前回のあらすじ
エヴァンゲリオンに搭乗した2人の少女
惣流・アスカ・ラングレーと霧島マナ
本来協力すべき仲間が敵になり戦う
なぜ?
勝負は互角、膠着状態が続く
勝負は一瞬
互いに繰り出すコブシ
そこに一人の少年が
碇シンジ
2人はシンジに気をとられ相打ちに
動かなくなった二機のそばにたたずむシンジ
アスカ、マナの安否は
エヴァンゲリオン学園
第八話
この瞳閉じた世界
「どうして・・・・・」
放心状態で二機の前で膝をつくシンジ、そこに空から耳を突く爆音でヘリコプターが数機着陸した。
「シンジ君!」
一機のヘリからミサトがおりてきて、シンジの元に走る。その他のヘリからは救護班がそれぞれのエヴァに走っていく。
「ミサトさんどういう事なんですか?」
シンジは興奮していた。
「私もわからないのよ、テスト中に急に飛び出して、こちらからの応答にも受け付けないし、対応ができなかったのよ」
プシュー
参号のエントリープラグが半分放出された、シンジは何もできなくてただその場に立っていた。そして救護班の声。
「参号パイロット、命に別状ありません」
マナがプラグから運び出される、気絶しているせいか動かない。担架に乗せられ、急いでヘリに乗せられ病院に急ぐ。
「マナ・・・・」
マナの状態がそれほど危険でないと感じたシンジは一安心するが、アスカの救出にはとまどっている。
「ちょっと!どうしたの早くしなさい」
救助が遅いためにイラついたミサトが大声をあげる。
「装甲が変形していて・・・・」
「剥がせばいいでしょ!」
プシュー
そしてプラグからアスカが救出されるが、その状態はシンジ達の所からは見ることができなかった。
「状況はどうしたのよ」
ミサトは腕を組みシンジはアスカの無事を祈ったが反した声が返ってきた。
「弐号パイロット、危険です。意識不明」
アスカはすぐに担架に乗せられエヴァから慎重に下ろされた、その姿は口から血を流し動く気配はない。シンジはすぐさまアスカの元に駆け出した。
「アスカッ!」
アスカに近づこうとするが救護班に止められる。
「どけてくれよ!アスカ、アスカ!」
「いけません。危険な状態ですから急ぎます」
「どけえ!」
シンジは掴まれた身体を振り払おうとするが、二人がかりではどうしようもなかった。向こうにはアスカがヘリに運びこまれていた。
「アスカー!」
シンジの声は虚しくヘリの音にかき消された。
「シンジ君、いきましょう」
「・・・・はい」
シンジはようやくおとなしくなり、ミサトと一緒にヘリに乗り込んだ。
それから一週間後、マナは右腕を骨折、多少身体が痛むものの順調に回復していったがアスカはまだ昏睡状態が続き面会謝絶であった。
シンジは今日もアスカの病室の前に来ていたが入れなかった。悔しそうにドアを見つめていた。
「・・・アスカ」
その様子をマナは遠くから見つめていた。
「・・シンジ君」
ネルフの病院に運び込まれ気絶から目が覚めたマナはベットの上だった。シンジが駆け付けて、心配したがマナはまともにシンジの目を見ることができなかった。
「・・・マナどうしてアスカと戦ったんだい?」
「・・・・」
「マナ」
マナは窓を向いてシンジを無視した。
「・・・話したくなければいいよ、それよりマナが無事でよかったよ」
そういうとシンジは病室を出て行こうとする。マナはシンジの背中に声をかける。
「・・・シンジ君・・ごめんなさい・・・・」
「マナ・・・」
マナは俯きシンジを見なかったが頬には涙が流れていた。
十日後、シンジは面会謝絶の札を見ていたが我慢できなかった。そしてなんとか面会できるように院長に掛け合った。
「お願いします!アスカに会わせててください!」
「無理ですよ。患者はまだ目覚めていません。危険な状態です」
「お願いします!」
シンジはアスカに会いたい一心で土下座をした。
「残念ですが・・・・」
「・・・・」
無情な一言、シンジは諦めて部屋のノブに手を掛けた。
ガチャ
シンジが手を掛ける前にドアが開くそこにはミサトが立っていた。
「ミサトさん・・・」
「シンジ君まかせて」
「え?」
ミサトは言うと院長の前に立つ。
「先ほど、碇司令から弐号パイロットの面会を許可する命令がだされました」
「父さんが・・・」
シンジは信じられなかった。
シンジが毎日落ち込んでいたので、見かねたミサトが頑張ってゲンドウに掛け合っていたのだ。
「わかりました。鍵を開けておきましょう」
「ありがとうございます」
院長は電話を取り、話した。ミサトは礼をして部屋を出て行く、シンジも院長に礼をし部屋をでた。
コツコツ!
静かな廊下にシンジとミサトの足音が響く。
「ミサトさん、ありがとうございます」
「いいわよ、それよりシンジ君アスカはまだ目覚めていないんでしょう?」
「・・・・・はい」
シンジの顔が暗くなる。
「シンジ君早く行ってアスカに会って来なさい」
「・・はい」
シンジは走り出した。ミサトは後ろ姿を唇を噛み締めて見ていた。
(また辛い思いを・・・・)
シンジはアスカの病室の前に来た相変わらず面会謝絶の札が掛かっているが、入室の許可がしてある。ノックをしてドアノブをひねった。
ガチャ
「アスカ、はいるよ・・・・」
「!」
そこで見たのは真白いカーテンで窓を覆われた部屋は医療器具が所狭しと置かれていた。そして中央にベットが一つ、アスカが額に包帯を巻かれ、口にはマスク、腕には何本もの管が刺さっていた。
「アスカ・・・」
アスカの姿に呆然とした。シンジは思い足取りでアスカの顔を見た。点滴だけなので頬はやせ劣り、髪に艶が無く、腕も細くなっていた。
「うそだろ、目を開けてくれよ、いつものように笑ってくれよ」
だがアスカは眠っていて、電子音が部屋に響く。
「うっううわーー!!どうして、どうしてなんだ!!」
シンジは涙を流しアスカの頬に触れる。微かだが温もりがある。
「・・くっ」
廊下ではミサトがシンジの声を聞いていたが、絶えられなくなり走り出した。
(失格ね・・・)
瞳から涙が流れる。
「うう、アスカ・・・・アスカ」
何度も名前を呼ぶがアスカの瞳は開こうとはしなかった。
「これからどうすればいいんだ・・・・僕はもう・・・・」
シンジは涙も拭かないで、病室を出た。
その日シンジは家に帰ってこなかった。
そしてみんなの前から姿を消した。
キーンコーン!!カーンコーン!!
四時間目終了の合図、アスカは端末からDISKを出した。
(いい場面だったのに・・続きは今度ね)
授業中アスカは暇だったので小説を読んでいた。隣のシンジは眠たそうで、マナは爆睡していた。端末を消し号令の合図。
「さあて、ご飯、ご飯」
アスカは鞄からお手製のお弁当を取り出した。
イキナリ後書きのアスカVSマナを書いちゃいました。これは学園モノなのでアスカが授業中に読んでいた小説で落としました。
このまま続けるとダークになるので、jun16はほのぼのを目指しています。
こんな連載小説でも飽きずに読んでくれた方々に感謝します。
エヴァンゲリオン学園:第八話 この瞳閉じた世界