エヴァンゲリオン学園

第拾伍話

苦難への旅立ち

「ZZZZZZ」

 朝、シンジの部屋。

 昨日の勉強?疲れでグッスリ熟睡していた。机には端末と参考書、見違えるほど奇麗な部屋がテスト期間中の彼のスタイル。

 ガラ

「・・・・・」

 そこにアスカが何時も通りに起こしにやって来た。部屋の奇麗さに言葉を失っていた。

(・・・シンちゃんいつもの病気が)

 毎回テスト期間中シンジはなぜか部屋が奇麗したがるのでアスカは『テストになると部屋を片付けたくなる病』と命名していた。

 シンジはこの病気は全国の学生全員がなると豪語していたが、アスカはなったことがなかった。参考書を見てみると手をつけた形跡はない。

(またしてない)

 呆れながら今日はどうやって起こそうかと思案していた。

「!」

 そばにあったS-DATを見つけ、イヤホンをシンジの耳につけ最大ボリュームでスイッチをONにする。

♪♪♪♪♪♪♪ー♪♪♪♪♪♪♪

うわあああああ!!!

 状態を起こし素早くイヤホンを外した、横にアスカがいるのに気づき怒り出した。

「アスカ!鼓膜が破れるじゃないか」

「シンちゃん、おっはよー」

「・・・・」

 何事もなかったように笑顔で挨拶をして、シンジを呆れさせた。

「早くしてね」

「うっうん」

 耳鳴りがして堪らなかったが、なんとかたてなおして洗面台に向かった。

「おはよう」

 台所には毎回のごとくゲンドウは新聞を読みながら食べておりユイが注意するアスカが笑っている光景があった。

「おはようシンジ、遅くまで勉強したみたいね」

「うっうん」

 ウソである。

「おばさま、部屋のお掃除を勉強してたみたいですよ」

「あ、こら」

「へへ」

 アスカはいたずらげに舌を出していた、ユイはまた病気がでたのねと呆れていた。

 バサ!

 突然ゲンドウが新聞をおろし、シンジの方を向いた。

「シンジ」

 ゴッゴク!

「はっはい」

 迫力のある低い声にシンジはおもわず生唾を飲んだ。

「・・・・わかっているだろうな」

「ははっはい」

「ならいい」

 新聞をもどし読み始めた。シンジは緊張のあまり背中に大量の汗をかいていた。様子を見ていたアスカは小声でユイに質問した。

(こそこそ)「おばさま、どうしたんですか?」

(こそこそ)「今度のテストで15位以内に入らなかったら、来月のお小遣い無しなのよ」

(こそこそ)「えー!シンちゃん15位以内に入ったことないですよ」

(こそこそ)「そうなのよ、大丈夫なのかしら」

(こそこそ)「病気が出ているうちは無理だと思います」

(こそこそ)「そう、やっぱり」

(こそこそ)「はい」

 無理と断言されてユイはため息をついた。アスカの成績は学年でもトップクラスに入っておりを成績優秀者に無理と言われては、肩を落とすしかなかった。

(おばさま、可哀想・・・・・そうだわ)

「シンちゃん、勉強教えてあげましょうか」

「え?アスカが、いいよ」

 当然断った、しかしそれをユイが許さなかった。

「あら、アスカちゃんが教えてくれるのなら問題無いわ。よかったわねシンジ」

「僕はいいよ」

「シンちゃん遠慮しなくてもいいよ」

 2人に囲まれ落とされようとしている。

「これでお小遣いは安心ね」

「別に・・・」

「よかったね、シンちゃん」

 シンジはかたくなに拒んでいた。そこにゲンドウの強烈な一言が浴びせられた。

「シンジ、アスカ君に教えてもらいなさい。そうしないと一生小遣い抜きだ」

えっええー?!

 まさか一生貰いつづけるわけはないのだが、この言葉は強烈に胸にささった。

「わっわかったよ」 (あーあ、これも小遣いのためだ・・・シクシク)

「がんばろうね、帰ってきたらスパルタだよ」

 シンジ陥落、アスカは教えられることで喜んでいた。

「あなた、協力感謝しますよ」

「フッ問題無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校に行くシンジの足取りは重かった、今日からアスカによる勉強が始まる。

「ふうー・・・・・・」

「どうしたの?」

「なんでもないよ・・・」

「ふーん、ほら元気出して」

 背中を叩かれるがそれが余計に足を重くする。昔シンジは逆上がりができなくてアスカに教えてもらったことあったがスパルタで、できるまで何百回もやらされた記憶があった。

 それ以来アスカに教えてもらうのをいやがり1人で努力してきたが勉強はどうにも苦手で向上しなかった。

「シンジ君、アスカ!おっはよー」

 背中から声が聞こえる、振りかえるとマナが走ってきた。

「「おはよう」」

「あれ、シンジ君どうしたの?顔青いよ」

「・・・なんでもないよ」

「ふふ、もうすぐテストでしょう、それでなの」

 シンジの顔はテストと聞いてますます青みがかった。

「ふーん、シンジ君!私が勉強を教えてあげましょうか?」

「え?」

 マナの言葉にアスカが素早く反応した。

「マナが?」

「ええ、自慢できるほどじゃないけれど、シンジ君さえ良ければ教えるわよ」

「そう・・・どうしようかな」

 アスカはシンジの次の言葉を緊張しながら待っていた。

(・・・シンちゃん)

「どう?」

「うーん・・・」

 アスカはシンジより先に口を開いた。

「マナ、残念だけど私がシンジ君に教えるって約束しているのよ」

「そうなの、シンジ君?」

「うっうん」

 マナは悔しそうに握りこぶしを作っていたが、頭脳を回転させ素早くひらめいた。

「それじゃあ、私も教えてあげる!」

(えー?どうしてそうなるのよ)

 アスカはマナに瞳で訴えかけていたが、それを笑い流した。

「ね?いいでしょ」

「そっそれじゃあ、お願いしようかな」

 マナのウルウルとした瞳に見つめられ、シンジは顔が赤みを増してきた。優柔不断と優しさでOKをしてしまった。アスカは2人を見ていてショックを受けた。

(ガーン・・・せっかくの楽しいひとときが)

 そして3人は学校に向かい途中アスカがマナにシンジに聞こえないように話しかけてきた。

(こそこそ)「マナ!私がシンジ君に教えるはずだったのに、邪魔するのよ」

(こそこそ)「邪魔してないわよ、それにシンジ君がOKしてくれたのよ」

(こそこそ)「むー・・・・・」

(こそこそ)「ライバル同士、互いに公平にしないとね」

(こそこそ)「・・・・わかったわよ」

(こそこそ)「よし!」

 アスカは渋々納得した。

「よーし、今日から勉強よ!学校が終わったらシンジ君家でね」

「「え?ー」」

 2人ユニゾン。

「今日からなの?」

「どうしてくるのよ?」


 2人の美少女から教えてもらうなんてシンジ君幸せ者ですね。

 タイトルですが、多少大げさに考えました。まあ成績が悪いシンジ(設定上)にとってはまさに苦難ですけどね(笑)

 文中に昔シンジがアスカに教えてもらったとしていますが、時間があれば描いてみようと思います。

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第拾四話 テスト襲来 第拾六話 勉強襲来

エヴァンゲリオン学園:第拾伍話 苦難への旅立ち