エヴァンゲリオン学園

第弐拾七話

久しぶりの朝

 九月一日、今日から二学期、学生にとっては迎えたくない日である。だが鏡に自分を映している少女は違った。

「よし!今日もバッチリ!さあシンちゃんを起こしに行こうっと」

 アスカはバックを手に取るなり早足で玄関に向かった。

いってきまーす!!

 そして、数秒もしないうちに。

おはようございます!!

「おはようアスカちゃん」

 いつもの様にユイが台所から顔を出し微笑む。アスカは微笑み返すと、いつもの部屋に向かった。

「zzzzz」

「zzzzz」

 案の定、この部屋の持ち主は幸せそうな笑顔で寝ている。

「もう、学校って自覚が無いのかな?」

 シンジの相変わらずのネボスケにつくづく呆れる。だがアスカはこの風景をもっと見ていたいのだが、残念ながらできない。さっそく作業に取り掛かる。

「えい!」

 寝ているシンジの口と鼻を手で塞いだ。

「zzzzz」

「zzzzz」

「zzzz・・・」

「・・・・・・」

「・・・んーーーーー

 口と鼻を塞いでいると当然息ができない。苦しくなって目覚める。

「はっはーーーはーーー・・・、アスカ!苦しいじゃないか」

 真っ赤になって怒るシンジ、だがアスカは気にもしないで微笑む。

「シンちゃん、おはよー」

「・・・お、おはよ・・・・」

 調子を狂わされたシンジは挨拶を返すだけであった。アスカは今日も起こした事に満足すると台所に向かった。

「・・・アスカの起こし方、どんどん過激になってくるなあ・・・このままじゃ死ぬかも」

 それなら自分で起きた方がいいのだが、それでもアスカに頼っている。

「アスカちゃん、今日はどんな起こし方したの?」

 台所、ユイがアスカにコーヒーを入れていた。

「口と鼻を塞いで起こしました」

「まあ凄い、シンジ死んじゃうわね」

「その前にシンちゃん起きるから平気です」

「そうね」

「へへ」

 恐ろしい事を平気で話し合う二人、ゲンドウはちょっと震えながら新聞を読んでいた。

「塞いだってもしかして、アスカちゃんの唇で?」

「ちちちち違います!手です」

 真っ赤になり訂正する。が頭の中は違った。

(そっか、そういう手もあったのね。今度してみようって恥ずかしい!)

 頭を左右に振り掻き消すアスカ、ユイは知ってか知らずか微笑んでいた。

「起こし方にそういった方法もあるのね。私もやってみようかしら。ねっアナタ」

 ユイは新聞を読んでいるゲンドウにウインクを送る。

「ふっ問題無い」

 頬を赤らめ照れるゲンドウ。

「こっちで、ね」

 ユイは手を自分の口と鼻に持っていった。

「・・・・ふっ問題・・・・あるな」

 顔を青ざめるゲンドウ。

「ふふふ、冗談ですよ。ア・ナ・タ」

「そ、そうか」

(ユイおば様って、優しいんだか怖いんだかわからないわ)

 アスカの感想。誰だってそう思う。

「おはよう!」

 そうこうしているうちにシンジが朝食を取りにやって来た。

「あれ?父さん顔色が青いよ。大丈夫」

「ふっ問題・・・・無い」

 眼鏡を上げるといつもの台詞、少し声が震えていた。

「いただきます」

 学校がある日の食事のスピード、食べる速度は普通より三倍。そして食べ終わりの頃でアスカは牛乳を渡す。

「はい牛乳」

「うん」

「ゴクゴク」

「ゴックン!」

「ふーごちそうさま」

 シンジは洗面台に行き、身だしなみを整える。

「シンちゃんはやく」

「わかったよ」

 アスカにせかされバックを持って玄関へ、始業式なので鞄は要らない。

「「いってきます!!」」

「いってらっしゃい」

 ユイは二人を見送ると、台所に戻る。ゲンドウはまだ朝食を取っていた。

「アナタ、早くしてください!」

「う、うむ問題無い」

 和やかな碇家、微笑ましい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりの登校、相変わらず走る二人。

「シンちゃん早く早く」

「急がなくても大丈夫だよ」

 相変わらずシンジはゆっくりと走る。

「二学期初日から遅刻したら恥ずかしいよ。ね、走ろ」

 今まで二人で遅刻した事が何回もあった。そのたびにミサトから酒の肴にされ、真っ赤になるアスカはそれがイヤだった。

(ミサト先生、発言が凄いんだもん)

「わかったよ、行くぞ!アスカ」

「あ、まって」

 シンジは全速力で走り出した、アスカはどんどん離されていく。

「まってよー」

 シンジが十字路に差しかかった時、人影が飛び出してきた。

 ゴッツン!!!!

「イテッ!」

 シンジはおもわず尻餅をついた。頭に流星が流れ、目に写ったものは。

!おっ!!」 (パッパンツ!

「いったー!ごめんね。急いで・・・あれシンジ君」

 顔を上げると見なれた顔、マナであった。

「またぶつかったね」

「大丈夫?」

「マナこそ大丈夫かい?」

「うん、パンツを見られた以外はね」

 微笑むマナにシンジは赤くなった。

「ご、ごめん」

「シンジ君なら平気」

 二人が尻餅を付いて喋っている間にアスカがやって来た。

「二人とも大丈夫」

「大丈夫、おはようアスカ」

「おはよう」

 シンジとマナは立ちあがると砂を払い、学校に向かい歩いた。夏休みの話で盛り上がる。

 

 

「マナはどうして走っていたの?」

「シンジ君達は?」

「「「・・・・」」」

 固まる三人。

「「「あっ!」」」

 走っていた目的を思いだし駆け出す三人、時間は間に合うのか?


 久々の朝の風景、心が和むな〜(本当か?)

 久々のアスカがシンジを起こす風景、心が和むな〜(本当か?)

 久々にユイのちょっと怖い発言、心が和むな〜(本当か?)

 久々に震えているゲンドウ、心が和むな〜(本当か?)

 久々にマナのパンツ、心が和むな〜(本当か?)

 久々に駆け出す三人、心が和むな〜(本当か?)

 ぶつかった相手は・・・新たな転校生ではありません。ちなみにシンジ、アスカ、マナでストーリは進んでいきます。新たにキャラを出す事はしないです。

 したがってレイは出てきません、マナがレイの代わりなので(アヤナミストの方々はすいませんm_ _m)これもjun16の力不足です(石は投げないでね^^;)

 こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。


第弐拾六話 the End of 夏休み 第弐拾八話 日曜日の娘

エヴァンゲリオン学園:第弐拾七話 久しぶりの朝