エヴァンゲリオン学園　第九話　どう？

エヴァンゲリオン学園

第九話

どう？

「うおおおーメシやメシイー！！」

　トウジはいつもの様に叫びながら、パンを買いに購買部に走っていく。彼は昼食の為に学校に来ているといっても過言ではない。

「トウジ、待ってくれよ！」

　ケンスケが続き教室を出て行く、この時点で男子の半分はパンを買うためにいなくなる、早く行かないと美味しいパンは無くなる。四時間目が終わったら素早く購買部へ、それがこの学校の鉄則だ。

「しまった」

　シンジは出遅れた、半分寝ていて意識が目覚めるのに時間が掛かり四時間目という事を忘れていた。この時点で人気のパンは売り切れる。席を立とうとすると、隣から声が掛けられた。

「シンジ君、これどうぞ」

「え？」

　マナが弁当を両手に持ち笑顔で差し出していた。

「なに？これ」

「シンジ君のお弁当よ、いつもパンで足らないみたいだから朝早起きして作ったの」

「そっそうなの・・・ありがとう」

　シンジは真っ赤になり頭を掻きながら、照れくさそうに受け取った。その後ろで悲しそうなアスカの姿があった。

「・・・・・」

「アスカ、どうしたの食べよう」

　ヒカリから声を掛けられ、我に戻る。自分の弁当を無造作に持ちヒカリの腕を掴み教室を出て行く。

「おっ屋上で食べよう！」

「え？みんなと食べないの」

「たまには、二人で食べましょう」

　アスカは教室から急いで強引にヒカリを連れ出した。マナはその様子をシンジの影から笑みで見ていた。

「あれ？アスカ」

　シンジは椅子に座るとアスカが居なくなったのに気が付いた。教室を見回すが居ない。

「アスカなら洞木さんと出ていったわ」

「委員長と？」

「二人で食べるみたいよ、私達も食べましょう」

「そうなんだ、トウジ達を待たないと」

「ええ」

　それからすぐしてトウジとケンスケはパンを買って戻ってきた。

「シンジ！どうしたんや、もうパンはなくなったで」

「マナが弁当を作ってくれてきたんだ」

　シンジは恥ずかしそうに弁当箱をトウジ達に見せた。

「「なっな・・ぬあにぃーーー」」

　見事なユニゾン、トウジはシンジの首を締めた。

「シンジ、お前いつのまに霧島と！」

「くっ苦しい・・・」

「シンジ、男子全員を敵にまわした事になるぞ」

　トウジは悔しがり、ケンスケは泣いていた。シンジは落ちる寸前。

「もっもう・・・ダメ・・・だ・・」

「やめて、二人とも」

　マナの一喝、トウジはおもわず首から手を離す。

「私が勝手に作ってきたの、シンジ君に暴力はやめて・・・・」

　涙を浮かる、トウジ達もこれには驚く。

「せやかて・・・・」

「そうだよ、霧島さん」

「私、暴力振るう人、嫌いよ」

「「！！」」

　胸を貫く言葉。

「わっわかった、シンジすまんかった」

「ごめんな、シンジ」

「コホ、コホ・・・いいよ」

　なんとかシンジも立ち直り、席を囲む。ケンスケは人数が少ない事に気づく。

「あれ？惣流と委員長は」

「二人で食べるみたいだよ」

「珍しいな」

　シンジは弁当を開けた。女の子らしく可愛く盛り付けがしてある。

「どう？頑張ったのよ」

「うん、凄いね」

「食べてみて」

「それじゃあ、いただきます」

　パク

　卵焼きを口に運ぶ、マナは固唾を飲んで見た。

「どう？」

「うん、美味しいよ！」

「よかった！自信が無かったの」

「そんなことないよ、十分に上手だよ」

「うれしい！」

　二人はすでに、ＬＭＳに入っている。トウジとケンスケはあっけに取られていた。

（何や、この雰囲気は？うお！霧島のバックに華がちりばめられているやないけ・・・目の錯覚か？）

（くそうシンジめ！憎しみで殺せたら・・・・）

「明日も作ってきていい？」

「え？」

「迷惑かな？」

「いっいや、迷惑なんかじゃないよ、おっお願いしようかな」

「嬉しい！」

　ドキ！

　マナの笑顔にシンジはおもわずドキリとし頬を赤らめた。

「シンジ！惣流がおりながら、霧島に弁当を作ってもらうっちゅうのはまずいんちゃうか？」

「そうだぞ、惣流と付き合っているのに作ってもらうとは、この浮気モノ！霧島さんなんなら僕に作ってください」

　トウジは腕を組み頷く、ケンスケはマナに向かってこびていた。

「アスカは幼なじみだよ」

「ほんまにそれだけか？」

「怪しいな？」

「本当だって！」

　トウジとケンスケの追求が続く。

「惣流には作ってもらわんのか？」

「別に家で作ってもらったりしてるから」

　ケロリと言うシンジ、だが二人は驚く。

「「なにー！！」」

「そうか、そんなとこまでいっているのか・・・・」

　ケンスケは上を向いて涙を流していた。

「シンジ！それで霧島に弁当作ってもらって、惣流に知れたらまずいやないか」

「どうして？」

　トウジは額に手を乗せ呆れた。

「ホンマに鈍感なやっちゃなー惣流はお前のことをす・・・」

「二人ともやめて！」

　マナがとめに入る。

「鈴原君の言いたいことはわかってる・・・シンジ君にお弁当を作ってきたのは迷惑だったと思うけど・・・私・・シンジ君が・・好きなの・・」

「「「！！！」」」

　男３人が固まった。マナはスカートを掴み俯いていた、体が震えている。

「・・シンジ君を見ていたら・・何だか・・・その・・気になりだして・・・」

「マナ・・・」

「ごめんね・・急にこんな事言って・・・」

　マナは微笑んだが、口元は震えていた。

「ごちそうさま！・・」

　マナは弁当をたたむと、走って教室を出ていった。

「どこ・・いくの？」

「へへ、秘密」

　ウインクをして、後はシンジ達が残された。

「シンジ、どうするんや？」

「どうするって？」

「アホウ！惣流の事や」

「アスカが何？」

「付き合っているんやろ」

「違うって！」

　シンジはおもいっきり否定する。

「だがなクラスの奴らは付き合っていると思っているぜ」

「うそ？」

「ホンマや、それに霧島からの告白、男子は黙っておらんな」

「そう、シンジの行動で血を見るかもな」

「なぜ？」

　シンジは二人の言っている意味がわからなかった。

「鈍感だな、一人は幼なじみで学校一の美人で付き合っていると思われていて、もう一人は転校したてでフリーで可愛い、その子に告白される。シンジ一つの行動で暴動が起きるぞ」

「そんな・・・」

「まっ頑張りや、センセ」

　トウジはシンジの肩をたたきながら笑っていた。

　マナの爆弾発言・・・これからどうしようあんまり考えてない（オロオロ）