長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会が9月長崎県議会で請願

見通しのないフリーゲージトレインによる   長崎「新幹線」の建設中止を
請願書ここをクリック
  
フリーゲージトレイン開発に赤信号(クリック)

   説明する深町氏と堀江県議(左)

 長崎「新幹線」の建設中止を求める県民の会は、2010/9/28、九月県議会で、「見通しのないフリーゲージトレインによる長崎「新幹線」の建設の中止を求める請願をおこないました。(請願書   請願者の発言はここクリック
国交省は9月7日付でフリーゲージトレインの開発状況について、軌間可変技術委員会の報告書を公表しました。この報告書では、フリーゲージトレインは、@在来線のカーブや分岐器などでは、現行特急より10〜40q/h下回る性能しかない、A直線でスピードは出せるが、長時間走行した場合の安全性は検証する必要がある、B問題点の解決は「台車(車両)の改良だけでは目標達成は難しいことなどを指摘した。
引き続き開発は続けるというが、フリーゲージトレインの完成も安全性の見通しもたたないなかで、このフリーゲージトレイン導入を前提にする「新幹線」の建設は中止すべきであるという請願を県民の会はおこなった。また長崎県が今年国交省に説明し、リーフレットとして宣伝している内容が、これまでの県の説明と全く整合性がなく、「大きいこことはいいことだ」と言わんばかりの数字を並べていることをきびしく批判し、長崎県は長崎「新幹線」の建設を中止し、そのお金は県民の暮らし、中小業者の営業の支援にこそまわすべきであると主張しました。
自民党県議から参考人に対して、「フリーゲージだから反対なのか」、「フル規格にはついてどうか」、「山形、秋田も新幹線と言ってるじゃないか」、「地元業者にも仕事は来るんじゃないないのか」「必要ないが多いというが、マスコミの聞き方にもよるんじゃないか」などの質問が出されました。堀江県議と深町氏が質問の一つ一つ答え、一時間近く審議されました。
採決の結果、請願は不採択となりました。 

県議会本会議で堀江ひとみ県議が、建設中止の会の請願に賛成討論(2010/10/5)

 日本共産党の堀江ひとみです。
 ただいま議題となりました、請願第2号、見通しのないフリーゲージトレインによる長崎「新幹線」建設の中止を求める請願書につきまして、 委員長報告に反対し、請願賛成の立場で意見を申し上げます。   

 本請願は、完成の見通しもたっていないフリーゲージトレインによる、名ばかりの九州新幹線西九州ルート(長崎「新幹線」)の建設中止を表明していただきたいと要望しています。

 請願理由にものべられていますが、交通手段としての安全性に関わる問題です。国交省の技術評価委員会の報告書で、「台車の改良だけでは目標達成は難しい」と指摘している点が、重大です。2007年に完成予定のものが、現在も完成も実用化の見通しもたっていません。こうした状況を各新聞は一面トップで「カーブ走行開業時期に影響か」(長崎新聞9/8付)や「開業に遅れる恐れ」(西日本8/20)などと報道し、安全性への懸念を指摘しています。
 フリーゲージトレインが実用化されている国の線路の幅は、日本のJRの1.4〜1.5倍も広いのです。JRのような狭い軌道を高速で走るフリーゲージトレインは技術的にむずかしく、世界のどこにも実現していません。
 開発を続けるとなっていますが、見通しはありません。また、お金と時間をかければ採算性が問題になります。フリーゲージトレイン導入の全国各地の計画は、事実上立ち消えで、長崎だけといわれています。
 もし、完成しなければ、今年までの開発費約260億円は、税金の壮大なムダづかいになります。仮に完成してもフリーゲージの単価は、新幹線の約10倍になるといわれているうえに、線路までが特別あつらえの線路で、メンテナンスの経費も高くなれば、JRが導入できるかが問題です。9月8日付日経新聞は、採算性からJRがフリーゲージトレインを導入するかどうかの懸念にふれて報道しているほどです。

  安全が第一である交通機関・長崎新幹線の建設を、完成の見通しもないまま、フリーゲージトレイン導入を前提にすすめていることは大問題。今、多くの県民の声です。
 私は、新幹線そのものを否定するのではありません。日本の新幹線は、高い技術水準があります。しかし、長崎「新幹線」は、工事費が整備新幹線予算から出てはいますが、出来上がるものは新幹線ではありません。国交省は「全国新幹線整備法に基づく新幹線は時速200`以上という定義になっている。したがってフル規格のものを前提にしている」と述べています。長崎「新幹線」は新幹線ではないのです。ここが他の新幹線と根本的に違います。

 昨年来、計画を推進してきた民主党や自民党の国会議員から、今の計画では「役に立たない」、「全線フル規格」にすべきだという声があがっていますが、名ばかり新幹線であることを、裏付けるものではないでしょうか。

  県民の多くが交通問題で望んでいるのは「新幹線」建設よりも、JR在来線やバス路線の利便化・充実です。新幹線のトンネル工事がはじまっているから、新幹線計画は中止できないとする意見があります。そんなことはありません。工事が始まったから止められないことこそ、重大問題です。 長崎県の財政状況は厳しいのですから、みのたけにあった事業をすべきです。

 今日、長崎県民の暮らしや営業、就職の厳しさ、介護、医療の負担の重さは深刻です。地方自治法にあるように、地方自治体は住民の福祉や安全に力を入れ、税金はそのために優先的に使うべきです。長崎「新幹線」の建設中止を表明していただくよう強く要望し、請願賛成討論と致します。