エヴァンゲリオン学園

第拾九話

シンジVS試験

「よし!」

 自室で制服に着替え終わり、鏡を見て気合を入れる。今日から期末テストである。

「ママ、いってきます」

「いってらっしゃい」

 元気よく自宅を飛び出し、1秒もしないうちに隣の玄関に入る。

おはようございます!

「おはようアスカちゃん。いつも元気ね」

 ユイは台所から顔をのぞかし、アスカに笑顔をおくる。

「シンちゃん、起こしてきますね」

「おねがいね」

 音を立てながら、シンジの部屋に向かう。襖を開けるといつものように爆睡していた。机を見ると端末や参考書が置いてあり、追い上げで徹夜をしたようだ。

「うんうん、エライッ!」

「ZZZZZ」

 勉強の形跡に喜び、今日の起こしかたは変わった事をしようと考えた。参考書を手に取りシンジの耳元に近づく。

日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し!・・・・・」

 ガバ!

「我等と我等の子孫のために・・・・・アスカ?」

「シンちゃん、おはよー」

 寝ていたのシンジは耳元に大声で憲法の前文を言われ、寝ぼけ眼で続きを言い始めた。アスカは参考書を後ろに隠しながら笑っていた。

「顔洗ってきてね」

「うん・・・」

 クスクス口元に手を当て部屋を出ていった。その様子をシンジは乱れた頭をかきながら不思議そうに、首を傾げボケーと見ていた。

「ふあああ・・・」

「シンちゃん、食事中に行儀悪いよ」

 顔を洗ってサッパリしても、次から次えとあくびがでていた。

「眠いんだよ、ふああ・・・」

「シンジ、テスト大丈夫なの」

「バッチリ」

 自信にユイは不安になる。毎回の事だが威勢が良くても結果が・・・・ダメだった。

「父さん、小遣いのこと忘れないでね」

「ああ問題無い」

 ゲンドウは新聞で顔を隠したまま低音で返事をする。

「やったあ!」

「シンちゃん、まだ始まってないのよ」

「大丈夫さ、父さん。待っていてね」

「ああ」

 パンを頬張りながらゲンドウに勝利宣言、その光景をアスカとユイは顔を見合わせ笑っていた。

「「いってきます!!」」

 夫婦だけとなった台所、ゲンドウはお茶を口に運ぶ。

「シンジ、ずいぶん自信がありますわね」

「ああ」

「お小遣いを上げるとしたら、どのくらい上げるの?あまり高くすると無駄づかいして困るわ」

 ユイは頬に手をあてため息をつく、ゲンドウはそこで口元が歪む。

 ニヤリ

「問題無い、上げるといっただけでシンジは金額は呈していない」

「まあ、あなたったら」

 そこには微笑ましい?夫婦の光景があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよーシンジ君、アスカ」

 教室、すでにクラスメートは最後の暗記にと必死であった。そんな中マナは勉強する様子もなくリラックスしていた。

「マナ、おはよう」

「おはよう、マナ余裕だね」

「へへへ、シンジ君はどうなの?」

「うーん、まあまあかな」

 シンジは席に着き、参考書を開き最後の復習に集中する。

(ねえアスカ、シンジ君大丈夫かしら?)

(大丈夫よ、なんていったってお小遣いがかかっているもの)

(そうね)

(ええ)

 アスカとマナはシンジの邪魔にならないように、教室の隅で小声で喋っていたがそれをトウジが打ち壊した。

「なんやシンジ、男なら男らしく無駄な事せずに、ドンと構えようや」

「そうはいかないよ、トウジは大丈夫なの?」

「ワシは男らしく一発勝負や、それが男ってもんやろ」

「・・・・・」

 トウジは『男』の言葉に酔ってうなずいていたがシンジはただ唖然とするだけであった。

「すーずーはーらー、何言っているのよ。碇君の邪魔しないで勉強しなさい」

 ヒカリは後ろから低い声で詰めよりトウジの耳をつかんだ。

「いっ痛、ワシは向いていない事はしない事にしているんや」

「関係ないでしょ!勉強しなさい!」

 トウジは耳を引っ張られ席にもどされた。シンジはヒカリの力に驚きただ呆然とするだけであった。

「ごめんね碇君、邪魔しちゃって。鈴原はこっち」

「ははは・・・・いいよ」

「シッシンジ、助けてくれ」

「黙っていなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして学生にとって悪夢の時間が始まる。

(頑張るぞ!)

 配られた問題用紙を見て気合を入れる。

(シンちゃん、頑張って)

(シンジ君、頑張るのよ)

 教室は鉛筆の音だけが響く。ある者は間を置かずに解いていき、またある者は頭を抱えていた。

(やった!さっき憶えたところだ)

(・・・・なんやこれは?ワシだけ高校の問題やないんか)

 

 

 シンジは勉強した甲斐があり、苦労もせずに試験を終えた。マナは解答用紙が集められるとすぐにシンジの席に向かった。

「シンジ君どうだった?」

「ばっちりだよ」

「よかった」

 マナは自信に胸を撫で下ろした。アスカもシンジの笑顔に安心した。

「次も頑張ろうね」

「シンジ、自信あるなあ」

「ケンスケはどうだったの?」

「僕はまあまあかな」

 瞳が光りで見えない眼鏡を指で上げると、楽勝に口が歪む。だが毎回の仕草で自信があっても、結果は最悪であるが、気にしていない。

「最悪の1時間やった」

 そこにげっそりと猫背になったトウジがやってくる。

「できなかったのかい?トウジ」

「ああワシだけ高校の問題やったんや、あれじゃあ一発勝負のワシでも解けんわ」

「はは・・・はは・・・そう」

 シンジ達はトウジの勘違いに、ただ笑うしかなかった。

「過ぎた事や、次で挽回や」

 トウジは腕を振り回すと席に戻っていった。

「なあ次は大学の問題っていいそうだな」

「そうだね」

 予想どおり、トウジは次の休み時間こぶしを震わせ悔しがっていた。

「またやられてしもうた。ワシには大学の問題は解けんわ」

「・・・・・・・」

 いつものメンバーは開いた口がふさがらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日から4日間、シンジにとって苦しい日々が続いたがアスカやマナの努力もあり、なんとかトラブルも無く切り抜ける事ができた。

 テストが終わった帰りのホームルーム。

「みんな!くっだらない試験だったけど、学生の本職だから仕方ないけどよく頑張ったわね。後は楽しい夏休みよ、遊びまくりなさい」

 教師とはおもえないミサトの発言、クラスは歓声を上げる。

「点数は早くつけて返すから、期待しててね。悪い子には月にかわってお仕置きよ」

・・・

・・・

・・・

・・・

 『お仕置き』の部分でポーズを付けるが教室中、一瞬静まり返る。

「なっ何よ!その静けさは、本当にお仕置きするわよ」

・・・

・・・

・・・

・・・

 ミサトは赤くなって慌てるが寒い。たまらず顔をうつむかせ次の行動に移る。

 ゴゴゴゴゴゴゴ!

「そう・・・・静かなのが好きなら、全員0点にして補習にしようかな」

 瞳が見えずに口元が不気味に歪む、それに恐怖してクラス中は騒ぎ始めミサトに対して、ヨイショがされる。

「別にいいのよ。夏休みの補習は楽しいからね」

『ミサト先生なら0点にする絶対にする』とミサトの性格を生徒は知っているので、夏休みが潰されては困るとクラス一丸になってヨイショが続けられた。

 そしてミサトのクラスは全校で1番最後にホームルームを終えた。生徒はテスト以上に疲れくたくたになり下校した。

「無様ね」

 ミサトと飲みに行く約束をしていたリツコが遅いので、見に来て呟いた言葉である。

 

 

 

 

 

「はあ・・・ただいま」

 シンジはくたくたになり、自宅についた。

「おかえりシンジ。遅かったわね」

「ちょっとミサト先生がダダをこねてね・・・」

「あらあら」

 ユイはシンジの疲れ具合から、酷かったと判断し苦笑した。

「それで順位は大丈夫なの?」

「バッチリだよ。小遣いもアップで問題無いよ。」

 シンジはVサインをすると意気揚々と部屋に戻った。

 バタッ!

 着替えてベットに仰向けになりゲーム雑誌をひろげ、早速ほしいソフトをリストアップする。

「アスカ達と答え合わせであっていたから完璧、父さんいくらぐらい上げてくれるかな?」

 結果は出ていないがすでにシンジは勝利を確信している。

 コンコン!

「シンちゃん、入るよ」

「何?」

「ママが遅くなるからこっちで食べなさいって、何見ているの?」

「買うソフトを見ているんだ」

 シンジは起きあがり雑誌をアスカに見せる。

「まだ結果は出ていないのに」

「15位以内は確実だよ、アスカも答え合わせしておもっただろ?」

「うっうん」

「こういうことは早く準備した方がいいんだ」

「そうなの」

 シンジの浮かれぶりにアスカ自身も勉強を教えた甲斐があったと嬉しかった。


 やっとテストが終わりましたが、結果はどうでしょうか?

 次でテスト編は終わります(多分)

 トウジ、試験の結果は・・・最悪かな?

 ミサト、その歳でお仕置き・・・寒いっていうか恐い?

 シンジ、大丈夫かな?

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第拾八話 決戦まであと・・・ 第弐拾話 ゲンドウ、笑う

エヴァンゲリオン学園:第拾九話 シンジVS試験