エヴァンゲリオン学園

第拾六話

勉強襲来

 2人がシンジに勉強を教えると約束した、その日の学校帰り3人は同じ道のりを歩いていた。

「頑張ろうね」

「・・・・・」

「元気出して」

「・・・・・」

「私達が教えるんだから成績アップ!」

「・・・・・」

 マナはいくら問い掛けても返事は返ってこなかった。シンジは肩を落としてため息ばかりついていた。

「もうしっかり!お小遣いがかかっているんでしょう」

「・・・・」

 アスカが注意してもでるのはため息ばかり。

「ねえねえアスカ、お小遣いってなに?」

「それがね今度15位以内に入らないと、お小遣い無しなのよ」

「えー!可哀想、でも私達が教えるんだから大丈夫よね」

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、ここなの」

 マナは高くそびえたマンションを見上げ、周囲を見まわした。花壇には花が奇麗に咲いており、レンガが敷き詰められた道にはゴミ1つとして落ちていなかった。

 3人はエレベーターに乗り目的の階のボタンを押す。

「ここだよ」

「私は隣よ」

「へー、いいわね」

 マナは話しには聞いていたが実際に見るとうらやましくなった。

「それじゃあ着替えてくるわね」

 アスカは鍵を取り出すと、自宅に入った。

「それじゃあ入ろうか」

 シンジは鍵を取り出し、玄関を開けた。

「おじゃまします」

 2人はリビングに向かう、するとマナは驚きの声を上げた。

「うわ、すごーく広いね」

「そうかな」

「びっくりしちゃった」 

「着替えてくるからちょっと待っていてね」

 シンジが着替えている間、窓から外の風景を眺める。

「眺めがいいわね」

「おじゃましまーす」

 アスカが着替えてやって来た、手にはテキストを持っている。

「それじゃあ始めましょうか」

 テーブルの中央にシンジ、必然的に教える2人は左右に腰を下ろした。

「今日習った社会をしましょう」

 マナは鞄からテキストを取りだし、部屋から持ってきた端末にフロッピーを入れる。画面が表れ内容は丁寧にまとめられていた。

「社会は得意だから心配無いよ」

「ダメ、勉強しないといけないわよ」

「そうかな」

 シンジは頭をかきながらばつが悪そうに呟いた。それから今までの授業の復習をしていき、質問形式に問題を出していきわからないところを重点的におこなった。

 アスカとマナは熱心に教えてくれた。2人とも成績優秀なので、教え方がわかりやすく誰でも理解できる内容だったがシンジは頭に入らなかった。

(2人・・・いい匂いだな)

 シンジは勉強にではなく匂いに集中していた。2人のシャンプーなどの匂いにより集中できるわけが無い。それも学校でも評判の美女2人が目前にいることで、勉強どころではなかった。

「シンジ君、わかった?」

「あっ・・・・うん」

 アスカがかけた言葉にも反応が遅れるほど、散漫していた。

「本当?」

「うっうん」

 マナが追い討ちをかけるが返事に焦りが感じる。

「じゃあテストね」

「えっええ?」

 マナがシンジに向いていた端末を自分の方に寄せ、問題を出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうダメじゃない」

「ごっごめん」

 マナは謝っているシンジを見て呆れていた。

「最初からだね」

「えー!」

 アスカの強烈な一言に涙を流す。

(お・・・・鬼ぃ)

「ただいまー」

 ユイの声が玄関から聞こえた、早く終わって買い物袋を下げて声がしているリビングにやって来た。

「母さん、お帰り」

「お帰りなさい」

「あらシンジにアスカちゃん、お友達?」

「はい、私シンジ君のクラスメートで霧島マナです。はじめまして!」

 起立して深深と頭を下げる、第一印象を良くしようと緊張していた。

(未来の義母さんになるかもしれないからね)

「はじめまして、マナちゃんね」

「はい」

 ユイは屈託の無い笑顔を見せる。それがマナの緊張を一気にほぐし、小さくガッツポーズをする。

(・・・・上手くやっていけるわ)

「お勉強なの」

「うん、教えてもらっているんだ」

「そうなのアスカちゃんだけじゃなくマナちゃんにも、これで安心ね」

 心強い家庭教師が2人もついてユイは一安心したがシンジは笑うに笑えなかった。

「うっ・・・・・うん」

((大丈夫かしら?))

((大丈夫よ!私が教えるんだから))

 2人の少女は同じおもいをユニゾンしていた。

「頑張ってね」

 ユイは3人に手を振ると台所に向かった。

「「さあ、続きよ」」

「えー!・・・もう今日は終わりにしようよ」

 シンジはだるそうに時計を指差し2人に訴えかけた。時計は6時を過ぎていた、勉強を始めてから2時間は経過している。マナは時計を見るなり、慌てだした。

「あっいっけなーい、夕食の準備をしないと!」

「えっマナ作るの?食べていけば」

「嬉しいけど、お母さん達に作らないといけないんだ」

 マナは帰る準備をしながら残念に断る。両親が共に働いているので家事はできるだけやっている。

「そうなんだ」

「うん、仕事で疲れているから親孝行しないとね」

 準備が済むと、廊下に向かい途中台所に足を止める。

「お邪魔しました」

「あら、帰るの?ご飯食べていきなさい」

「ごめんなさい、お母さん達のご飯を作るから無理です」

「そうなの、偉いわね。今度は食べていってね」

「はい、ありがとうございます」

 マナは礼をして、玄関に向かった。

「じゃあシンジ君、アスカまた明日学校でね」

「うん今日はありがとう」

「またね」

 3人は手を振り、マナはマンションを後にした。

(ふふ好印象を与えたかしら)

 1度振りかえると、夕食の準備があるのでダッシュで帰っていった。

 ゴロン!

「ふうー、疲れたー」

 シンジはリビングに戻ると、端末のスイッチを消し大の字に寝転がった。

「シンちゃん、勉強!」

 アスカは腰に手を当てシンジを見下ろしながら、怒るがお構いなしにテレビのスイッチを入れる。

「シンちゃん!」

「休憩だよ、夕食が終わったらするよ」

「本当?」

「ホント」

「もう」

 アスカは夕食が終わったら、絶対にやらせると決心してこの場は折れ一緒にテレビを見だした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ、アスカちゃんご飯よー」

「「はーい!!」」

 奇麗にユニゾンをして台所に向かう。カレーのいい香りが漂う。

「「いただきます!!」」

「はかどってる?」

「うん」

 シンジは自信を持って答えるがアスカは違った、ため息が出てくる。

「うそー!シンちゃん全然、憶えてないよ」

「本当なの?シンジ」

「うっうん、少しは憶えたよ・・・」

 つっこまれ語尾が小さくなるが、自信はあった。だがユイの最終兵器の言葉が発動される。

「お父さんに注意してもらおうかしら」

「!ウグッ・・・そっそれだけは勘弁して」

 カレーが喉に詰まりながら、懇願する。頭には昔の事が思い出された。それはゲンドウの・・・・あまりの恐ろしさにシンジは思い出したくなくやめた。

「勉強する?」

 ユイはにこやかにゲンドウ張りのポーズをするがシンジは脅え震えまくっていた。

「する、します!やらさせていただきます」

「アスカちゃん、お願いね」

「はっはい!」

 アスカはおもわず背筋を伸ばし、丁寧になった。

(流石に、おばさまね)

「たくさん食べて、勉強するのよ」

「はっはいー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食後の休憩を終え2人はシンジの部屋に戻り、勉強を始める。

「ふうー・・・・・頑張るか・・・・」

「シンちゃん!元気良く」

「うん・・・・」

 だがシンジは端末を開くこともスローになっていた。アスカは先ほどユイが発動させた最終兵器を使ってみる事にした。

「おじさまに注意してもらおうかな」

 ビクッ!!!

「わかったよ、やりますよ」

「クス!」

 ゲンドウの言葉を聞いたら、急に動作が素早くなり端末にスイッチを入れ参考書を開いた。

(ふふ、怠けたら使っちゃおう。でもシンちゃんをここまでさせる、おじさまの注意って何かしら?)

 アスカはあの顔でどんな注意をするのか想像してみたが・・・・やめた。

(・・・・知らない方がいいかな)

「さあ、勉強よ!」

「・・・・は・・・い・・・・」

「おじさまに・・・・」

はい!

「よろしい!」

 シンジは泣く泣く勉強地獄を絶える事で、ゲンドウから注意を受けないよう心に決めた。

(こんなの父さんに比べればへっちゃらだい!・・・・うう・・シクシク。逃げようかな・・・・逃げちゃダメだー!)


 2人に囲まれての勉強、うーーーんはかどりますねえ!

 マナの存在がユイに知られて、花嫁候補は・・・・

 シンジ!勉強頑張れ!誘惑に負けるな(何の)

 ゲンドウの注意とは?シンジを恐怖させるサードインパクト並の威力?

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第拾伍話 苦難への旅立ち 第拾七話 パニック、アタック

エヴァンゲリオン学園:第拾六話 勉強襲来