エヴァンゲリオン学園

第拾四話

テスト襲来

「それじゃあここはテストに出るから、よおく勉強しといてねん」

 ミサトの授業、1週間後に期末テストが迫り、生徒は言われた個所をチェックしている。

「じゃあ今日はここまで!」

 号令がだされ休み時間、シンジはため息をついていた。

(あーあ、もうすぐテストかイヤだな・・・・)

「シンジ君どうしたの?」

 マナが暗い表情をしていて不思議に思ったのか、尋ねてきた。

「なんでもないよ・・・」

「そう」

「シンジ君ね、もうすぐテストだから悩んでいるんだよ」

 アスカが端末をしまいながらチョッカイを出してきた。

「アッアスカ!」

「成績が悪いから、困っているんだよねー」

 アスカは笑顔で問いかけシンジは恥ずかしくて真っ赤になりながら怒っていた。その様子をマナは何かを考えながら眺めていた。

「ふーん、そうなんだ」

 その後の授業もテストに関する事が多かった。それに比例するかのようにシンジのため息と悩みが増えつづけた。

 

 

 リツコの授業。

「ここは大変に重要です、必ず出ます!社会に出ても必要になります。できない人は・・・・わかっていますね?」 (ニヤリ)

 ゾクゾクゾクー!

 最後の部分で生徒を南極に居るかのごとく震え上がらせる。メガネが反射して瞳がわからず、口元が微かに笑っている。シンジは成績が悪くても何とかリツコのテストだけは多少は良かった・・・多少だが。

(別に必要ないと思うけど・・・・)

 シンジはリツコの言葉をいつも考えていた、確かに物理は関係ないと。だが生徒は頭に思っていても口にはしなかった。口にしたら命がどうなるかわからない。

 

 

 マヤの授業。

「ここはこうですよ、皆さんわかりますかあ?」

 担当は数学、まだ若く新米である。優しくておっとりしていて、特に男子から人気がある。

「わかりませんか?もう一回教えますね」

 生徒が1人でもわからなかったら、理解するまで真剣に教える。おっとりしていてもなかなか筋が通っていた。

「まだわかりません?それじゃあわかる場所をテストにだしましょう」

 が甘かった。

 

 

 シゲルの授業。

「それで作者の心理だが、これは・・・んー、みんなのフィーリングで書いてくれ。こういうのは書いた本人しかわからないからな」

 担当は国語、ロンゲと教師には似つかわしくないのだが、詩が上手で女子に人気があった。

「本当に作者が思っていたとは信じられないけどな」

 ジョークを交えて授業は楽しかった。

 

 

 マコトの授業。

「この構文を憶えておいてください、後は単語がかなりでますから」

 担当は英語、シゲルの友人だが性格は真面目でシンジは英語は不得意でかなり点数が悪かった。

「必ず憶えましょう」

 またミサトに恋していた。

 

 

 リョウジの授業。

「ここの説明はおっと・・君達がよく知っているんじゃないかい」

 担当は保体、運動神経もよく男女から人気があり、生徒の相談もよく受けていた。

「ははは、みんな頑張れよ」

 今でもミサトとはいい友人?である。

 

 

「「「はあー」」」

 帰り道3バカトリオは肩を落とし、ため息をついていた。

「なに3人でため息をついてるのみっともないわよ」

「せやかてイインチョ、これから苦しいテストがあんのにため息をつかずにおれんわ」

「そう、我々には苦しい日が近づいて来るんだ」

 ケンスケは空を悲しい瞳で見上げながらうなだれた。

「碇君、次は頑張るわよね」

「え?僕・・・・そっそうだね」

 ヒカリに振られ、対応が遅れる。アスカはそんなシンジを見ながら笑っていた。

(ウソばっかし)

「ええい!この苦しみを何にぶつければいいんや?」

「トウジそれはだな、異星人にぶつけるのさ」

 トウジはこぶしを握り締め絶叫している、ケンスケは眼鏡をかけなおし、不気味に笑う。

「異星人?なんやそれは」

「フッ新筐体がでたんだよ」

「なんやとーホンマか相田大佐!」

「ああ、その通り鈴原中尉」

 2人はいつの間にか軍人になっている。

「それは退治せんといきませんな」

「では今から命令をだす。鈴原中尉に碇少尉、敵は駅前に潜伏している。攻撃に直ちに移る。突撃!」

「「はっ!!」」

 ケンスケにシンジとトウジは敬礼するとその場を逃げるように走り去った。

あっこら!まちなさい

 ヒカリが声を出すが後の祭、3人は見えなくなった。

「もう」

「ねえアスカ、あの3人そんなにテスト悪いの」

「まあ、3バカトリオと言われるくらい・・・・」

「ふーん」

 そっけなくマナは返事をするがその瞳にはキラリ光るものがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

「お帰りなさい」

 台所からユイの声が聞こえた、仕事が早く終わったようだ。

 ゲームセンターから帰ってきたシンジは台所に行き、冷蔵庫を開けジュースを取り出す。

「遅かったのね」

「トウジ達と遊んできたんだ」

「大丈夫なの来週テストでしょう」

「ぶっ・・・どうして知っているの?」

 おもわず噴出しそうになった。ユイには教えていないのに。

「アスカちゃんから聞いたのよ、シンジ勉強しなさいよ」

「わっわかってるよ」

(くうーアスカめ)

 握りこぶしを作り、笑って舌を出しているアスカを思い浮かべ恨んだ。

「ご飯まで勉強しときなさいよ」

「わかったよ」

 部屋に戻り普段着に着替え、鞄からフロッピーを取りだし端末にセットして本棚から参考書を持ってくる。

「それじゃあ、頑張るか」

 腕まくりをして気合をいれた。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「ふう、ちょっと休憩。頭を休めないと」

 5分もしないうちにベットに転がり、漫画を読み始めた。

「プププ」

「ハハハ」

「ククク」

「バカだなー」

 明らかに休憩が長い。時間がどんどん過ぎていった。

「シンジーご飯よ」

「はーい」

 台所に行くとゲンドウがもう食べ始めていた。

「父さんも早かったんだ」

「ああ」

 相変わらずの無表情だが、そんなゲンドウをユイはニコニコしながら見ていた。どうやら表情がわかるようだ。

「あなた、美味しい?」

「ああ」

「こちらも食べてくださいね」

「ああ」

「あらご飯粒が、パク」

「ああ」 (かぁー)

 ゲンドウの頬についたご飯粒をユイが取って食べる。ゲンドウは表情を変えずに赤くなっていたまるで新婚のような振る舞いにシンジが照れていた。

(まったく・・・)

 食事も終わり3人はお茶を飲んでいた。ゲンドウがお決まりのポーズで話しかけた。

「シンジ」

「なに父さん」

「来週テストがあるそうだな」

「うっうん」

 緊張した怒られると思い、今までテストが悪くても何も言わなかったゲンドウがいきなりテストを話題にしたのから。

「テストでクラス順位が15位以内に入らなかったら、来月の小遣いは無しだ」

えっええ?

 立ちあがり叫んだ。クラスは30人、今まで15位以内に入ったことは無い、下から数える方が早いくらいに悪かった。

「とっ父さん」

「入るか?入らなかったら今すぐ帰れ」

「はあ?何を言っているんだよ」

「ふっ問題無い」 (ニヤリ)

「・・・・」

 ゲンドウの意味不明の言葉と笑いにシンジは唖然とした。

(うわー15位以内に入らないと小遣い無しかきついな・・・)

「わかったよ、もし入ったら小遣い上げてくれる?」

 無理と思うがお願いしてみた。

「ああ、いいだろう」

「わかった、頑張るよ」

 シンジはお茶を飲み干すと、走って部屋に戻った。

「あなた、ご苦労様。ああでも言わないとあの子勉強しないから」

「ああ」

 ゲンドウの湯のみのお茶を注ぐ、どうやらユイが頼んだようだ。

「やればできるのにね・・・・」

「問題無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!頑張るぞ」

 シンジは顔を叩き気合を入れ、机に向かった。

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

(小遣いアップしたら何を買おうかな)

(そうそう欲しいソフトがあったんだよな)

(いくらぐらい上げてくれるのかな?)

 頭は勉強ではなく皮算用に使っていた。

(はっイケナイイケナイ、勉強)

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

 キョロキョロ

(散らかっているな)

 部屋を見回し、立ちあがると部屋の掃除をし始めた。

「これで良し、これはいらない、これはこっち、これは・・・・」

 シンジの部屋の掃除は遅くまで続いた。


 学生なら誰もが一度は通る苦難のイベント、EVAキャラの大人は先生と設定しました、定番ですね。

 それとシンジの部屋の掃除、テスト期間中は必ずしますね(^^)jun16もそうでした。部屋が奇麗になっても勉強はしませんでしたが、シンジはどうなるんでしょうか?

 まあ小遣いが懸っているので、なんとか?なるでしょう。

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第拾参話 ライバル誕生 第拾伍話 苦難への旅立ち

エヴァンゲリオン学園:第拾四話 テスト襲来