ、食べる。
モグモグ、パクパク
「アスカどうしたの?」
「何が?」
「だって変よ」
「変わらないわよ」
ヒカリは明らかにアスカの態度がおかしいのに気が付いていた。いつもの様に喋ってこないし、テレビの話も無い。
アスカの態度が変わる原因は一つしかない。
「碇君と何かあったの?」
「!ななななな何も無いわよ」
箸をとめ、否定をするが口が回らない。
「ウソでしょ、わかるわよ。小学校からの付き合いだから」
「・・・・うん・・・・」
アスカは俯く、ヒカリはその様子で只事ではないと感じた。
「喧嘩したの?」
フルフル
無言で首をふる。
「どうしたの?」
「・・・・・」
「話してみて、私でよければ力になるわ」
「そ・・そのシンジ君に・・・」
ポロポロ
俯いていたアスカの頬から涙が流れる。
「・・シンちゃんにマナが・・お弁当を・・・作ってきて渡していたの・・・」
(昔の呼び名で・・・アスカそうとうショックみたいね・・・)
アスカは学校ではヒカリの前でもシンジ君と呼んでいたが、小学校時代の呼び名に戻っていた。
「そう、碇君が」
「うん・・・」
アスカはハンカチを取り出し涙を拭いたが、まだグジュグジュいっている。ヒカリは親友の為に力になろうと考えた。
「アスカも作りなさいよ、喜ぶわよ」
「・・・今朝、断られちゃった」
「そうなの・・・」 (碇君、アスカの気持ちわかっているのかしら?)
アスカは俯き、ヒカリは運動場を見つめよい方法はないか考えながら食べていた。
パクパク
「・・・」
モグモグ
「・・・」
パク・・
(・・・せっかく作ったのに・・・美味しくないな・・・・・・)
「・・・アスカ!断られたからって諦めないで勝手に作って渡しなさいよ」
「え、でも・・・シンちゃんに迷惑・・・」
「デモも迷惑でも無い!わかった?作りなさい、嬉しいものなのよ」
「うっうん」
「よろしい!」
おもわずヒカリの迫力にアスカは身を引いた。
「アスカ、早く食べないとお昼が終わるわよ」
「うん」
アスカは元気を取り戻し、ヒカリは一安心して残りのオカズに手をつけた。
(どうして霧島さんがお弁当を・・・碇君に聞いてみる必要があるわね)
二人は小学校からの親友と設定しています。
二人でいるときアスカのシンジの呼び名はシンちゃんになっています。
ヒカリは多少お節介焼きでアスカの良き理解者です。
こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園:第拾話 悲しみのお弁当